207ページ目   雑記

今年の総会土産

本日は上場企業の定時株主総会がピークを迎えていたが、昨日記のタカタが一昨日に法的整理申請前に予定していた総会を開催、昨日には同じく渦中の東芝が決算報告無しという異例の総会が開催され、それぞれトップが平謝りに終始し虚無感漂うなか取締役の再・選任案が可決された旨が報じられている。

ところで株主総会といえば別の場面では、先週に双日が開いた定時株主総会で会場を訪れた株主数が昨年より9割も減った旨が報じられていた。双日に限らずこの翌日に開催された神戸鋼の株主総会でも、会場を訪れた株主数が昨年より半減したと双日と同様な光景も見られた。

これらに共通するものとして言われているのが、これまで総会で配っていた株主向けの所謂「お土産」を今年から廃止したという背景とか。株主間の公平性の問題や世間の趨勢を踏まえての判断と各社口を揃えるが、関係者の間では売買単位の引き下げ等で個人株主が増加し会場確保等の問題も絡んでいるとの指摘もある。

上記企業の他にも50社を超える多数の企業が今年からお土産の配布を廃止しているが、お土産廃止で出席株主数が斯様に大きく減少する様を見るに、総務省の顔色窺いで返礼品内容を半減させた自治体へのふるさと納税が大きく減った様が思い浮かぶというものだが、お土産相当額を地震被災の支援に充てたり体験会やセミナーに代える企業もあり此方でもモノからコトへとシフトする動きが出てくるか


エアバッグパンク

さて、民事再生法を織り込み先週は連日のストップ安が続いていた途中で国内メーカー支援報道から週末にはまさかのストップ高と絶好の逃げ場を提供したタカタ株が、週明けの売買停止を経て本日は週末のストップ高水準からほぼ五分の一水準で寄り付き上場廃止までの鉄火場ゲームがスタートとなった。

上場企業のパンクは思い出すと一昨年の第一中央汽船以来だと思うが、今回の負債額は最終的に1兆円を超え製造業では戦後最大の規模となる模様だ。思えばリコール問題が出た当時はここまで時間をかけ全自動車メーカーが製品を採用する先駆的トップシェアの企業がパンクするとは思ってもみなかったが、近年はほんとうに何が起きるか解らない。

上記のように「まさか!」と思う向きが多いだけに暴落が始まった先週だけでもネット証券大手のNISA口座の出来高ランキングでは同社株がベスト3に入るなどしていたが、残念ながら紙屑になるだけでなくその損失も利益と損益通算が利かない泣きっ面にハチ。こんなところでNISAの理不尽さも垣間見るというものだが泥船に乗らぬよう気を付けたいもの。


魔の2回生

さて、学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡る安倍政権の対応に政府・与党内からも疑問や懸念等が出始めるなか、先週は自民党の豊田真由子衆院議員が秘書への暴行や暴言が週刊誌で報じられたことを受け党本部に離党届を出すに至り、それをまた麻生副総理の失言が性差別云々で物議を醸し出している。

当欄で自民議員の失言に最後に触れたのはちょうど一ヵ月前くらいの大西議員であったと思うが、一寸遡ってもそれまでに一昨年8月は武藤議員が未公開株を巡るトラブルで離党、そして昨年2月には宮崎議員がゲス不倫で辞職、その後の9月には務台議員が被災地のおんぶ視察で辞任、そして今年に入ってからは中川議員が重婚ウエディングで離党となんとも酷いありさまだ。

で、全国に恥ずかしい暴言が放映されてしまった今回の豊田議員だが、しかしさすがにこうも不祥事の見本市のように立て続けに問題が起きると2回生はハズレ年だなとつくづく。当の幹事長代行にまで2回生でそういうのが出ているのは本当に残念と言わしめているが、国政にも可也影響のある都議選も間近、一強安定政権の足元評価を一寸注目したい。


大株主になった鯨

先週末の日経紙一面を飾っていたのは「日銀、株買い一辺倒」と題して、日銀が異次元緩和の一環でETF買い入れ金額を倍増させてから1年の間に保有残高が推定17兆円を突破、昨年の今頃にも言われていた事だが上場企業の実に4社に1社で日銀が安定大株主になった旨であった。

これまで日銀がETF買い入れで主力銘柄を吸い上げてきた旨は何度も当欄で取り上げており、その弊害としてこれら高寄与度銘柄の浮動玉浚いで板は薄くなり個別で相対的な高PER現象、そして日経平均にしても2,000〜3,000円程度嵩上げされているという試算がいわれている。

また大株主にまで至ったことでコーポレートガバナンスへの影響も無視できない問題になりつつあるが、斯様な歪みを意識してか昨年秋にはTOPIX型ETF買い入れ割合を7割増へとルール変更したものの6兆円に増額したここまでの過程の歪みを是正するまでには至っていない。

今月アタマには「どうなる出口」と題して末尾で米のようなイグジットに持ってゆけるかどうかまさに道中なだけに未知数と買いたが、限りのある流通株だけに何所までこの政策を続けられるのか目先ではまだ買い入れ政策の続行が可能なだけにこの辺に対する危機感もまだ道中である。


国策企業の裁き

さて東芝の命運を決めると言っても過言ではない半導体メモリー子会社の売却では日米韓連合が優先的に交渉する方向で検討に入ったが、来週に開催する定時株主総会で3月期末決算報告は見送り有報提出も法定期限である月末より先送りする事が報じられているが、東証は提出を待たずに市場を1部から2部に変更する可能性もあるという。

シャープ等はこのパターンであったが、ちなみにこちらは鴻海による復活劇で今月末か来月にも2部市場から第1部への変更を申請する予定。それは兎も角、2部移行云々以前に有報を受け上場を維持出来るかどうかが焦点で、この辺は東証の匙加減という事になるがこと上場廃止基準の曖昧さは一般には到底解り得ない。

それでも投資ファンド大量保有の経緯やら直近まで株主が5回も入れ替わるが如く売買回転率が5割に迫り株価の方は2月安値からはほぼ倍化、社債は大きくは動いておらず鉄火場にして不気味な冷静さも保つ妙な構図になっている。とはいえ審査長期化ともなればやはり国策企業への忖度かと云ううがった見方も台頭してくるのは想像に難くなく東証もこの辺をどう裁くか思案のしどころではあるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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