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国際金融センターランキング

先週は日経サステナブルフォーラムが開催されたが、そこで総理は新しい資本主義実現会議のもとに投資拡大に向けた政策を議論する分科会を設けると表明、NYで表明した煩雑な行政手続きを英語で完結するなど海外投資家が活動し易いように環境を整える等の資産運用特区などを議論し年末までに政策プランをまとめる方針と述べていた。

この海外の資産運用会社を日本に誘致する狙いの特区だが、ちょうど先月末に公表された国際金融センター指数によればランキングのトップは安定のニューヨーク、次いでロンドン、そして3位がシンガポールとなっている。という事で肝心の東京はというと21位と前回の16位より更に5つランクを下げなかなか不甲斐ない位置に甘んじている。

もっとも1年前は曲がりなりにも9位とトップテン入りしていたワケだから前回も既に7つランクを下げていることで今回も連続ランクダウンと凋落が目立つのは否めない。ちなみに政府はこの資産運用都区の候補として東京以外にも大阪、札幌、福岡を軸に検討しているようだが、このうち大阪が同ランキングで辛うじて38位に位置しているものの札幌や福岡はランク外となっている。

このランキング、今後数年で重要になると想定される都市には東京以外のアジア勢が数多挙がって来ているが、現状の日本の運用会社の規模などを見るにこれに挙がって来ないのも納得でなんとも心許ない。この辺はホームバイアスの特異さなどが背景になっているワケだが、先ずはこのあたりの現状から見直さなければならないのかもしれない。


ノーベル賞ウィーク2023

さて今年もやってきた恒例のノーベル賞ウィーク、皮切りとなる昨日の生理学・医学賞には新型コロナウイルスワクチン等に欠かせないメッセンジャーRNAの基盤技術を開発したペンシルバニア大の教授らが選ばれた。誰もが納得の受賞であったが、続く本日3日の物理学賞にはアト秒パルス光の研究における功績で欧米の原子物理学者3氏が受賞することとなった。

かつてはこの時期になると株式市場でも有力候補が絡む関連銘柄がザワついたものだったが、昨年は日本人の受賞が無く数年前のバイオ株のようにストップ高に乱舞するお祭り的な光景は見られない。10年以上も本命視されながら肩透かし?が続く文学賞に絡んでもなかば恒例となっていた丸善HDや文教堂HDの先回り買いももはや見られることなく盛り上がりに欠ける展開になりつつある。

その辺は兎も角も明日4日は化学賞、明後日5日は文学賞、そして6日には平和賞、9日にはこれまで唯一日本人が受賞したことのない経済学賞が発表される。上記の通り昨年は全ての賞において日本人の受賞がなく仮に日本出身者が受賞となれば一昨年の米プリンストン大学上席研究員の真鍋氏以来、2年ぶりとなるだけにこれからの発表を関連銘柄の動向と共に引き続き見守りたいところだ。


数多改正の10月

月初め恒例の値上げ品目チェックだが、帝国データバンクによれば今月の食品値上げは4634品目が対象となり、先ず酒税法改正で第3のビールが1缶あたり約9円の値上がりとなることで値上げされるうちの7割が酒類・飲料で占められる。他、コカ・コーラやサントリー食品が大容量ペットボトルを、丸大食品やプリマハム等でハム・ソーセージ等の加工食品を再値上げなど年間累計としても昨年水準を大きく上回る。

実際に日常買いしているモノで最近実感するのは原材料の類など特にオリーブオイルなどスペイン産の値上がりが著しい。そういえば冷凍食品でもかつて食べた際にそこそこ美味しいなと思ったハンバーグを先日スーパーで目にする機会があったが、しばらく買わないうちにかつて400円そこそこで買えたモノが900円台半ばと実に2倍に化けているのを見て改めて驚いたものだ。

ほか外食では毎年10月に値上げを重ねてきた吉野家が今年も今日から牛丼などの主力商品を値上げし、食品以外でも日本郵便が宅配便のゆうパックの料金を平均で10%値上げ、東京ディズニーリゾートの1dayパスポートも繁忙期でこれまで9千円台であったものが1万円の大台を超えることになる。また前回で書いた通りふるさと納税もルール変更でこれを遵守するために寄付額を引き上げる自治体も少なくない。

