121ページ目   雑記

明暗分かれた在庫増

今月のアタマに当欄では「コロナの歪」と題し、昨今のコロナ禍を背景とした国境閉鎖や商業航空の大幅な減便など物流リスクの影響で現物デリバリー前提の裁定取引の困難から貴金属のNY先物価格とスポット価格との差が顕著になっている旨を取り上げたが、本日の日経紙商品面にはNY先物市場で現物の金の在庫が急増している旨が載っていた。

コロナショックの真っ只中から経済再開の動きを経て物流リスクも病み上がりの中漸く正常化に向けての歩みかというところで、併せて商機とみた裁定の方もこれが効いて来た格好か。これと併せCMEのデリバリー規定緩和も背景にスイスから米国向け金輸出は昨年比で4月は実に115倍に膨らんだという。

今週は週明けのNYダウがコロナウイルス感染第2波懸念からラバで急落する場面も見られたが、斯様に再度の物流リスクも睨みながらこの一連の動きの中で現物志向も高まっているという。在庫増といえば先のWTIも記憶に新しいところだが、同じ在庫増でも両者でその背景は事情を全く異にしているという感だ。


お土産に続き・・

さて、緊急事態宣言発令前の当欄でコロナ禍の影響で外食チェーン各社が株主優待食事券の有効期限を相次ぎ1〜3カ月程度延長し始めた旨を書いていたが、昨日の日経紙夕刊1面には新型コロナウイルスによる企業業績への打撃によりこれまで提供してきたプリベイドカードや百貨店のカタログギフト等の株主優待を休止や中止するなど決めた企業が5月末迄に約10社に上る旨が出ていた。

株主優待といえば優待満喫生活を売りにしたタレント化した投資家など度々メディアが取り上げているが、昨年は株主優待制度導入企業が1月末で1500銘柄を超えるなど実に上場銘柄全体の4割に達し、近年では長期に保有するほどより優遇を受けられる仕組みとする企業も増加してきていた。

またこのコロナ禍の影響で今月が酣となる総会も今年は様変わりの光景だろうが、ただでさえここ数年の間に個人株主の楽しみの一つでもあった総会のお土産も続々と廃止する企業が続いていただけに上記と併せこれら目当ての個人が更に篩にかけられる構図が見えるが、ここ数年持ち合い解消促進の後の受け皿としての個人の存在が重要視されてきただけに今後各社共に思案のしどころだろうか。


大化けする報酬

さて、米テスラCEOのイーロン・マスク氏が設立した企業である米スペースX社が開発した新型宇宙船「クルードラゴン」が新型宇宙船としては1981年のスペースシャトルの初飛行以来、約40年ぶりに無事打ち上げられた旨の報道が過日あったが、これまで官主導だった有人宇宙開発がこれで民主導に切り替わる第一歩ともなるか。

ところで同CEOといえば、2018年に承認されたテスラのストップオプション規定に基づき実に7億ドル超の成果連動型報酬を受け取る事が俄かに話題になっている。最初のハードルは時価総額1000億ドルで先ずはこれが達成となったが、この報酬体系承認を得た当時の時価総額は約530億ドルであったのを考えるに成る程といえる伸びであるのは否めない。

しかし同社といえばやはり2年前にはSECまで巻き込んだ幻のMBO劇の黒歴史?が記憶に新しいが、最近ではこのコロナ禍のなかCSRを地で行くべく人工呼吸器を生産し世界の病院に向け無償配布するなど精力的な活動も経て昨日は初の1000ドル大台乗せを達成、はや時価総額は一時1860億ドルにまで達し粛々と次のストックオプションのステージも睨み駒を進めている。


BLM

さて、米暴動の切っ掛けとなった白人警官による黒人暴行死事件への抗議デモは先週末に首都ワシントンで最大模化となった旨の報道があったが、多くのセレブやあの素性不明のバンクシーも人種差別をテーマにした新作をインスタで公開しこの抗議デモへの支持を示すなど収束の見通しは立っていない。

経済不安も背景にどさくさ紛れの略奪も横行しているが、そんな混乱を他所に株式市場の快進撃は止まらない。そんな全面高に紛れ銃器大手S&W等も大幅高を演じたが、こんな銃器ポストの物色といえばオーリンの史上最高値更新はじめ銃器物色に染まった米ラスベガスの銃乱射事件など記憶に新しく、またぞろVICEFUNDが息を吹き返しそうな勢いだ。

国内市場も昨今の北朝鮮情勢やら香港国家安全法を巡る混乱を背景に銃器大手豊和工業はじめ石川製作所や細谷化工などの関連物色があったが、SRIやらESG投資などの真逆?をゆくこの手の同時物色のカオスは破竹の勢いの市場との不気味な乖離感を際立たせるのに一役買っている。


ETF彼是

さて、先週末の日経紙総合面には「金ETF資金流入続く」と題し世界の金ETFが価値の裏付けとして保有する金現物の残高が1〜5月に計623トン増加し金額にして337億ドルの資金が流入、5か月間の流入量がこれまで最高だったリーマンショック後の2009年の年間量を上回るなど資金流入が止まらない旨の記事があった。

その量は先月末で過去最高の3,510トンとなりこれは世界の金鉱山の年間生産量に匹敵する規模というからその勢いも推して知るべしだが、ETFといえばもう一つ国内では日経平均のダブルインバース型ETFの投資口数がこの2カ月強で2.6倍に膨らむなど個人の逆張り投資姿勢に乗り人気を博している旨も同紙市場点描に出ていた。

逆張りの個人が群がったモノといえば直近では先の原油暴落時のETFがあるが、野村のインデックスなどその値段も当時の二桁から三桁に回復しはや5割高と刈り取るに十分な水準となっている。オプションのコールも然り、貸借倍率云々で逡巡するより先ず乗る勢いが奏功しているのが今の相場だが、冒頭の通り再びリスク資産と安全資産が並走する同時高も何所まで続くのか併せて見ておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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