119ページ目   雑記

時価総額逆転進行形

さて、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で3月に約7年2ヵ月ぶりの安値水準まで急落した東証REIT指数だが、個別ではその後の戻り局面で物流施設型の日本プロロジスリート投資法人がオフィス型の日本ビルファンド投資法人を上回る局面が出るなど、時価総額トップが初めて交代する逆転劇があった旨が先週末の日経紙にあった。

昨年末には約5,000億円近くもの開きがあった両者だがテレワークの普及でオフィス不要論が喧しくなる一方でネット通販の急速な伸びを背景に鞘が急速に縮小したという構図だが、コロナ禍を背景にしたこの手の勝ち組現象は先月に取り上げた米テスラも代表格で先のトヨタ超えも束の間、今やその時価総額は日本を代表するトヨタ、ホンダ、日産のトップスリーの合計時価総額をも上回る。

こうなると段階的に設定されたそのストックオプションの方も物凄い事になりそうだが、それは兎も角も米では他に半導体大手インテルが同業のエヌビディアに抜かれたり彼方此方で逆転現象が起きている。こんな光景はリーマンショック後を彷彿させるが、コロナ後を先取りする動きは各種指標が示す過熱感を横目で見ながら次の逆転候補を捉えて止まる事はないだろうか。


遡及適用の是非

さて、先週は大阪の泉佐野市がふるさと納税制度の対象自治体から除外したのは違法だとして除外決定の取り消しを求めていた訴訟の上告審判決があったが、注目された最高裁の答えは国の勝訴とした高裁の判決を破棄して決定を取り消し泉佐野市の逆転勝訴が確定するというものであった。

もともとはこの裁判、総務省の後出しジャンケンではないか?といった遡及適用を巡る点が焦点でもあったが、果たして法律上やはり国の裁量がここまで許されてしまうと何でもアリとう事になってしまうというところで待ったとなった格好か。とはいえ泉佐野市も社会通念上の節度を欠いたとされた通り行儀が悪かったのは否めないところで、今後は地場産業など襟を正した勝負で臨むか否かこの辺が注目されよう。

地場産業の開発も知恵の絞りどころだが、最近では首都圏などでこのコロナ禍で売上げが減少した事業者の商品を返戻品に採用したり、飲食店等支援の為の寄附金による基金創設などの動きもあり都内ではその使い道に新型コロナウイルスの感染防止対策を加える動きも出て来ている。

ともあれこの一件で総務省は今月に入って今後の返礼品提供には審査を受ける必要があるもののこの泉佐野市を含む3市町についてふるさと納税制度への復帰を認めると明らかにしているが、今回のケースは総務省が自治体に権限を及ぼす事で動かして来た地方自治の在り方を問うた事例といえるだろうか。


35年連続1位

本日は所用で銀座に行ったが、鳩居堂が視界に入って来た際に今月アタマに国税庁が2020年の路線価を発表していたなと思い出しつつぼんやりそれを眺めた。この鳩居堂は今年も安定の一位で実に35年連続、また全国約32万地点は昨年比で1.6%のプラスとなり5年連続で上昇している。

今年開催される予定であった東京五輪は新型コロナウイルスの影響でオリンピック史上初の延期という憂き目に遭い、インバウンド誘致を睨み争奪戦の様相を見せた銀座界隈のテナントをおさえた向きには肩透かしの一面もあっただろうがそれでもなお再開発や物色の手は水面下で緩むことなく人気と共にこのエリアの新陳代謝は続くか。

ところで斯様なエリアはそれとしてコロナ禍以前に賑わった他の観光地の一部はまた別、今回の路線価上昇の背景には新型コロナウイルス禍の影響が反映されていない1月1日時点という事情があり、そうしたところは営業再開後もなお賑わいがすっかり失せてしまっているところも多いだけにインバウンドを背景に高い上昇率を辿って来たところは先行きの不透明感に戦々恐々だろうか。


鯨二頭

さて、その運用資産が3月末時点で約150兆円にのぼる世界最大の機関投資家であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、20年1月〜3月の運用損失が新型コロナウイルスの感染拡大が金融市場を直撃した影響を受けて17兆7072億円と四半期で過去最大となり、今後は外債投資を増やす方針との旨の発表をしている。

もっともその後の株価上昇を勘案するに四半期で過去最大の損失云々はそう心配することもなさそうだがそれにしても約35.5兆円の存在は大きい。これと双璧の鯨的存在に日銀の存在があるが、こちらも先週に東証が公表したところによると日本企業の株主構成で日銀の比率が一段と上昇している旨が週末の日経紙に出ていた。

しかし東証の時価総額が現在約548.2兆円、うち冒頭のGPIFが上記の通り約35.5兆円、そして日銀が約31.2兆円とこの両者で実に東証時価総額の12.2%を占めている歪んだ構図はやはり気になる。形を変えたPKO論からコーポレートガバナンスへの影響論も喧しいが、金融緩和のランディングの在り方としても今後課題となってくるだろうか。


総会もバーチャルへ

先月は株主に総会関係の書類が順次届き株主総会も先週ピークを迎えたが、通常は多くの企業が株主に参加を促す株主総会も、今年は新型コロナウイルスの影響でクラスター発生防止の観点から送られてきた封筒には「株主総会当日のご来場はお控えいただけますようお願い申しあげます」等の一文が印字されているのが各社目立った。

この辺は先に経団連が公表していたガイドラインに即したもので議決権行使に関してもまたインターネットによる議決権の行使を選択するよう推奨されていたが、過日の日経紙夕刊一面にもスマホを使って株主総会で議決権を行使できるサービスを導入する企業が2020年3月末時点で424社と、サービスが始まった18年の3.7倍となるなど増加している旨が書かれていた。

昨年にこれを取り上げた時点ではサービスを開始した企業は約160社と書いていたが、上記の通りとその数は急増しており簡素化による個人参加の上積みで議決権比率が上がっている会社があるのも想像に難くない。これが始まった当初は新型コロナウイルスなど未だこの世に存在もしていなかったと思うが、ここでもまた新型コロナウイルスが総会における形の在り方をも変えてゆく契機となるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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