320ページ目   雑記

脱経験則

先の日曜日付けの日経朝刊一面には、「脱デフレ 生みの苦しみ」として、15年にわたる日本の長期デフレに転機が来た旨が載っていた。それ以降も「物価考」として一面に連載されているが、確かに文中にもあったようにバブル崩壊後の世代はデフレが常態化していた経緯もあり昨今のスポット的な値上がりには釈然としない感もあろう。

当初は大規模な金融緩和にもかかわらず物価の上昇が顕著でなかったことでやはり我が国のデフレの根深さを憂う気運もあったが、例えば本日のキューピーの23年ぶりのジャム価格値上げに見られるようにアベノミクスの影響からここジワジワと忘れられていた物価高の足音が聞こえてきた感もある。

とはいえ賃金の同時上昇も満遍なくという構図でもなく、この辺は防衛の意味でもデフレからインフレ局面での株式有効性を利用しない手はない。物価目標達成の為に中央銀行が何処までその節度を逸脱?できるかが焦点となろうが、個々の投資においては上記過去15年の経験則にとらわれない行動が肝要だろうか。


コミュニティー・パワー色々

今週はなんといっても連日の猛暑となっているが、この影響で東電始めとした8つの電力会社の管内電力需要は連日の最高更新となっている模様。ところで電力といえば発電ビジネス等に参入する「コミュニティー・パワー」に関する動きがこのところ彼方此方で散見される。

事業資金のうち何割かを、期間5年で目標利回りを1〜2%という市民ファンドで募集したところなどは応募が殺到したというが、そういえば4月には山形のクラゲで有名な水族館が「クラゲドリーム債」なるミニ公募債を募集したところ、募集開始からわずか20分で3億円分が完売となった旨の報道も思い出した。

ところで債券ついでの余談になるが、基金運用の為に為替相場に連動した仕組み債を購入した関西の某市は、その後の相場外れでリスク説明不十分とした訴訟を起こすほど評価損があったものの昨今のアベノミクス効果でこれが解消、訴訟も取り下げたというがこちらは何ともご都合主義な感は否めない。

それはともかく話は戻るが、地元企業や地元市民、自治体のそれぞれの思いが受け皿となるこうしたコミュニティー・パワーの台頭等が、結果として地方経済停滞を打破する切欠になるのならこの手の創造は非常に意義のあるものではないか。


補完から表舞台へ

本日の日経紙商品面には「東商取の先物商品 夜間取引が最高に」として先週末の夜間取引が16万1,245枚となり、2009年5月の夜間取引開始以来の最高になった旨の記事が載っていた。売買高は6月の1日平均の3.7倍に達したというが、取引時間中の5日夜に発表された米雇用統計を受けてFXと共に金などの取引も膨らんだ模様。

2年ほど前に、「〜ETNのように取引形態の多様化と併せ、金融取引のグローバル化はジワジワと個人レベルまで浸透しつつある現れか。ところで夜間取引といえば一足先に昨年からスタートしているTOCOMの夜間取引はどんな状況になっているのだろうか?」とコメントしたことがあったが環境変化と共に伸びたというところか。

さて夜間といえば株式等も「PTS取引」が活況である。先にも書いた通り今年の1〜3月の売買代金は7兆円を超えて四半期で過去最高を更新、もう一つ金融取引所の「くりっく株365」も数年前から夜間は活況と聞く。活況とはいえ銘柄によっては板の薄いモノなどはさすがにまだ値が飛んだりもするが、先にも書いたPTS取引の刻み値などはこちらが一歩国際標準化しており、これら含めもはやサブ市場等という一昔前のイメージではなくなっているのはいうまでもない。


89年の歴史に幕

所用で銀座に出掛けた際にちょうど前を通って気付いたのだが松坂屋が閉店していた。この松坂屋銀座店、周知の通り複合商業施設に建て替えを行う為に先月いっぱいで89年の歴史に一旦幕を下ろすことになった訳だが、閉店セール期間の4-6月売上高は昨年度売上高の8割を稼ぎ出す盛況ぶりだった模様だ。

銀座という好立地に加えて世間はアベノミクス効果で消費が刺激されている折、タイミングが良かったというのもあるが、日経MJではその企画力を謳う記事もいつだったか目にしたことがある。それは兎も角も今後近隣の大手は、此処に入っていたブランド誘致に乗り出すなど顧客の取り込みに躍起になるのは想像に難くないか。

三年ほど前には、「フォーエバーー21、そしてうふふガールズ、はてはラオックスまで導入するなどルビコン川を渡ってしまった」とこの百貨店を書いたことがあったが、一先ずこういった感じになった。しかし人気があったキッチンスギモトなんぞはどうなるのだろう?この近所では京橋方面に歩くこと数分、あのホテル西洋銀座が閉館後のガランとした佇まいを見せているが、また一つこの界隈にガランとした風景が現れることになる。


中国版サブプライム

日曜日の日経紙一面には、「影の銀行、高利回り理財商品」として、中国の高利回り理財商品の2013年3月末の残高が約130兆円に達していることが明らかにされた旨が載っていたが、なにぶん中国のディスクロだけに外資の格付け機関が弾いた数値等では実情は更に大きなものとの試算も出ている。

この理財商品なるもの、銀行の通常の預金・融資とは別ルートで資金を集めるシャドーバンキング(所謂影の銀行)の代表的存在であるが、新聞等で挙がった各種試算では建設コストでみた中国住宅市場の価値はGDPの300〜400%、中央政府を除いた借入額の対GDP比は昨年210%、数年前は150%前後であったことを考えれば可也膨張しており何れも警戒水準を超過しているのは明白。

官製金融がのさばり市場金利が浸透しないなかで拡大してきたバブルの芽を象徴するような構図になってきたが、過去日本のバブル崩壊、そして米国のサブプライムと世界経済を震撼させてき前例があるだけにそれら踏まえた当局の舵取り、そして過剰な信用創造がどういったランディングになるのか興味深いところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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