消えゆく歴史

過日所用があって横浜に行き日本大通り近辺を通った際に思い出したのだが、この辺で最古とされる1910年に完成した旧「三井物産横浜支店倉庫」の解体工事が最近着手された件がある。地元ではこのところ保存を求める声が上がっていただけに、いろいろと物議を醸している。

明治末期に建てられ輸出用生糸を収めていたこの倉庫、関東大震災の被災を免れその後の貿易復興の先導的役割を果たした貴重な遺産として知られていた上、国内では現存例がほとんどないレンガや木造、鉄筋を組み合せた混構造と技術的面でも可也の価値があっただけに建築関係者からも惜しむ声が上がっていた。

生糸といえば8年前には生糸先物を上場していた横浜商品取引所もひっそりとその100年以上の歴史に幕を閉じたが、それはともかくも他にも旧帝蚕倉庫もリーマンショック後には同じような憂き目に遭い、横浜松坂屋本館、日本ビクターの工場など歴史的建造物の取り壊しが相次いできた。いろいろ事情があるのだろうが行政としては為す術がなかったのであろうか一連の件は甚だ残念である。


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