221ページ目   雑記

ターニングポイント

本日の日経紙地域総合面には「ふるさと納税戸惑う地方」と題して、今月あたまに総務省がふるさと納税における返礼割合や返礼にふさわしくない品目を細かく列挙した通知を出し過度な競争の自粛を求めた事に対し、自治体の中では見直す動きがある一方で個別制限に反発する声や通知に反し継続を検討する動きもある旨が出ていた。

直近で後者の継続検討とした自治体は個々の解釈での判断としているが、確かに一頃パチンコのような換金構図になっていたトコロや純金製品を用意しそれに著名トレーダーがすぐさま応じたところから注目を浴び早々に打ち切ったトコロもあったなか、継続表明の自治体のコンセプトを理解すればこれらとの相違性を感じなくもない。

この辺は外と内の立場から解釈も異なったものになってしまうものだが、現実問題としてここ数年特に「売り」を持たない自治体は税流出が顕著で、豊富にネタを擁しているところの格差拡大から死活問題になってきており、これを重く見た総務省の動きと並行し最近では媒体側も魅力的な食材群一辺倒から、TVでもよくネタにされているペットの殺処分ゼロや災害支援等の課題解決モノを取り上げる事が非常に多くなった。

個別制限の強化でふるさと納税も今後歯止めがかかって来るか否かだが、上記の通りお上と当事者各々の立場でその見解も相違してくるのはふるさと納税に限った事ではなく、総じて一括りで考えられないところは本当に難しい部分でもある。


インデックス運用の功罪

さて、先の日曜日の日経紙朝刊の一面を飾っていたのは「株指数運用市場を席巻」と題して、低コストで市場平均並みの成績を狙うのが効率的との見方が強まった傾向から本邦市場で投資信託の8割、年金運用の7割が株式市場で株価指数の構成銘柄を丸ごと買うインデックス運用が急速に広がっている記事であった。

これを先導するGPIFは日本株投資における運用比率を2001年度から倍増させているが、倍増といえば日銀によるETF買いもまた然り。異次元緩和策の一環として年6兆円分の購入を目標としているが、日経平均が下げに転じたホワイトデー以降から約1ヵ月で8,970億円分を購入し、その規模は昨年度の株式投信への純資金流入額の実に約7割に相当するほど。

この影響もあって地政学リスクが高まっている割に日経平均がまだ下げ足りないと感じている向きは多いと思う。またインデックスは指数に組み入れられていれば内容に問題があろうが割高だろうが、個別で見ればチキンレースの域でも自動的に買う玉石混合で健全な株価形成に影響が出る弊害も指摘されている。

他にもコーポレートガバナンスコードへの逆風を懸念する声もあるなど上記の件含めいろいろと出始めたが、斯様に最近はかつて予想もしなかった過ぎたるは猶及ばざるが如しのような偏重傾向が各所で表面化する時代になりそれらに対する課題が今後も彼方此方で議論されてこようか。


救済の壁

本日の日経紙一面には「東芝、主要事業を分社へ」と題し、経営再建中の東芝が稼ぎ頭の半導体メモリー事業を今年度内にも売却する為、今後の柱のインフラ事業をテコ入れするため分社に踏み切る旨がでていた。

東芝といえば昨日に開かれた経済産業省と米商務長官の会談において、米商務長官側が米WHの雇用継続に不安を表明すると共に半導体メモリー事業の売却計画に関しては中国への技術流出に懸念を示した旨も同紙に載っていたが、日本側としては必要な場合は外為法を活用して防ぐとの表明をしている。

予てから高度な技術を有する同社ノウハウや安保上の機密が流出する懸念から、売却先に注文が付く可能性は指摘されてきたが果たしてという感じ。同じ破綻懸念の憂き目に遭いながら今や蘇生しつつあるシャープの時を思い出すが生粋の本邦企業が挙って手を上げようものならまた違う展開になるものの、これまでこの手の事業で彼らが意欲的に食指を動かす事例は僅かで事務的に政府が関与するのが関の山な事が根本の問題なような気がする。


売り子

さて地政学リスクの高まりを背景に国際指標となるNY市場の金先物価格は3月上旬の直近安値に比べて1割高い水準となり、1トロイオンス1,290ドル台と昨年11月以来の1,300ドル台に迫り東京商品取引所の金先物価格も約1ヶ月ぶりに1グラム4,500円を上回る高値を付けるなど金の価格が国内外で一段と上昇している。

ところで金といえば、先週はまたも韓国から重さ3キロの金の延べ板を足の裏に粘着テープで貼り付けて密輸しようとした疑いで大阪市職員らを逮捕した旨の報があった。当欄で最後に金密輸について触れた今年1月の末尾で、今年もこの手の事件モノも折に触れ紙面を賑せる事になりそうであるとしたが先ずはという感じである。

昨年に福岡で6億円相当の金塊が盗まれた事件もこのうち約4億円分が事件後に換金されていた事が先月明らかにされているが、この件も個人情報を隠し換金するためにグループが法人間の取引を装い経営者側も事情を知りながら名義貸しをした疑いが出ている。また末端でも振り込め詐欺の「出し子」ならぬ、所有者に代わり金を売却する「売り子」などの存在等も出てきており当局はじめ危機感は一層増してきている。


新陳代謝の街

先週末の日経紙夕刊の一面を飾っていたのは「大人の銀ブラ 再び」と題して、日本を代表する商業エリアの銀座が相次ぐ商業施設の開業や改装で変貌を遂げつつある旨の記事であった。周知の通り直近では旧松坂屋跡地に銀座最大の商業施設を謳う「GINNZA SIX」の開業を今週は控えている。

前々から東急プラザに負けず劣らず話題になっていたこの銀座最大を謳う施設は、地下6階地上13階建てでその売り場面積は実に約4万7千平方メートル、出店内訳も241ブランドの半数121店は日本での旗艦店の位置付けをしており、初年度は売上高600億円、来館者2千万人を目指すという。

当欄で銀座に触れることになるのは昨年6月に東急プラザ銀座を取り上げた時以来となるが、こうした新商業施設が登場する一方では併せて書いたマキシム・ド・パリ銀座が入っていたソニービル銀座が先月末に51年の歴史に幕を閉じ、プランタン銀座も昨年末に32年の営業を終え社名をマロニエゲートに変更し再出発している。

今から9年ほど前の当欄では街の変遷と題して「銀座は変遷著しく経済を肌で感じ易い街である」と書いた事があるが斯様に新陳代謝は継続している。20年の東京五輪も見据え、内外の観光客を呼び込むため今後も再開発やリニューアルは継続してゆくのは想像に難くないか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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