退屈消費の勝者

さて連日見どころ満載な熱戦の東京オリンピック、昨日のスケートボード女子パーク決勝ではNHKオリンピック放送アスリートナビゲーターを務める北島康介氏が派手なルイ・ヴィトンのモノグラムマルチウォーターカラーシャツで登場し話題になっていたが、この仏LVMHモエヘネシー・ルイ・ヴィトンといえば先週発表した決算もまた話題になっていた。

春に発表された同社の1-3月の売上高はこのルイ・ヴィトンの販売が伸び市場予想を上回る前年同期比32%の増加を見せここでは利益を明らかにはしていなかったものの、果たして2021年1-6月期決算では純利益が前年同期比で実に10倍と驚異的な数字を叩き出していた。コロナ禍前の19年1-6月期比でも6割増加しており、コロナ禍で行動が制限されるなか富裕層の消費が高級ブランドへ向かった様子が鮮明化している。

当然ながらこうした事を背景にしてその株価も綺麗な右肩上がりを描いており、市場最高値を更新した欧州の主要株価指数「ストックス600」をこのLVMHやエルメスは更に大きく上方乖離している。旬なモノに指標の割高感を説いても耳を傾ける向きは少数派だろうが、既にそのPERはLVMHが37倍、エルメスに至っては60倍を超えてきており鯨化している米アップルやフェイスブックの20倍台をもしのいでいる。

先に発表された世界の富裕層でも所謂ミリオネアは20年末から1割増加し金額ベースでも46%を占めている事で富の集中が進行している旨を先月の日経紙で見たが、高級ブランドや高級ブランド株に資金が群がり富裕層が更に消費を謳歌する裏で冒頭の20万円近くするアロハシャツなど到底手が出せない中低所得層との経済格差が自ずと浮き彫りになっている。上記の高PERや買い物客の裾野の広がり等という理想論も置いてけぼりで、偏った消費が更に熱を帯びるさまは正に世の縮図を表しているともいえようか。


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