304ページ目   雑記

先導役復活なるか

ちょうど一週間前の当欄では不動産価格の底入れ期待からREIT市場への資金流入が加速している事を挙げ旅館REITなどの新顔も登場する旨を書いたが、これに絡んでは先週末の日経紙に「REIT時価総額最高」と題してやはり市場が急拡大している旨も載っていた。

東証に上場するREITの時価総額は同紙によれば週末現在で合計6兆9,136億円と7兆円に迫り2007年5月を抜いて過去最高を更新した模様だが、本日の市場を見ても好利回りとされる銘柄を中心として高寄り後も値を飛ばし年初来高値を更新組が続出している様を見るに今週も何処まで時価総額が膨らむかというところだろうか。

また最近の不動産取引には外資系の特別目的会社が、ちょうど上記の前回時価総額が最高であった2007年以来食指を動かしている例がポツポツと出始めており外資復活の雰囲気を感じる。外資といえばアベノミクス効果からこれ以外にもETFや商品までマネー流入が顕著で、東京商品取引所が纏めた先月の外国人売買高は約96万枚と単月の売買高でこれまでの最高を塗り替えており今後循環で牽引役に躍り出る復活の芽あるや否や一段と注目される。


旅館REITの勝算

さて、先週末の日経紙には「4年10ヵ月ぶり高値」として、銀行などの買い越しが2月には月間では最高額となるなどREIT(不動産投資信託)市場への資金流入が加速している旨が
載っていた。利回りの相対的な高さが魅力となっている他、不動産価格の底入れ期待も後押ししている模様。

ところでこのREITといえば最近の面白そうな話題に、あの「星野リゾート」がこのREIT市場に参入することが一部で報じられているのがあった。投資法人を作りそこが同社から保有不動産を買い取る形になるのだろうが、当然ながら主力の軽井沢や京都の「星のや」筆頭に他の温泉旅館もこれに組み入れられる予定。

星野リゾートといえば直近では、三菱地所が来年に着工する大手町再開発地区に同社と組んで2016年をメドに外国人客を視野に高級旅館を運営する旨の発表もしており、多角的に更なる枝葉が広がりそうだ。

オフィスビル主体のREIT市場にこんな旅館REITなどの異色登場は国内で今まで例がなかっただけに興味がそそられるが、別業界から直近ではダイエー買収も視野に入れるとの報道がなされた小売大手イオンもREIT設立を表明しており、斯様な設立母体の多様化から株式に負けず劣らずこのREIT市場も今後は更に面白い状況が訪れそうである。


燃える氷

さて、今週の株式市場で「PM2.5」関連と共に週派手に値を飛ばしていたものといえばやはり「メタンハイドレード」関連だろうか?これは周知の通り独立行政法人のJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)による世界初のメタンハイドレードからの天然ガス採取への期待が高まっていた事によるもの。

個別では日本海洋堀削の4日連続ストップ高筆頭に、三井海洋開発、鉱研工等の掘削技術モノがストップ高を交え急騰、また今回使われた日本海洋堀削の出資元で今回操業担当の石油資源開発や国際帝石も賑わうなどその物色対象も広がりを見せている。

さて株式市場は先取りして株価急騰なるも、最初はみなそうだが実用化には未だコストが高いのがネック。現状では割高といわれているLNG輸入価格の2倍の開発コストになる計算で、予想を下回る生産量の場合は更に倍になる計算と日経紙には出ている。斯様に課題は多く更なる技術革新も求められるが、国産エネルギー活用の第一歩を踏み出した訳で今後の成り行きに大いに期待したいところである。


トップ人事

さてこの時期いろいろと人事も様々なドラマが展開するが、本日の日経紙には「改革 振り出しに」として資生堂の社長が月末付けで退任し会長が社長を兼ねる人事を発表した旨が載っていた。社長就任は一昨年であったから僅か2年で退任ということになる。

資生堂といえばつい先週当欄で取り上げた東証の「撫子銘柄」に選定されていなかったのがちょっとした驚きであったものだが、国内売上高が6期連続のマイナスで約2割落ち込み重ねて新興国の販売減も追い打ちをかけていた等もありROE等で引っ掛かった事も想定されるか。

東証コア銘柄トップの退任といえば、直近でもソニーの外国人前CEOが6月の株主総会で取締役介議長を退任することを表明、4月でトップ交代から1年、経営が新CEOを中心とする大成に完全に移行すると発表されている。

こちらも今期は資産売却等の効果で連結最終損益は5期ぶり黒転との見込みとはいえ、エレクトロニクス事業の営業黒字化は未達に終わる見通しで再建はまだまだ道半ばといえる。トップ辞任の裏には体調不良理由の退任例もあるが、数年前に体調不良で志半ばとなった首相も返り咲いて今や飛ぶ鳥を落とす勢い、双方ともに株式では相性がいい銘柄だけに何とかいい方向に向かって欲しいところである。


復活の芽

周知の通り、東日本大震災から本日でちょうど2年が経過した。震災後暫くは行方不明者数や避難者等の状況が一面に載っていたものだが、最近再度この辺が掲載されるようになり改めてその壮絶さが再認識される。ちょうどこの期、昨年同様に街では募金活動が至るところでグンと増えこの関連行事等も酣だが、この記憶や復興への思いを風化させないことが何より大切だろう。

思えばリーマンショックから緩やかな回復途上にあった日本経済はこれによって再度叩かれ、その要の市場もまた激震に崩壊したものだ。今でも市場を続行させたことや政府のディスクロを巡っては思惑もあり賛否両論絶えないが、オプションやFXでは未曾有の相場変動が市場を襲いこれによって個人のみならず企業もまた財務状況を毀損したところが続出したのは記憶に新しい。

一方、雨降って地固まるではないが昨今業績とともに株価もV字型回復を見せている自動車業界など、ともすれば為替相場是正の恩恵などと喧伝されているが、2013年3月期決算発表に臨んだトヨタの役員が「今は1ドル79円でも単独で利益を出せる」と言い切っているのを見ても解るように、更なる収益構造の画期的な大改革に直後から着手したのが奏功し手居る訳で斯様に土壌構築されたところも出てきているのを見るに感慨深いものもある。

そうして考えると為替相場の是正などひとつのタイミングに過ぎないものの、ステロイド系とはいえアベノミクスが傷の回復に強力に作用しているのは明白、個別ではまだまだ課題は山積みだが回復の波及効果が出て来るのはこれからと引き続き期待したいところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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