355ページ目   雑記

立場逆転したねじれ

さて、11日に投開票があった昨年の政権交代後に初の大型国政選挙となった第22回参院選の結果は、下馬評で与党による過半数確保が微妙な情勢といわれていた通り民主党は44議席にとどまる敗北を喫した。

斯様に沈むところあれば躍進するところありだが、三井住友銀顧問の西川氏がコメントしていたように民主バブルがはじけたのも世間の煽りで醸造された部分が大きかった事を思えば至極当然か。相場で例えれば右へ倣えではるか実力以上に買われた銘柄に飛び乗ったら、実態が伴わないことに気付き改めて値位置の高さに怖くなったという感じか。

他にも消費税引き上げ言及やら法人税引き下げ等々意見が出ているが、これ自体は日本電産社長の永守氏がコメントしていたように言及しなければならない問題であるものの、それ以上に他の税負担の公平性采配がまだまだ緩い気がしてならない。法人税問題も然りで、中にはこれを以ってバラマキとする意見もあるのはなるほど頷ける部分もある。

昨年は政権交代で株式・商品など相場環境や業界はどうなるかと記した記憶もあるが、今週はS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)がこの参院選の結果が、日本国債の格付けの潜在的なマイナス要因になるとしており、今回躍進したみんなの党は日銀法に対して独自の持論がある。9月には民主党代表選もあるが、そうした意味でも今後の運営動向に注意していたい。


短冊の願い

先週あたりから各所では短冊に思い思いの願いを書き込む姿が彼方此方で見られたが、ご存知本日は七夕。例年この期には入谷で朝顔市が開催され、またライトダウンなども各所で行われるがこの辺は今年も粛々と。

さて、この慣れ親しんだ行事についてカルピスがアンケートを実施したところによると、織姫と彦星の関係を夫婦と認識していた向きがわずかに21%だったとの結果であったとか。これが七夕生まれの人対象に行った調査というから一寸残念な気もするが、今はそんなものなのかもしれない。

ところで上記のライトダウンは損保ジャパンDIY生命も参加したというが、生保といえば昨日は年金型保険における相続税と所得税を課税する所謂二重課税訴訟において、最高裁が違法との判断を下し国が逆転敗訴となった旨の記事が各紙で見られた。

今迄長きに亘って課税されてきたこのケースがこれで覆されたのは驚きだが、過払い請求でノンバンク業界も一気に斜陽となったように、改めて最高裁の絶対的な力を感じる。しかし二重課税なんぞは証券系でも当然の如く行われているが、他にも定期預金利息など幅広い金融商品の課税見直しに影響が及ぶ可能性があり今後注目、恣意的な物が正されるのは胸がすく思いだが、近年司法も方向が少し変わってきたなと感じる。


異常国債依存度

本日の日経紙クイックサーベイには、日本の財政に不安を感じるとした向きが97%に上っている旨が載っていた。ただ足元ではむしろ「安全資産」との認識から国債への資金流入が続き、金利は低下基調にある中、すぐに日本国債が暴落することは考えにくいとの見方が多いとか。

この辺は月初にやはり同紙一面に載っていたように、国内投資家による日本国債の保有比率は今年3月末で95%超えとなり2006年3月末以来の高水準になったとの旨がその辺を物語っているが、利回りの低水準でさながら国債バブルとの見方も当然多い。

そういえば先の郵政官営化への逆戻りにおいて郵貯限度額引き上げ論もあったが、真っ先に想像されたのは国債との絡みか。銀行も然り、確かに企業の資金需要の低迷というのがあり、仮にあったとしても焦付き懸念が付き纏う中で国債へ流れるというのも否めないが、
この残高は普通に見れば可也怖い部分がある。

しかしながら中には過度に不安視する必要は無いとの見方も多く見掛け、今の状況が不変ならばまた話は別なものの、もうじきに団塊世代年金受給も本格化する。仕手株なんぞと同様に考えるのはどうかと思うが、この手のファイナンスの如く回っているうちはいいものの金融機関等影響を考えれば崩れ出した場合の構図がやはり怖いところでもある。


銀行も社債も

本日の日経紙には、東京都が主導し、企業の社債を束ねた金融商品で2件目の元本割れが出ることが確定した旨が出ていた。これは所謂広域CBOと呼ばれるモノで、みずほグループが07年に「エクセレント・コラボレーション」の名で証券化商品として発行した総額約160億年のモノとか。

これは東京都知事が、単独では社債が発行できない中小企業でも無担保・無保証で資本市場から資金調達出来るように提唱した所謂「債券市場構想」に沿ってスタートしたものだが、そういえば昨年のちょうど今頃にもこの広域CBOが元本割れを起こし約130億円を棄損した旨も同紙で見た記憶がある。

背景には中小企業の経営が悪化し返済が見込みを下回った為だが、「エクセレント・コラボレーション」なる名称が今となってはなんとも寂しい。もともと半ば自治体がお墨付きを与えているようなものだけに元本割れに納得がいかない向きもあろうが、東京都といえば「新銀行東京」を見ればこれらの共通点として審査の脆さが連想されよう。

そういった点と共にこの手は組成上の都合もいろいろとある場合が多く、この辺も与信の甘さに一役買った部分があるのは否めないだろうか。上記の銀行と共にアイデア自体は否定できないが、昨今東証での新興企業破綻事件に見られるように審査の重要性を考えさせられる事例である。


葉をかいて根を断つ?

本日の日経紙には国内社債市場において、ノンバンク銘柄に対する選別が強まっている旨が載っていた。この手の社債といえば直近では武富士などが414億円のユーロ建て転換社債型新株予約権付社債の繰上げ償還を乗り切ったばかりであるが、スプレッド縮小の気配は感じられない状況とか。

さて、この消費者金融業界、改正貸金業法が完全施行となってそろそろ一週間が経過しようとしているが、なんでも総量規制では現状利用者の約半数もの利用者がこれに抵触してしまうとか。そうなるとやはり需要の矛先は一部ヤミ金紛いのところへ向けられ、また厄介な問題が出てくるのは想像に難くない。

一部として同紙にはノンバンクの中でもクレジットカード会社のように規制強化の影響が比較的小さい企業の社債では逆に強い需要がある旨も書いてあったが、このカードも楽観視は出来ない。ショッピング枠など総量規制の対象外という部分が狙われ、この枠を使った不正換金需要が早くもビジネス化しているとか。

政府としても激変緩和措置なるものを設けているようだが、本来のセーフティーネットの役割を持たせるとしたらこれは現状不可能といってもいいくらい難しい問題か。消費者保護のもと「葉をかいて根を断つ」のような小さい事ではないものの、利用者と共に業者の縮小も避けられないし、そうなれば過払い請求の構図もまた変わってくる。

何れにしても商品業界と何処か似ているこの業界、暫くはお上の意向に従いその経過を見るしかないか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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