259ページ目   雑記

レセプト国内版

さて当欄では昨年11月にも一度触れていたレセプト債だが、先週はこれを発行したファンド3社と運営会社破綻に絡み証券取引等監視委員会が債券を販売したアーツ証券に行政処分を出すよう金融庁に勧告、これを受けて金融庁は同日に金商法違反の「虚偽告知」にあたるとして同証券の登録取り消しの行政処分を下し同証券は東京地裁に破産手続き開始申し立てとなった。

この「レセプト債」、ファンド資金で医療機関から診療報酬請求権を買い取り投資家には後にファンドに入る診療報酬を原資として償還・配当というカラクリだったものの、ファンド側は債券発行を始めた直後から自転車操業で出資金の流用が始まっていたといい、結局ファンドの破綻で約2470の法人・個人に発行された約227億円が償還不可となった。

記憶に新しいところで、このレセプトの即金屋的なカラクリを標榜し破綻したものでは米MRインターナショナルもあったが、証券会社を隠れ蓑にした挙句にパンクした地場証券会社といえば金融当局を無視して南ハイイールド・ボンドなる社債を売った上に預り金まで消えていた一昔前の南証券などもまた思い出される。

また、単純に顧客資産を横領し数年前に破綻した仕手筋御用達で有名だった地場証券会社もあったが、この手の会員は「ハコ」にされるケースがやはり多く顧客側も会員や扱い商品への審美眼が問われよう。


豆マキと恵方マキ

さて本日は節分だが、旧暦で大晦日にあたるこの日も最近では恵方巻のPRが豆撒きにとって代わり先月末あたりからチラシなどでやたらと目に付くようになっていた。斯様に主流であった豆撒きの豆などチラシから随分と姿を消しこの期の店頭でもひっそりとした佇まいになりつつあり新旧交代といった感さえある。

この恵方巻、節分の食べ物といえば鰯という連想もあって東の人間には今一つピンとこないがバレンタインのチョコーレートの如くコンビニかはたまた海苔屋なのか、マーケティング努力が浸透してきたのかどうか最近ではケーキなどへと進化を遂げバリエーションも豊富になってきている。

それは兎も角も、長年「鬼は外、福は内」で豆(魔目)をぶつける恒例行事で育ってきたものだが、節分という事で昨今では児童絵本の「おにたのぼうし」がまた教育現場でも話題になってきている話をふと思い出した。定説で悪いとされる事も別の方向から見ると評価が変わる事例が多くなりつつある今日この頃である。


マイナス金利の功罪

昨日の金融市場では先週末のマイナス金利導入決定を受け長期金利が2営業日続けて過去最低を更新していたが、当日のサプライズで直後の日経平均は緩和効果への評価が交錯し、仕手株が作るイナゴタワーのような急騰から急落、そしてまた急騰とジェットコースターのような乱高下を演じた。

また個別の方では定番の不動産株やREITが急騰し、一方で銀行株が急落と明暗分けた構図となった。日銀に預けてある当座分という事で個人は直接的な影響はないものの、市場金利の低下で貸出の利鞘が縮み財務基盤が脆弱になれば預金金利や貸し出し等へ少なからず影響が出てくる懸念が出てくる。

もっと身近な例ではこれまで証券会社口座内の置き場所で定番だったMMF(マネー・マネージメント・ファンド)が、国債価格の上昇で金利が低下した影響で昨日から販売を取り止める運用会社が相次ぐ事態となるなど、マイナス金利導入で市場へ資金流入が加速するというメリットばかりではないようだ。

一本加え三次元というが、一般から見れば政策目標は金利なのか量なのか今一つ曖昧な感は否めない。互いに相反する政策なだけに上記のように国債を保有し今売られている金融機関も株価が示している通り運用難の懸念が残るが暫くその影響を見極める必要がありそうだ。


官製ファンドとモラルハザード

さて、懸案となっているシャープの経営再建に絡んでは度々登場してはペンディングになってきた台湾の鴻海精密工業だが、今回はどの程度ソロバンをはじいているのか昨日はシャープのメインバンクが保有する2千億円の優先株を買い取る新提案を出してきている。

周知の通りこの再建を巡っては上記の鴻海精密工業と官製ファンドの産業革新機構が張り合ってきているが、政府主導で産業革新機構が出資するという流れが今のところ濃厚になってきている。しかし外部の民間が手を挙げている中を官民ファンドが民間を退けてまで受け皿となる構図やその出資額を勘案するに違和感は否めない。

また本日の日経社説でも書いてあった通りで、業績が悪化しても国が助けてくれるとなれば産業の新陳代謝を阻害し公正競争も歪む。長年銀行などに見られたような「護送船団方式」を今更ながら彷彿させる場面でもあるが、労働市場流動性を確保しつつモラルハザードが発生しないようなスキームが要求されてこようか。


世界経済体温計

本日の日経紙マーケット面の銘柄診断には2013年6月以来約2年半ぶりの安値を付けた日本郵船が出ていたが、この辺はいわずもがな新興国の景気減速を背景に海上の荷動きが鈍化しBDI(バルチック海運指数)が過去最低水準にまで下がった事に因るところが大きい。

このBDI(バルチック海運指数)、海運ポストをマークしている向きやコモディティー関係者には不可欠な指数だが、1985年1月4日を1,000として算定しており以降リーマン・ショック前の11,793を最高値にして昨日はとうとう350以下にまで暴落し史上最低を更新し続けている。

つい昨年の秋口からでも半値水準と、まるで原油系のETNや先物オプションを見ているような暴落加減だが、こうしたデリバティブのように腕力である程度の操作が可能な性格の物でないだけにより実態を表しているか。海運株に限らず他の市場がリンクしていない場合、基準になる実態への鞘寄せには常に注意しておきたいところである。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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