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高級スーパー再編劇

さて本日は所用があって出かけた先でクイーンズ伊勢丹の看板を見掛けたが、昨日の日経紙・企業総合面には「三越伊勢丹、改革は融和型」と題し、三越伊勢丹HDがこの高級スーパー・クイーンズ伊勢丹の運営会社の株式の大半を三菱商事系の丸の内キャピタルに売却すると正式発表した旨が載っていた。

高級スーパーの売却といえば最近では成城石井がこの同じ丸の内キャピタルを経てローソンの傘下入りをしたのが記憶に新しいが、その前にはJ・フロントリテイリングがピーコックストアをイオンに売却しており、今回の三越伊勢丹と併せ大手百貨店系がスーパー経営から離れるパターンが続く。

ところで上記の成城石井買収の時はローソン勢に対して三越伊勢丹も手を挙げるのではという思惑さえ出ていたのを思い出すが、当時と今とでは丸の内キャピタル含め同じキャストながら買収の構図がさま変わりしている様子がこの業界の再編劇の目まぐるしさを物語る。


景気に投機

本日の日経紙・一目均衡では「市場騰勢 景気を反映か」と題して、米国の史上最高値更新や日本の21年3ヵ月ぶりの高値水準など日米の株価が上昇しているのみならず景気の先行指標とされる商品相場もまた内外で上昇している旨の記事があった。

この辺に関しては特に非鉄の上昇が顕著でLMEの先物では銅が今月に入って7%超上昇、亜鉛もリーマン・ショック前に遡る10年振りの高値を記録している。日経平均は本日で16連騰と連騰記録を更新しているが、上記を背景にして同紙二面に出ていた連騰の間に上昇した銘柄リストでは半導体やロボット関連に交じって住友金属鉱山や大平洋金属等の非鉄金属関連が上位に顔を出している。

非鉄といえば他にはニッケルも電気自動車の市場拡大に連れ供給不足が21年3月期から顕在化してくると予測されているが、別子の場合それらを低コストで生産する技術を有しており一部アナリストの評価も高い模様。そんな個別はさて置きとしても、何れにせよそうした需給もテコに過剰流動性の投機も乗り各市場で新たな相場形成が為されて来ようか。


アベノミクス再始動?

昨晩はボクシングの村田選手が世界チャンピオンのベルトを賭け因縁の相手との再戦に臨む注目の生中継が行われていたが、その注目の戦いの画面には同時にL字テロップで選挙速報を逐一報じるという、かつて衆院選とサッカーの大きな試合がバッティングした時を彷彿させるような何とも落ち着きのない画面になった。

果たして村田選手は期待通りに雪辱を果たしたが、もう一つの衆院選の戦いは下馬評通り自民が単独280超の議席を獲得と余裕の勝利でこれでまた安倍一強が継続される事となった。こうした背景には野党側の二転三転したドタバタ劇も自民にとって勿怪の幸いとなった感が強いが、ホンの失言も針の一穴ではないが命取りになる政治の恐ろしさを見た感もある。

そんな煮え切らない構図から勝った割に漂う消去法感は鮮明、支持率とのアンバランスも微妙なところという気もする。とはいえ政局動向を最も気にする外人勢も乗る格好で週明けの日経平均は本日で15営業日連続上昇と過去最長を更新、1996年7月15日以来21年3か月ぶりの高値水準まで上昇したが、いずれアベノミクスもエグジットを日銀と共に視野に入れる必要があり何所まで外人勢が付き合うのか今後も目が離せない展開である。


忖度営業時代

週明けの当欄では資金の好循環が続くとした日経平均だが、果たして本日も続伸しバブル期の1988年2月10日以来29年8ヵ月ぶりの13日続伸を記録して年初来高値更新となったが、今月の日経紙「私の履歴書」ではちょうどそんなバブル期を駆け抜けた激動の証券界の様子を野村證券元副社長で前日本取引所グループCEOの斉藤惇氏が綴っている。

今月上旬には朝一番に仕入れと称して纏まった買いを入れそれを顧客に嵌めて、いや勧めてゆく営業の様子等を書いていたが、こうした所謂「仕切り」等の営業手法など当時は毎朝見る至極当たり前の光景であった。また週明け16日付けでも日経紙一面に載った損失補てん先リストを久しぶりに見たが何とも懐かしかった。

懐かしいと言えば営業特金という言葉もそうであったし、総会屋親族企業との一任勘定取引など一つ一つ鮮明に記憶が思い起こされる。そういえば「忖度」などという言葉が最近首相の森友学園や加計学園の問題でにわかに多用されるようになったが、大田淵・小田淵時代の証券界などまさにこの忖度が必要悪で機能し上記のような損失補償全盛期であった感がある。

廻り回って胴元の日本取引所グループCEOまで務めた斉藤氏だが、その取引所も当時の場立が犇めき合い大商い時にフエ吹が景気よく鳴り響いたフロアが、今やコンピューターシステム化を経て静寂の中にクルクルと廻る株価表示の速度で商いを測る光景に変わり果てた。二つのコードも発動されSECの監視体制も進化し証券界の水も頗る清さになったものだが、水清くしてナントカと当時のギラギラした貪欲の時代を懐古する業界人は少なくない。


規制の抜け穴と課題

本日の日経紙社会面には「仮想通貨業者 強制調査へ」と題し、ビットコイン・イーサリアムに次ぐ仮想通貨の一つであるリップルの取引を巡り顧客から現金を騙し取ったとしてこの関連会社代表を警視庁サイバー犯罪対策課が詐欺容疑で逮捕した旨が載っていた。

このリップルといえば今年の夏に一度取り上げた事があったが、春先に1円にも満たなかったものが約2か月後には50倍にも化けた経緯がある。現在は25円絡みの動きとなっているが良くも悪くも誘い水としてツールになり易い側面があっただけにマウントゴックス以来の仮想通貨絡みの詐欺事件となった。

先週から入ってきている直近の金融犯罪の報としては、他にマザーズ上場のインターネット通販企業、ストリーム株の「買い上がり」や「仮装売買」等の相場操縦で関係者を逮捕した件もあったが、近年のテクノロジーの進化と共にこうした従前の金融犯罪と並行し今後上記のような金融商品取引法でカバーされていないカテゴリーの事件も増加してくるのは想像に難くないか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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