292ページ目   雑記

もののあはれとその先の生

さて、本日の日経紙文化面・(現代アートの観察)には中川幸夫氏の「花坊主」という生け花?作品が取り上げてあった。ベースの中に花弁を詰め込み、花の色が溶け出してきた時を見計らって逆さまにひっくり返したというなるほどコンテンポラリーな作品である。

解説は東京ステーションギャラリー学芸員の成相氏であったが、文中に「生け花じゃなくて死に花とでもいうべきか?(略)花が膨らんで、咲いて、散る。実はその先にこそ、花が最も強烈に生き物らしさを発揮するということを氏は見つけた。」とのくだりがあったが、こんな解説を見るとすぐに頭に浮かぶのはやはりエミール・ガレだろうか。

まさに若くして世を去ったガレだけに、朽ち果てる瞬間の表現から生を見せるというその技には説得力があり、例えば対照的に枯れゆくさまを背面に配した「カトレア文八角花瓶」、枯葉をモチーフにした壺「過ぎ去りし苦しみの葉」、他にもいわゆる盛りが儚きものの蜻蛉や蜉蝣の花瓶等から、読んで字の如く一晩で溶けてしまうという「ひとよ茸のランプ」まで一寸思い浮かぶ物でも挙げたらきりがない。

ガレのこんな作品の背景には日本の絵画から受けた強い影響があるともいわれ、その辺も日本人のガレ好きが多い所以なのだが、時を経てそんなガレの世界にインスパイアされたとも思われる日本の芸術家もまた多く居てこの辺の循環?も想像するにまた興味深いもの。お盆休み真っ只中ということで、生と死をこんな観点で観るのも一考である。


東京湾大華火祭・2014

東京三大花火大会のうちメインの「隅田川花火大会」が終わり、トリを飾る予定であったのは今月の「東京湾大華火祭」であったが、昨年のゲリラ豪雨による隅田川花火大会のまさかの史上初中止に続いて、今年は台風11号の影響でこの東京湾大華火祭が中止に追い込まれることとなった。

この中止で幻となってしまった手元にあるプログラムを見てみると第一部から第六部までそれぞれの部であの大輪を演出する尺五寸玉が上がるとの表記があり、以前にも三大花火大会を比較してみると個人的にはやはり東京湾大華火祭がデザインから色一つ取っても巧というか一番綺麗に感じると書いた事があっただけに残念。

しかしこれに限らずちょうど帰省や地方イベントの相次ぐ時期を直撃したこの台風11号の被害が相次ぎ、やはり自然の猛威の前では為す術がないか。この東京湾大華火祭の中止は1997年以来10年ぶりとの事だというが、経済効果も70億規模といわれているだけにこういった点でも残念な限りである。


原価大化けの夏

依然として連日の猛暑日だが、こうも暑いと街の彼方此方では浴衣姿でかき氷をほおばりながら歩く人も多く目につく。ところでこのかき氷、近年ではどこそこから仕入れたブランド氷を使用等と標榜する店が増え始め、またも群がる人々が行列をなしているお約束の光景も多く目にする。

つい先日も某デパ地下へ行ったときに、突如として小さな一区画を目指して長い行列が出来ているのを見かけたが、辿った先は某所から仕入れた有名な氷を使用したというかき氷屋であった。ただでさえ狭苦しいところで何十分もの行列に耐えた挙句、水とシロップに1,000円近くも払って有り難そうにいただく姿勢には脱帽である。

余計なお世話ながら彼らはどこそこの天然水とか味の違いが判別出来て感動しているのだろうか?別にこの辺はかき氷に限った事ではなく、パフォーマンスを見てつい買ってしまうキャンディー屋然り、なんだかわからないが列に釣られて並んでしまうポップコーン屋然り、はたまたパンケーキ屋然りである。

言ってみれば原料はたかだか水や砂糖、トウモロコシやら小麦などなど、それらがとんでもない値段に化けても行列に並び有り難く買う需要があるのだから経営側としてこれは売っている製品以上に美味しい。バブル世代にしか解らないと思うが、かつて西麻布のホブソンズで流行った光景がいまだ脈々と受け継がれており、思えばこの辺は時を経ても色褪せないのかもしれないなと。


環境改善

さて、一昨日の日経紙には「資金調達2.4倍に」と題して株式を公開していないベンチャー企業が調達した資金額が、1社あたり中央値で6,880万円と、前年同期比で2.4倍になった旨が載っていた。資金の出し手となるベンチャーキャピタルの投資意欲が改善した事や成長資本をより多く取り込もうとする傾向が強まった事によるところが大きいという。

こんなベンチャー企業を巡る投資環境も昨今では格段によくなってきており、例えば証券会社によるIPO予備軍への囲い込みも盛んになってきている。SMBC日興証券はIPOを目指す企業を対象に会員制の情報サービスやセミナー等を手掛け、みずほ証券もIPOを目指す企業を対象にした交流会をホテルで開くなどしている。

足元では読めない地政学リスク云々と懸念材料も燻ってはいるものの、とりわけ昨今はIPOを目指す側とその受け皿側とのマッチングがかつてないほど合致している感がする。資金調達もリーマン・ショック後最高の09年水準を上回ってくるかどうか等とも併せて後半戦を見てゆきたい。


夜間も総合も

本日の株式市場は14時過ぎから先物主導で売られ一段安となり4営業日続落となったが、先月の東証一部売買代金の1年7か月ぶりという低水準を映してこのところ日本取引所グループの株価もダラダラと弱保ち合いが続いている。

ところでこの東証だが、先週末の日経紙社説には「株式の夜間取引をする得失は」と題して株式取引の時間延長に関する研究会が報告書を発表した旨が出ていた。ここでは延長議論と併せ市場の公平さを保つという原則論が書かれていたが、その前にやはりネット系と大手の立ち位置の溝をどう埋めるかだろうか。

もう一つ、日本取引所グループといえばこれまで何度も取り上げてきた「総合取引所構想」がある/が、先に書いた通り4月の与党金融調査会では会長が総合取引所創設がかなわぬ場合には議員立法でやる等の発言が出た経緯がある。結論を今夏までに云々といった発言もあっただけにタイムリミットは近づいており上記の夜間と併せ今後も要注目である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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