斯様に昨年来の相次ぐ値上げで企業収益は改善したが消費者の購買力が低下して売れ行きが伸び悩んでいる部分も出始めている事などから、一方で今月はおよそ800品目の値下げも予定され年内の値上げは今月で一旦落ち着くとの見方もある。コストアップ要因は依然燻ってはいるものの、PB商品含め消費者を囲い込む小売各社の戦略にも注目しておきたい。


狙い撃ち?

これまで幾度か制度が変更されてきたふるさと納税だが、昨日の末尾にも書いた通り来月から返礼品を用意するための必要経費を5割以下に抑えるルールが変わる。これまではそこに含まれなかったワンストップ特例に関する申請書の受付事務手数料等や、仲介するポータルサイトに払う手数料など諸費用も必要経費に算入されるなどルールが厳格化される。

というワケでこれまで同様の返礼品を受け取るには受け取る寄付金を増やすかこれが適わぬ場合は分量を減らすかということになるワケで、この改正を前に既に一部の自治体は寄付金の値上げに踏み切っているところも出始め今月は駆け込み需要で一部仲介サイトでは昨年同期比で1.5倍の寄付額が寄せられた模様だ。またもう一つの変更が地場産基準だが熟成肉と精米については来月から原材料がその都道府県で生産されたものに限られるというもの。

内容の異なる二つだが、しかしハムやら何やら海外の加工品が数多認められる中で熟成肉が狙い撃ちされたあたりが違和感を禁じ得ない。熟成肉といえばこれまで多彩なラインナップで思い出すのが大阪泉佐野市だが、同市といえば3年前に遡及適用を巡り総務省と法廷バトルを演じた件が記憶に新しい。結局逆転勝訴を勝ち取り制度復帰を叶えたワケだが、よもやこの辺がまだ燻っているのかと下衆の勘繰りも。

ともあれ勝訴して復帰してからの同市はクラファンで外部企業を誘致し新たな地場産品を生み出すと同時に企業支援もする取り組みなど意欲的な工夫が見て取れたものだが、そもそも資源の乏しい日本は他所から輸入し加工・輸出をしている取り組みをしているだけに自治体が同様な取り組みをする何処が問題なのか甚だ疑問でなんとも釈然としない今回のルール変更である。


インボイスの憂鬱

インボイス制度開始まであと数日というところだが、昨日は首相官邸前にフリーランスなど多数の人々が集まりインボイス制度導入に反対する集会が開かれていた。周知の通りこの制度、10%やら8%やら複数ある消費税の税率を明確にするため現行の請求書に登録番号や税率、税額を追加したインボイス(適格請求書)を導入するもの。

この制度により現在は消費税の納税が免除されている免税事業者が課税事業者となってインボイスを発行しなければ発注元の事業者が消費税の仕入れ額控除が出来なくなり二重課税で負担が増えてしまうワケだが、課税事業者となれば当然ながら今まで払ってこなかった消費税を払わなくてはいけなくなる事で税負担が増える構図になる。

そうなると現状維持という手もあるものの、領収書の問題もあるので替えの利く事業者が複数ある場合は契約減少や、取引価格の引き下げ要求が為されるリスクも同時に付いてくる。実際に東京商工リサーチが都内企業に方針をヒアリングしたところではこれまで通りが57.9%、取引しないとの回答が7.2%、取引価格の引き下げが4.6%となっていた。

事業者によっては進むも地獄退くも地獄といったところも出てこようが、これらを鑑みて国としても激変緩和措置として課税業者に転換した向きの消費税の暫定期間軽減措置や、課税事業者に対しても免税事業者から仕入れ分についての暫定期間減免措置などを講じる模様だが、いずれにせよ来月からはこのインボイスはじめ最低賃金からふるさと納税、新型コロナに関する支援まで生活や家計に影響が及ぶ制度変更が予定され各所の対応が求められる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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