抜かれる構図

さて、ちょうどひと月ほど前には「新日鉄住金発足」として晴れて大型統合の運びに至った旨を挙げたが、この新日鉄住金といえば高性能の鉄鋼製品の製造技術を盗用されたとして、同社が韓国大手ポスコ等を相手取り同製品の製造販売差し止めおよび損害賠償を求めた裁判が先に始まっている。

この辺に関しては今年の5月にも当欄で取り上げたことがあったが、技術流出案件はその立証が難しい一方でこの手は素材産業やエレクトロニクス業界では後を絶たないという。昨今の家電業界の苦境で厳しいリストラが横行しているが、技術者の中には光る手土産があれば韓国大手等から引く手数多で更には高待遇が用意されているというから地獄から天国で揺らぐ輩も居るのは想像に難くない。

しかしその裏では転出先の大手から美味しい部分だけ抜かれて用済みとなった向きが早くも第二のリストラの憂き目に遭っているという噂も絶えない。形勢が逆転するととことん足元を見られる典型だが長年技術は日本の競争力の「要」であり、前にも書いたが不正流出に対する防衛策等を企業も政府も早急に講じるべきであろう。


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