253ページ目   雑記

カネで魂?

さて、大手不動産各社が決算たけなわで本日は引け後に三菱地所の決算があった。16年3月期の連結経常利益は前期比8.8%増の1448億円と従来予想の1300億円を上回り減益予想から一転して増益着地、17年3月期も前期比3.6%増の1500億円に伸びる見通しとなっていた。

ところで三菱地所といえば先月の日経紙「私の履歴書」は同社名誉顧問だったが、終盤では買収した米ロックフェラーについても触れていた。バブルの当時は東京23区の地価合計額がアメリカ全土の地価合計額と並ぶ狂乱ぶりで、同社の買収もジャパンンマネーが米国の魂を買ったと物議を醸し出したものだ。

そういえば昨年の夏頃だったか「ニッポンの過去問」なるTV番組でバブル時代の様々な出来事をランダムに紹介していたのを思い出したが、その中でこの地所の買収劇も出てきた。他にもソニーがコロンビア映画を約6,000億円で買収した件や、安田火災がゴッホの「ひまわり」を約58億円で購入した話も出てきたがバブルが過去のものとなった今、当時の裏側を当事者が回顧しているのがまた感慨深い。


AI運用

昨日の日経夕刊の一面には「運用 人工知能が台頭」と題し、昨今囲碁などのゲームや産業ロボットなどで注目を集めるAIの活用が、株式や債券などを対象にプログラムに基づく運用に加えAIが自動的に運用するファンドも台頭するなど世界の金融市場でコンピューターを活用した運用が活発になっている旨が載っていた。

このAIに関しては当欄でも今年に入ってから二度ほど取り上げ、フィンテック系に関しては昨年末にGSAMがアナリストリポートを全てAIで解析する旨なども書いたが、同紙によればAIファンドやCTA等を含むコンピューター運用型のファンドは年初から3ヵ月の成績が業界全体がマイナスとなっているなかプラスを記録する好調さという。

国内でも三菱UFJ信託が自動でAIが運用するファンドをはじめて組成した旨が報じられているが、シミュレーションでは好調な成績という。同社は「金の果実」シリーズを手掛け幅広く浸透した経緯があるが、この分野の黎明期の参入でETFに続き軌道に乗るかどうかこの辺は興味深い。


国民意見は反映されたか?

さて、今週は盗作疑惑で旧エンブレムが白紙撤回という異例の事態となった事から再公募を経て約8ヵ月、漸くというか新エンブレムが決まった。最終候補4作品の審査の結果選ばれたのはA案の「組市松模様」であった。

今回の再選考は前回の不透明との指摘も踏まえ一般からも数万件の意見を吸い上げる国民的行事となったが、翌日の日経紙にはこれらが反映されたかどうかはよく分からなかったと書いてある。それもそのはず4作品が公開されて以降の読売新聞や共同通信、ヤフー等の人気調査では、「輪をデザインしたB案」と「朝顔をイメージしたD案」が何所も双璧でこの2作品が選考の軸になるとのコンセンサスがあったからに他ならない。

またもう一つ気になったのは、かねてより旧エンブレムの審査委員であったグラフィックデザイナーの一人が、先頭に配置された1案だけが際立つ不適切な構図からA案ありきのプレゼンテーションで、エンブレム委員の専門家がそれ以外のB、C、D案を推すのは考えづらいとの自論を公表していた件か。

結局果たしてという結果となったワケだが、そもそも当初の躓きであまりにもナーバスになり過ぎて何でもかんでもディスクロという社会的風潮が更に疑惑を掻き立てたのは想像に難くない。ネット世論の集約の難しさは現代ならの問題だが、何れにしても時間も限られているだけに新国立競技場然り何とか帳尻は合うようにしてもらいたいもの。


企業体質

さて、本日も株式市場では三菱自動車が下げ止まらず年初来安値となっていたが、本日夕刻からの記者会見に見られる通り先週に軽自動車の燃費データの改ざんが発覚している。実にリコール隠し事件発覚以前の1991年から規定を無視していたというからなかなか酷い話だ。

大手自動車メーカーの不正といえばやはり昨年9月に排ガス規制逃れが発覚した独のフォルクスワーゲンが記憶に新しいが、ココほどその規模や手口の巧妙さに欠けるものの三菱自の場合は上記の通り2000年代にリコール隠しが二度発覚、経営がパンク寸前まで追い込まれグループ各社の優先株引き受けで何とか命拾いしたのが思い出される。

昨年の東芝の不正会計に続き、今度は名門「三菱」という日本を代表するコングロマリットの企業不祥事表面化でまたもマーケットでの日本ブランド力毀損が懸念される事態だが、今回も亡霊が巣食う大企業のなかなか変えられない体質の難しさが露呈された事例か。


資源デフレ

現在、月曜日の日経夕刊・明日への話題を執筆しているのは丸紅の会長であるが、週明けはこの丸紅が2016年3月期に減損等で新たに1200億円の損失を計上すると発表している。一転しての減益となるが、同社といえば昨年同期にも買収した米子会社ののれん代処理やら油・ガス事業での損失でほぼ同額の損失を出している。

しかし総合商社といえば首位の三菱商事も先月下旬に「三菱商事、赤字1500億円」の文字が日経紙一面を飾っていたが、タイトル通り2016年3月期連結最終損益は従来予想の3000億円を4500億円下回る数字であり、1969年度に連結決算の作成を始めてからは初の赤字、三井物産も然りだがこの辺は資源分野への偏重度合がまた異なる。

折しも直近で主要産油国によるドーハでの原油増産凍結会合が不発に終わるという結果となり原油も再度急落の憂き目に遭ったが、17年3月期の追加の減損リスクも残る可能性があるなかポスト資源の食糧も苦戦を強いられている現状から商社ポストも先行き不透明感が払拭できていない事が改めて認識された格好か。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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