124ページ目   雑記

自社株買いにMBO

さて、今年はコロナ禍による業績悪化を受けて多くの企業が自社株買いによる株主還元に慎重であったものの、一週間ほど前の日経紙には10月以降に自社株取得枠を設定すると発表した企業は約100件と業績が底入れすると判断した企業が還元に動くなど自社株買いに回復の兆しがある旨の記事が出ていた。

もう一つの背景として昨今はアクティビストの存在が影響力を及ぼしている部分もあり、実際に株主提案を受けた経緯のある向きの中には実施を決めたところも出ている。本日の日経紙投資情報面にも4月から9月期に株主還元を増やした企業一覧が出ていたが、首位のソフトバンクGなどもこのパターンで株価が下がればいつでも再度の自社株買いに打って出る構えを見せている。

同社の場合巨額資産の売却により潤沢な資金力が背景になっている部分もあるが、それゆえ同時に此処はMBOの噂もまた喧しい。このMBOも非公開化で経営の自由度を高め機動的に意思決定を図る狙いで今年は9月までに届け出のあった件数・金額共に2013年以来年ぶりの多さとなっているが、環境が変るなか経営改革を進めようとする何れのパターンも今後は増加傾向を辿る可能性が高いか。


ボージョレ・ヌーヴォー2020

先週末は毎年恒例ボージョレ・ヌーヴォーの解禁であったが、ここ10年では2012年をピークに2013年以降減少傾向が続いていた輸入量が今年は新型コロナウイルスの影響から飲食店向け消費の減少を見込んで酒類大手などその輸入量を前年比で約2割減らしたという事もあって一段と減少する見込みだ。

とはいえボージョレ・ヌーヴォーは輸出量の半分を日本が占め、この時期の商機だけに各社共に巣ごもりに的を絞り有機栽培からビーガン対応等々その取り込みに工夫を凝らしている。こうした需要増を反映し今年は一部百貨店では事前ネット予約が前年比で1.7倍に増加し、専門店のエノテカでは解禁前までのネット予約受注が前年実績を15%上回った模様。

ハロウィーンからクリスマスまでの空白期を埋める商機の位置付けもあるこのボージョレ・ヌーヴォー、今年は新型コロナウイルスの影響でこれに絡むイベントもオンライン以外は大々的に出来る雰囲気とは言えずいつになく静かな商戦ともいえるが「お家ボージョレ」も今年限りで廃れるか否か来年の商戦はどうなっているのだろう。


ブランド農産物保護

さて、今の時期の風物詩といえばスーパーや巷の彼方此方で焼き芋が売られている光景を目にするが、焼き芋の中でも人気の「紅はるか」など知的財産として登録されたブランド品種の一つでもあるものの依然として不正に海外に流出し韓国などでいまだ堂々と栽培されているのが現状という。

これらは韓国で陳腐な名を付けられた挙げ句に今や生産者量の4割にも達するに至っているが昨年も取り上げた通り、他にもシャインマスカットはじめ林檎やみかんなどのブランド品種がアジア近隣国でやりたい放題に栽培そして販売され、登録の隙間を縫って生産が急増し価値を毀損させるような廉価攻勢をかけているだけに問題は深刻だ。

こうした現状を鑑みこれらに対する保護をより強固なものにしようという事で、新しいブランド品種を無断で海外に持ち出すなどした場合、生産・販売の差し止めや罰金の対象とする種苗法改正案が今週は衆院農林水産委員会で可決され本日にも参院に送付される見通しとなっている。

前国会では所謂「自家増殖」の絡みなどから生産者の反対に遭い先送りになった経緯があるなどこの辺の匙加減も難しいものがあるが、上記の通りで今年の9月時点でもブランド農産物の実に32品種が海外に流出し不当極まりない売られ方をされている現状など見るにやはり喫緊の課題ともいえようか。


派生需要

昨日の日経紙金融経済面には大阪取引所が米国の原油価格に連動した指数先物を2021年秋に上場の予定や、東京金融取引所が原油のETFを使った証拠金取引を同じく来年にも始めるなど、分散投資の受け皿として原油取引の注目が高まるなか国内取引所で関連金融商品の上場構想が相次いでいる旨が載っていた。

今年は新型コロナウイルスの影響で株式始め金融マーケットが大揺れとなったが、コモディティーも然りで特にこの原油など史上初めてのマイナス価格を示現するなど前代未聞の出来事が起きたのが記憶に新しいところだが、このマイナス価格を齎した原因と結果を具有したのは米最大の原油ETFであった。

この時は国内のマーケットではストップ安まで売り叩かれた野村アセットのETFに個人投資家が群がりその売買代金が約200倍にも膨らんだのも思い出すが、これ以外でもシンプレクスのWTI連動型やTOCOM原油ダブルブルなども売買代金が100億円台に乗せるなど急増した経緯がある。

いずれもその後の切り返しで貸借倍率が100倍近くでも多くの投資家が数回転出来たと思うが、斯様に動けば枯れ木に花の賑わいになるのは健在。通常から安定したリクイディティーが望まれるところだが、冒頭のような商品の拡充で更なる派生も考えられこれらが上記の一助となる可能性が高いだけに期待したいところだ。


TOB其々

さて、国内企業へのTOBでは最大規模といわれたNTTによるNTTドコモの完全子会社化に向けたTOBは本日NTTがドコモ株の保有比率が66.21%から91.46%に上昇しTOBが成立したと発表、今後TOBに応じなかった株主にも持ち分の売り渡しを請求して残りの株式を取得しドコモを完全子会社化する意向としている。

ドコモはTOB期間中という事情もありこの間他社のサブブランド追加を横目に沈黙していたが、これで菅政権が求める携帯電話料金引き下げに対応した新しいプラン発表が近々に行われるか否か注目されるところ。ところでTOBといえば注目されたニトリが突如として参戦した島忠へのTOBもあったが、果たしてこちらは競っていたDCMにニトリが競り勝つ決着となった。

鳶に油揚げをさらわれたこの乗り換え劇も結局は愛の力?よりカネの力の方が勝ったという下衆な勘繰りは兎も角も、コロナ禍にあって勝ち組と囃されてきたニトリとはいえこれほど大掛かりなM&Aは過去経験が無く、これから「お、ねだん以上」に企業価値を高められるか否か今後の舵取りが試されるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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