355ページ目   雑記

火の無いところに煙は?

昨日の欧州市場ではイタリアの10年物国債利回りが再度上昇、3営業日ぶりに7%台に乗せてきている。既に昨今の金融市場の材料は日和見な欧州情勢一色でそれに株価も一喜一憂、ここへきてユーロそのものの構造問題を指摘する向きも増えてきたがもともと事情が違う向きをパッケージ化する事に無理があったか。

そんなワケでデレバレッジの動きも活発化しており、昨日の日経紙でも投資家に分配金を毎月払う国内最大の投資信託「グロソブ」がイタリア国債を7日までにすべて売却した旨が載っていた。ECBの買い支えも虚しくこの水準ではさすがに持続不能の向きも多くコレに限らず見切りで国債価格が下落、追加損失回避で関連の処分売りがスパイラル的に進行するさまは資金調達の件も含めそれこそ最近の東電やオリンパスにも似たものを感じる。

こんな時に先週は米格付け会社のS&Pは仏の格付けを巡って誤送信したという一幕があったが、その慌てぶりがかえって怪しまれ火の無いところに煙は立たないといまだに仏格下げ懸念は払拭されていない状態、それにしてもタイミング的に最悪というか出来過ぎと勘繰られても仕方あるまい。

欧州ではこんな折に今度は金融規制強化という新たな要因も加わり、年末を控えた市場にまた一つ不透明要因が加わることになる。


総裁連動株価?

本日より明日まで恒例の日銀金融政策決定会合があるが、日銀といえば先週此処の株が遂に40,000円の大台を下回ったのが話題になっていた。昨今の個別銘柄は実に20年ぶりとか30年ぶりの安値に沈む個別銘柄が多いが、当欄でこの日銀株に触れたのが8月でその時は約10年ぶりの安値であったが、これで実に約26年ぶりの安値になった。

さて株価の衰退よろしく段々と細ってきたのが、例の金融緩和策の一環として株価の下落局面で基金を通じ行うETF買いか。上記の8月は1日あたり256億円を買った日もありその買い入れ合計は1,732億円であったが、9月は同合計が1,561億円、そして10月は同合計が742億円、今月というと今のところは同合計が328億円と明らかに勢いが鈍っている。現在までに基金のETF購入総枠半分超を費やしたが、為替介入は一発で8兆円投入というからこの辺の采配は如何に。

しかし見ていると日銀総裁というのも影が薄い。バーナンキ氏など見ていると賛否両論あるものの一応は雇用拡大と経済成長を最優先課題に掲げる旨の明確化が目立つが、今の日銀総裁にはこうした責務の発言も無ければ明確なビジョンも全くといっていいほどない。先週末の日経紙「まちかど」ではこの日銀株が換金される様を「日銀株より日銀券を志向する投資家は、デフレがまだ続くと判断しているのかもしれない。」と書いてあったが、となれば介入効果も虚しくまだ円高継続という見方にもなるが。


新生マリオンの顔

本日の日経紙には三越伊勢丹HDが来春、羽田空港に「メンズ館」を出店する旨が載っていたが、このメンズ物で最近気になるといえば先月には有楽町に「阪急メンズ・トウキョー」がオープンしている。このマリオンには同店と共にその後西武の閉店セールがまだ記憶に新しい中を「ルミネ有楽町店」もオープンしているが、過日近所に所用があった序にどんなものか一寸覘いて来た。

オープン直後だけにそこそこの人手であったが、エントランスには先に世間を騒がせたあの海老蔵の写真が掲げられ銀座地区へ対しなんとも挑戦的な感、それは兎も角ザッと見た感じではなかなか小奇麗にハイブランドも纏まっており、「セルジオロッシ」や「ナラカミーチェ」などレディースに傾斜しているブランドなどなかなか国内では品数が乏しいメンズ物がそれなりに揃っていたのには一寸感動。感動ついでに、衝撃の日本撤退をしたあの「ベルサーチ」も再度復活していたのがまた印象的で、ホンノリとバブル再来の香りさえ感じた。

