15ページ目   雑記

サウジが買うもの

先週末の日経紙マーケット面には「オイルマネー、日本株照準」と題し、足元の原油価格の上昇で運用規模が膨らんだ中東のSWF(政府系投資ファンド)などオイルマネーが、日本株の本格買いに向けてSWFの日本拠点の開設や日本人のリクルートなど含め準備を進めている旨などが書かれていた。

当欄ではこのSWFの中でもサウジアラビアのPIF(パブリック・インベストメント・ファンド)が保有し買い増ししている銘柄を今年始めに取り上げていたが、先週末の日経紙に載っていたこれらの保有銘柄を見ると、買い増しを続けてきた任天堂の保有比率が更に伸びこれ以外にも挙げた東映やネクソン、コーエーテクモなど他の銘柄群もその保有比率をそれぞれ当時より増やしている。

以前にも書いたが将来的に避けられない脱石油依存を見据えた国興しの多角化の狙いが見えるが、そういった意味で日本株と共にPIFの爆買い?が目立つものにサッカー選手がある。昨年のC・ロナウドに続き、今年はネイマールなど超の付く大物選手をPIFが買収したクラブチームがそれまでの数倍の破格な年俸で次々と獲得している。

近年サウジは女性のサッカー観戦を解禁したり映画館も約35年ぶりにオープンさせるなど開放路線を取ってきているが、東映株の買い増しや著名選手獲得などこの辺を背景にしているか。そういえばこの夏に岸田首相が同国を訪問していたが、脱石油依存を見据えた経済的パートナーとしての日本のプレゼンスは高まって来ているだけに引き続き同国の今後の動きには注視しておきたい。


究極のサブスク

さて、知人が海外留学している娘に会いにひと月ほど留守にするというので頼まれて彼女の愛犬を預かることになったのだが、ペットといえば明日からエリエールで有名な大王製紙がペット用品事業に本格参入する。人間用のオムツの製造過程で出る端材なども活用し、猫のトイレに敷く砂や犬用のおむつなど、犬17品目、猫14品目の商品を販売開始するという。

2年ほど前だったかコロナ禍の中での国内のペット事情を取り上げた際に新規で飼い始められた数として20年は前年比で犬が14%増、猫は16%の増加を見せ過去5年間で伸び率は最も高かった旨を書いていたが、米でも飼われているペット数はパンデミック中に急増し22年11月時点での数字は2019年比で約500万匹の増加を見せている。

これに伴いペット関連ビジネスも多様化し、犬の散歩代行をするドッグウォーカーや飼い主が留守中の間の世話をするペットシッター事業などを運営する会社等は好決算を発表、ペット用のネット通販大手もペット用保険事業を立ち上げ処方箋薬購入やオンライン診療を受けられるサービスを開始し、動物向け医薬品大手もFDAから2つの治療薬が承認されるなどペット向け医療の成長期待も高まっている。

昨日に年初来高値を更新してきた冒頭の大王製紙は、グラフィック用紙等が年々減少しているのに抗えない部分がありそれを補い代わるものとして近年市場規模が伸びているペット事業・産業に参入としているが、米ペット製品協会でもペット関連売上高は年平均で約1%成長しているという。年を重ねるほど愛着が深まってくるペット消費は、その命が続く限り無くなることはない究極のサブスクともいえる。


半導体に沸く地価

昨日は国土交通省がまとめた今年7月1日時点の土地取引の目安となる基準地価が発表されていたが、住宅、商業、工業地などを合わせた全用途平均で昨年より上昇幅を拡大させ1%上昇となりこれで2年連続の上昇となった。これまで地価上昇の流れは大都市中心であったが、地方圏も0.3%上昇し31年ぶりにプラスとなるなどこの流れが地方にも広がっている。

地方といえば今年はさながら半導体バブルの様相を呈しており最も地価が上昇したのは北海道の千歳市でトップから3位までを独占、ココは次世代半導体の国産化を目指すラピダスの工場エリアだが1位と2位は昨年比で実に30%も上昇した。また商業地で最も地価が上昇したのは熊本県菊池郡大津町でココもまた30%以上の上昇となっていたが、こちらも台湾の半導体メーカーTSMCの工場建設が大きく影響している。

また、全国で最も地価が高かったのは1平方メートルあたり4010万円の東京銀座「明治屋銀座ビル」であったがこれで此処は18年連続となった。銀座といえば今年はあのH&Mが路面店を再オープンと5年ぶりに銀座に戻ってきたが、コロナ禍真っ只中の頃に空きが出ていた好ロケーション物件も虎視眈々と狙っていた向きですっかり埋まりまた優勝劣敗の新陳代謝が始まるか。


富裕層さまさま

本日はパレスホテル東京から豊穣の秋を祝うとして旬のレストランメニューやペストリーショップ新作から宿泊プランなどの案内が来ていたが、このパレスホテル東京といえば今月アタマの日経紙に平均客室単価が海外の高級ホテルの目安とされる10万円を最需要期3~4月に初めて超えた旨の記事があったのを思い出した。

ちなみにこのホテルの近所に位置する帝国ホテルも「ホテル御三家」と言われている割には外資勢との比較で料金の安さは否めないとかねてより指摘されてきたが、こちらも上記最需要期には平均客室単価が6万円近くまで上昇しコロナ前の3万円台から比較すれば随分と回復したものだ。

これら総じてインバウンドの回復に伴う富裕層の消費に則したものだが、冒頭のパレスホテル東京といえば富裕層の取り込みを推進するべくコロナ禍にスイートルームを増設していたが、首都圏に限らず栃木県の老舗、日光金谷ホテルなども富裕層を取り込むべく1973年以来の別館改装でスイートルームを新設している。

Gotoトラベルで都内のラグジュアリーホテル勢がほぼ半額で泊まれたのも今は昔、春にオープンしたブルガリホテル東京など一泊最低25万円からと現在では欧米富裕層に買い負け?てなかなか気軽に手を出せる値段ではなくなってきている。経済を考えるに喜ぶべきか悲しむべきか複雑な想いだが、今の円安を考慮すればまだまだ上昇曲線を描きそうで各施設の今後の動きも引き続き注視しておきたい。


補助金乱発

数日前に近所のSSで給油したところ前回給油時より若干ではあるが値段が下がっていたが、このガソリンといえば先月末には15年ぶりに過去最高値を更新している。周知の通りこれを受け政府は、本来今月末で終了予定だった価格上昇を抑えるための補助金を年末まで延長すると発表している。

前回当欄ではトリガー条項の凍結解除をするに今は好機だと思うとも書いていたが結局この部分は触らずに補助金延長を持ってきたワケだが、JAFなども先に自動車ユーザーが到底理解・納得できない仕組みを一刻も早く解消すべきとして「当分の関税率」の廃止などを政府に求める声明を出している。

しかしユーザーが到底理解・納得出来ない仕組みといえば度々取り上げた二重課税が最たるものだろうか。そもそもの話で税金に税金を課すこと自体に理屈が立たないワケだが、当然ながらこの辺についてもJAFは言及している。また特定のモノに絞る補助金に関しても依然として公平性の観点その他諸々の理由で賛否両論が喧しい。

ところで先に財務省が発表した2022年度の一般会計決算では国の税収は前年度比6.1%増の71兆円超と3年連続で過去最高を更新している。消費税など増加しているにもかかわらず一部からは更なる増税議論が出ているが、それは兎も角も税収が斯様に過去最高な時だけに制度見直しで還元が可能になる部分など再考すべき余地もあるのではなかろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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