249ページ目   雑記

回転鈍化

さて、昨日の日経紙マーケト面には「広がるリスク過敏症」と題して、急落から戻りを入れている日経平均においても海外発の材料に相場が振り回され、リスクを取っても運用成績が上がらないなかで年金等のお金の出し手も安定志向を強めている旨が載っていた。

全般でもMSCIオールカントリー世界指数は年初来で6.6%低下し、7-9月はこの4年で最大の下落率となった旨をブルームバーグが報じている。もう一つ、MSCIといえば上記日経紙の文中には同社が算出した相場全体より値動きが小さくなるよう設計されている最小分散指数も登場していたが、同指数連動のETFは日経平均を上回り格差が年初来で最も大きいという。

この辺を鑑みてブラックロックは再来週にも日本初となる同指数のETFを上場するというが、ここへきて米利上げ観測が遠のいた事もあって日経平均は約2週間ぶりに18,000円大台を回復。とはいうものの大台回復の昨日の商いは1ヶ月ぶりの低水準となりアクティブ系がチャブつく動きの典型ともいえるが米利上げ、日銀追加緩和何れかが実施されるまでこんな地合いが継続されるか。


現代の黒船

週明け本日の日経紙一面を飾っていたように、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉に参加する12ヵ国が大筋合意に達する見通しとなっている。この合意によりはれて域内の大半の関税が撤廃され、アジア太平洋地域に世界全体のGDPの約4割を占める巨大な経済圏が生まれることになる。

国内市場の縮小に直面する日本企業も近年増加しているなか域内市場でこれまでより自由な活動が広がり海外市場開拓の機会が増えるのが期待されるが、消費者側も食品がモノにより安価になる等のメリットが今後期待できる反面その裏では食への安全やら一部農業関係者の不安が募る一面がある。

とはいえ一先ずは蒸し返しでも歓迎ムードで反応するのが株式市場で、6月末にも一度当欄で取り上げた六甲バターなどは本日再度動意づいて急反発し上場来の高値をほぼ3か月ぶりに更新。同じ食品系では他にプリマハムや林兼、井関農機から日本農薬まで一斉に動意づいていたが、この辺が新たに市場の矛先を変えるような事になるのかどうか今暫く注目したい。


因果

今年の3月に当欄では「今更ながらの風説流布とか」と題して、インターネットサイトを元に風説の流布の疑いがあるとして、バブル期に大物仕手筋として知られた人物の関係先を証券取引等監視委員会が金商法の疑いで強制調査した旨を取り上げていたが、本日の産経紙には同委員会がこの人物を金商法疑いで東京地検特捜部に告発する方針を固めた旨が報じられていた。

あれから約半年を経て今回の告発に至ったワケだが、同紙ではこれまでに得た売却益が約60億円という。確かに大証時代の新日本理化は株価5倍化まで育て上げ、これに続くルックも比例配分に潜り込む隙が無いほどのストップ張り付きだっただけにこの辺も納得だが、銘柄によってはもともと大量に保有していた向きの解体作業と取れなくもないモノもありこの辺は魑魅魍魎としている。

しかし東京地検検特捜部といえばこの人物の1980年代の所得税法違反での逮捕劇が記憶に新しいが、真の狙いともいえる顧客等名前を最後まで吐かなかった事で揺るぎない信頼を得てその後の活動に繋がったというのは兜町では有名な話。あれから30年を経てまた因縁の対決となるかなんとも因果なものである。


資源受難

さて、昨日に引き続き日経紙一面からだが本日の紙面を飾っていたのは「資源安 企業に打撃」のタイトル。中国の景気減速の悪影響が先進国に波及し、業績の悪化に見舞われる資源関連企業が日米欧で相次いでいる旨が書かれてあった。

昨日の日経平均など大幅続落し01月16日以来、約8か月半ぶりに節目の17,000円大台を割り込んだが、斯様にこれに関して市場を揺るがしたのは直近ではスイスの資源大手商社グレンコアであろうか。恒常的な資源安を背景に経営危機観測まで台頭し、同社のCDS(クレジットデフォルトスワップ)5年物保証料率は7%に跳ね上がっている。

スイス最大級の商社がこんな事態になれば当然ながら国内勢も冴えない展開を強いられるワケで、昨日は首位の三菱商事が年初来安値更新、これと並ぶ三井物産も揃って年初来安値を更新している。VWの次はグレンコアと一難去ってまた一難の展開が続くが、商品低迷の恒常化を予測する金融大手各社の見通しには常に注意しておきたい。


盛者必衰

さて、先日はランボルギーニの新型スポーツカーであるアヴェンタドールSV限定モデルの発表記念パーティーが都内で開かれていたが、今回もまたこのお披露目時点で既に完売状態であった模様。ところでこのランボルギーニを擁する独フォルクスワーゲンだが、周知の通りディーゼル車の排ガス試験を巡る不正の報で連日紙面を賑せている。

この報によって当のフォルクスワーゲンはもとより自動車関連株が一斉に売られたのが目立ったが、これとは対照的にガソリンシフトと触媒の連想で24日の東京商品取引所のパラジウムは期先で176円高と急伸、貴金属の中でもこれに矛先が向かい一際堅調であった。

欧州は、例えばスキポール空港前などにはベンツのタクシーがズラリと並んでいるがほとんどがディーゼル車である。今回の件で斯様な欧州のディーゼル車一辺倒に変化が起きるとすれば上記のパラジウムとは対照的にプラチナは更に低迷が恒常化する可能性もあるか。

しかし、8月末に関係悪化から資本提携を解消したスズキもとんだとばっちりだ。保有するVWの発行済み株式約1%はこの事件で期末比約700億円も目減りしたというが、それでも取得金額の倍で売れる見込みというからこれはこれで不幸中の幸いか。ともあれ自動車界のLVMHともいわれるVWの余震が何所まで株式や商品に影響を及ぼすのかしばらく注目である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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