186ページ目   雑記

池坊2018

さて、今週は本日まで開催されていた「池坊展」を今年もお誘いがあったので観て来た。ここ数年春の展は三越が多かったのだが今年は久し振りの会場復帰で、うえの桜まつりもあり花見客で賑わう雑踏を抜けちょうどブリューゲル展も開催されている東京都美術館へ。

今年も華督の方々の若松に枝垂桃、オクラレルカなどこの季節が旬な素材を駆使したオーソドックスな立花正風体が安定の素晴らしさで、また立花新風体の方も竹筒を刳り貫いた様々な素晴らしい花器にカンガルーポウや変わり種のオーキッド等珍しい素材を縦横無尽に駆使した意欲的な作品が多く見られた。

池坊展といえば昨年は映画「花戦さ」の公開があり、その公開記念という事で織田信長の所望で岐阜城大座敷に活けられた見事な昇竜松を主体にした雄大な大砂物など実際に撮影で使われたものが展示されていた圧巻な展で、その残像比で今年はこじんまりとした感も無いわけではなかったがそれでもやはりこの期に相応しい素晴らしい展であった。


運用と世論

本日の日経紙投資情報面には「マネーの力は社会変えるか」と題し、米フロリダ州の銃乱射事件を切っ掛けに市民団体などが銃の製造・販売企業への投資を止めるよう働きかけている事に対し世界の資産運用会社が自社のレピュテーションリスク等を考慮し悩んでいる旨が載っていた。

確かこの手の件に前回触れたのは確か昨年の米ラスベガスで起きた銃乱射事件の時だったと思うが、この時も防衛心理や規制懸念の駆け込み需要期待から過去最高値を更新したオーリン始め他の銃器メーカーが軒並み高となり、SRI投資の真逆をゆくVICEFUNDの上昇が米株全体を上回った旨を書いていた。

しかし史上最悪といわれたこのラスベガス銃乱射事件から半年もしないうちに起きたこの高校での銃乱射事件勃発で、さすがに運用会社も日経紙にあったように無為無策は許されないとの雰囲気が出てきたという感じか。近年は収益追求だけでなく社会を良い方向に変える事を求めSRI投資など出てきたが、簡単に変れない銃社会を尻目に運用の世界では一足早く収益追求を超えた行動成果を意識するようになってきたか。


取引所ジレンマ

本日の日経紙一面には「株式公開 緩むルール」と題して、昨今は企業が自身に有利な条件をのむ市場を選別し上場の条件交渉で主導権を握るようになり、また取引所も企業誘致のためルール緩和に突き進むなど世界で企業の新規株式公開のルールが骨抜きになるリスクが強まっている旨が載っていた。

序盤ではソフトバンクグループの東証とロンドンに子会社上場を目指す思惑に絡んでの東証のジレンマに触れていたが、株式持ち合いやこの手の親子上場は長年日本の特異な慣行で、上場を果たしても筆頭株主が親会社のままだけに他の株主の意見が経営に反映されにくい構造という事で近年は欧米に合せ減少傾向という流れになっていた。

一方で上記のロンドン証取など史上最大といわれるサウジアラムコのIPOを誘致する為に特別上場区分を設ける動きに出ているが、このサウジアラムコといえば東証も政府のバックアップを背景に上場誘致に躍起になっている様が報じられたのが昨年の始めで、勿論他の取引所もこの超大型IPOを黙って見ている訳でもない。

本件の成り行きも注目されるが、斯様に企業が国境を越えて市場を選ぶ時代に市場の規律を保ちつつ企業と投資家の利害バランスを取引所はどう取ってゆくのか。世界的なカネ余りが企業の立場を優位にしつつあるなか大義名分と営利追究の板挟みで取引所のジレンマは始まったばかりか。


ホワイトデー2018

今週は所用で近所の三越に立ち寄ったのだが、バレンタインほどの派手さはさすがに無いものの昨日のホワイトデーを当て込んだ特設ブースなど設けられ想像以上の商戦が繰り広げられていた。この辺はお隣のマンダリンオリエンタルホテルも然りでホワイトデー限定品等が多数用意されていた。

バレンタインに比べなかなか意識調査の類も見掛けないものだが、今週の日経MJに出ていたロッテが行った調査結果ではバレンタインのお返しをもらいたいとの女性陣の回答は82.8%、対して男性陣は全員にお返しをすると答えたのは80.1%。8割の女性が値段より気持ちが重要との回答も得られているが、もらったモノより高いモノを返すのが半ば暗黙の了解だろうか。

今年のバレンタインデーの市場規模は推計で約1,300億円というが、このホワイトデーのそれは約530億円と約4割水準といったところか。バレンタインは数年前からハロウィーンのそれに抜かれたとかいわれているが、ホワイトデーからGWまでの空白期を埋める商機として今度はイースターが控えており各所の熱い商戦がまた始まる。


ROE続伸

本日の日経紙一面には「企業の稼ぐ力 米欧に迫る」と題し同紙が東証一部の上場企業を集計した結果、ROE(自己資本利益率)が2017年度に10.1%まで上昇する見通しとなりこの10%を超えるのはデータを遡れる1982年度以降で初めてとの旨が書いてあった。

このROEといえば当欄ではちょうど昨年の今頃「国際標準への課題」と題し同じく触れていたがこの時は前年の上場企業のROEは8.3%と3年ぶりに上昇、この8%台達成がそれまで機関投資家が日本株に求める最多株主資本コストであった事でほぼ機関投資家要求を満たす旨を書いていた。

とはいうものの末尾では国際標準ではお世辞にも遜色ないレベルという状況でもない旨も記しておいたが、個別では欧米水準と肩を並べるところやそれ以上の企業も散見されるものの全体ではまだ伸びしろを残している。自社株買いなど近年は目に見えて盛んになって来たが、コーポレートガバナンス・コード等と併せ今後も全体の嵩上げが如何ほど進むか見ておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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