メンズ特化ということで上記新宿伊勢丹のコピーも連想したりしたものだが、失礼ながら風俗マネーがコアの消費層とされる伊勢丹メンズとはやはり毛色が違う。イタリア系ラグジュアリーブランドなどウィンドーショッピングでホンの一寸会話しただけにもかかわらず、何れの店も店員が名刺を差し出し何時でも使ってくださいと実に丁寧な応対。個人的な感ではなにかこうメンズを謳ってはいるものの女性こそが金を落しそうな感じがする。

対する「ルミネ有楽町店」も所詮はアゲハ系ブランドで固めた駅ビル系を想像していたのだが、意外?にもココもまた店員の対応は商品知識からマナーまで素晴らしく、「有楽町イトシア」や「プランタン」などもウカウカしていると顧客が流れそうな感もした。

何れにしても関西で成功した「阪急メンズ」、初の(脱)駅ビル形態の「ルミネ有楽町店」、共に成功できるかどうか今回試金石となるのは間違いなく、呉越同舟で迎え撃つ三越伊勢丹と松屋など銀座勢と併せまた目が離せなくなってきた。


TPPと既得権益

さて先月末の日経紙世論調査では首相が交渉参加に意欲を示すTPPに「賛成」が45%で、「反対」が32%となっていたが、このTPPの意見集約などを明日に控えて不利益を被るとされている各種協会などの反対意見広告も目立ち、ビジネス誌等でもこのTPPが格好のネタにされている。

このTPP、自由貿易を柱とする海外との包括的な経済連携協定の一つで主要貿易国との間で関税の壁等を取り払い連携を深める狙いだが、国の成長に不可欠な一方で安い輸入品流入等で影響を受ける業種もあってこれが反対派を勢いづかせている。農業関連と共に医薬品業界をも戦々恐々とさせ、株式市場では直近まで物色難から消去法で買われていた医薬品ポストも軟調な物が目立ち、武田薬品など主力も直近で年初来安値を付けるに至っている。

確かにこのTPPはメリット・デメリット双方が混在し一概に賛成とも反対とも言えるものではないが、反対派でやはり目立つのは農業関連、10月の末頃だったか日経紙でも前農相が到底受け入れられなく徹底して戦うと激しく反対の意を表明していたが、それもその筈TPPはこの農水始めとした現業官庁の既得権益が破壊の方向へ向かうのが自然。こういったことが絡む為にマスコミ報道もプロパガンダ的歪曲が一部指摘されるが、結末はどうあれこうした国策絡みの件は利害関係が露骨に浮き彫りになる。


社会保障考

さて、今週あたまの日経紙一面には厚生労働省が会社員の加入する厚生年金保険料の算定基準を見直し、対象となる月収上限を引き上げる方向で検討に入った旨が載っていた。また直近では、年金財政が逼迫しその年金の支給開始年齢が最大で70歳に引き上げられるという話が出ていたが一昔前の段階的引き上げの話は早くも反故か。

しかしこんな報道が為されると真っ先に試算したくなるのが払い損になるか否かの分岐点で、マトモに通れば中年世代がその辺に位置するが、こんなもので世代間格差が広がるのは当然いい訳がなく、上記の厚生年金月収上限引上げ然りこんな最近の報道を見ていると正直またかといった感じは否めない。

増税にしても先ずは官の無駄の削減こそ前提だろう。そもそも高給取り議員が多過ぎこの給料削減に議員定数の削減、一部公務員も給料共々削減が先だろうと思うのは私だけではない筈。いっそのこと保険も年金も全て一本化との声も出てきそうだが、月収上限引上げひとつ取っても負担増を迫られる高所得者層や企業からの強い反発は必至で、こうした層の部分でも空洞化?が進むと国力の問題にも絡んでくる点も政府はそろそろ気付くべきであろう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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