357ページ目   雑記

Hommage 

さて、ちょうど一週間前までフランスでは2011年秋冬パリ・オートクチュールコレクションが開催されていた。ラガーフェルド氏手掛けるシャネルの新作始め、ジャンポール・ゴルチエの今シーズンはあの「Black Swan」の世界からインスピレーションを得たというチュチュや羽飾りなどバレエ色の強い作品を発表。余談だがモデルのイヴ・サルヴァイル、やはりカッコ良すぎである。

一方で伊の大御所ジョルジオ・アルマーニは大震災に見舞われた日本へのオマージュとして、大輪の花をプリントした着物風コートや帯のベルト、梅花の刺繍を鏤めたジャケットなど和風の美を取り込んだ華麗な作品を発表していた。

ジョルジオ・アルマーニといえば、高島屋のアニバーサリー絡みの「ヘリテージ・コレクション」で、東証上場の川島織物の生地を使い日本の帯を思わせる柄をあしらったバッグも発表しているが、この手のコラボモノでは昨日まで京都の金閣寺方丈にてグッチが設立90周年記念の催しで、「時の贈り物」としてバッグを展示する催しも行っていた。

そういえばドルチェ&ガッパーナも先のインタビューでは日本の震災に絡めてファションを語っていたが、斯様にイタリア勢の日本傾斜が目立つ。勿論重要な戦略拠点というのもあるが、上記のアルマーニ氏は東北の被災地で就学が困難になった小中学生を支援する奨学金制度も設立する予定で、文化や技と共にこうした部分も共鳴出来るのは素晴らしいことである。


それぞれの御家芸

さて、先週末のNIKKEIプラス1では「中国の新幹線、海外で特許取れるの?」として、最近話題になっている例の中国鉄道省による高速鉄道車両の特許出願の件が取り上げられていた。

しかし「(パクリ)モーターショー」や、ちょっと前の「上海(パクリ)万博」に続き今回はコレを持ち出したかという感じだが、もう一つ一つ挙げるとキリが無いくらいのパクリ疑惑技もその毎回同じテーマから一つの御家芸というかブランドとしてこれはもう独立しているだろうか?

しかし、どの問題を取ってみても大真面目に開き直って?其れなりの理由もこじ付けているという事で、ここは立場を変えて別の視点で眺めてみると産業の空洞化が問題になったようにローコストな人件費に惹かれこうした国へせっせと技術を流していた方もワキが甘かったのかも知れない。

近年では老舗の商標を続々押える暴挙も目立つが、そのくらいのテクもある意味見習うべきであっただろう。まあ、国際社会でこんな姿勢が何処まで通用するのか見物なものの、ある意味賛否両論。そういえば本日の日経紙では、海外市場で上場する中国企業の会計不信が拡大している旨出ていたがこの辺はまた後述したい。


やはり体質

本日は日経平均が再度10,000円の大台割れとなる中を電力株は総じて小動きの引けであったが、電力会社といえば周知の通り運転停止中の九電玄海原子力発電所2.3号機の再稼動を巡り経産省が6月に県民向けの説明会を開いた際、九電の原子力発電部門の社員が本社や子会社の社員に一般市民を装って再稼動を指示する意見メールを送るように依頼していたことが先に明らかになっている。

問題の依頼文を見たが、「会社のPCでは処理能力が低いこと等から、是非、ご自宅のPCからのアクセスを御願い致します」等と九電関係者と分かりにくくさせる姑息な一文も。日経紙社説ではこのメール事件に触れ「情けない」と書いてあったが、会見で社長が「そんなに大きい問題ですか?」とも発言したり常識的に情けないレベルの話では済まないだろう。原発を巡る一連の対応を見ていると、東電然り今回の九電然りやはり前にも書いた通りその体質が非常に解り易い。

何処の企業でも大小問わず過去を捜せばこの手の話の素地はあるが、取り扱い要注意?メールの漏洩を考えていなかったというか一部暴走組に裁量を委ねていた怖さが露呈された一件。一頃コンプラが問題になった時期があったが、またその業種問わず各所の話題としてコンプラが蒸し返されそうな雰囲気である。


株主総会

さて先週は株主総会のピークであったが、今年の場合は決算期終了間際に起きた未曾有の国難で多数の企業業績に大きな影響を及ぼしたことや、この流れからの利益配分も今年は義捐金等絡んで一部変化もあるなどで例年とは一寸その色を変えた総会も多かったようにも思う。

一方で震災に絡んで渦中の企業ははたしてかな個人株主から厳しい発言が相次いだが、厳しい発言といえば議案提出を通じて彼是物言うファンド系などはすっかり影を潜めている。当欄でも何度か取り上げたこの手の代表系の「米スティール・パートナーズ」は昨年末にサッポロHD株を全て売却して以降すっかり噂も聞こえてこないが、3月末ベースの株主名簿でも外資系ファンドが日本企業の株を買い増す動きは目立たないという。

これら外資系ファンドは一部新興国市場へ舞台を移しているという話も聞くが、先月はあの「村上ファンド」を率いた村上世彰氏の有罪判決も最高裁で確定している。ココも所謂アクティビストとして有名であったが、法を犯した実質の部分は兎も角も一連の過程での利益至上主義全ての部分を否定してしまっている部分は現社会においてなんとも矛盾を感じざるを得ない。

裁く側からすれば水が清くなったのだろうが、外から見れば特異な非常識を日本に感じている業界関係者は多数。彼らがいい意味での緊張感をもたらしていた当時から比べるに、現在の株式市場は売買代金ひとつ取ってもその凋落ぶりが著しい。株主の変遷を見るにつけそんなことが頭に浮かぶが、水清ければ魚住まずもまた市場か。


BLACK SWAN〜魔性を宿す市場

さて、先週で大方メインの劇場では終ってしまったが、知人の誘いもあって過日はナタリー・ポートマン主演の「ブラックスワン」を観る事に。さすがアカデミー賞やゴールデン・グローブ賞の主演女優賞を受賞しただけあってナタリー、ある意味コワ過ぎな感。バレエ団監督役のヴァンサン・カッセルも、こうして見ると「オーシャンズ」シリーズで演じていた怪盗よりもこちらの役の方がハマリ役かと。

何れにせよ肉体を昇華させ必要以上?に意識させるホラーにバレエという素材を使ったのはなるほど正解という気がした作品であった。余談だが、劇場からほど近い「キルフェボン」のケースにはこの映画の公開記念と称し「ブラックプリマのタルト」なるものも並んでいた時期があったが、これまた官能的な香りに仕上がっておりなかなかだったのもフト思い出した。

ところでこの「ブラックスワン」、こんな有名な映画は知らなくともこの言葉をしばしば使う市場関係者は多い。この映画公開前から既に使われてきた、確率的には稀ながら仮にそれが起きた場合は極めて多大なリスクを伴う、その想定外リスクの大小を示しているというCBOEが算出・公表している通称「ブラックスワン指数」なるものがあるからだ。

この指数、「VIX」に酷似しているがこちらはより深刻な状況を示唆、今年も実際に2月中旬には一時130台超えとなり、これは金融危機時を上回る水準となっていた。この段階で既に「ブラックスワン」の登場を警戒する不安心理の高まりを示していた訳だが、果たしてその後は周知の通り。市場もまたプリマ同様常に二面性を秘めている。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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