360ページ目   雑記

卯、跳ねる

皆様、新年明けましておめでとうございます。

本日の株式大発会は昨年の「寅、千里を走る」からバトンタッチして「卯、跳ねる」の格言の如く反発からスタートした。大納会は冴えずに年足で陰線云々とか関係者間では話題だったが、その占有率からして既にドル建て評価の世界か。そんな年足を気にするより危惧すべきは売買代金が320兆円台と6年ぶりの低水準まで落ち込んだ点、プライマリーにありつけない中小以下の苦境は未だ底を打った感には遠くこの辺の去就は果たしてどうなるか。

さて一方でやはり苦境の商品業界はどうだろうか? 昨年は年明けと共に東証の新システム「アローヘッド」が稼動したが、今年は年明けと共に東穀取が取引システムをTOCOMに統合した。また、元旦付けの日経紙にある「年間予定2011年」の1月欄一番初めに出ているのが、1日の「商品先物取引法施行、取引を望まない人への商品先物の営業が禁止に」ということであったが、さて今年は総合的な政策絡めてどういった展開になるのかこちらも目が離せない。

何れにせよ、双方共に今年もまたM&AやMBO等で商機ありという流れが個別で続くか。

本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。


有楽町の顔

先週末はクリスマスであったが、そういえば昨年のクリスマスには業界からタイコム証券が消えたのが思い出されるが、今年のクリスマスに26年の歴史に幕を下ろし消えることになったのが「有楽町マリオン」の顔であった、ご存知セブン&アイ・ホールディングス傘下の「西武有楽町店」である。

最終日の開店前にはすぐ裏の宝くじ売り場よろしく1,000人近くもの行列が出来、この人手は前年同期比の3倍、その売り上げは同5倍にもなった模様。同百貨店は逸早く尖ったイタリアンブランドなどを導入しバブル期のOLなど中心に人気があったものだが、長引く不況の影響から個人消費の低迷には抗せず今回の措置となったワケだが、また一つこの界隈の顔が消えるのは本当に残念。

さて、これだけの一等地にこの西武無き後に誰が入るのかということだが、秋口に発表された通りルミネが決まっている。近年銀座界隈には続々と低価格路線のファストファッションブランドが伸して来ているが、またも脱高額消費の流れでこれが近隣の有楽町にまで及んで来たことになる。

残った百貨店系でも「フォーエバー21」、そして「うふふガールズ」、はては「ラオックス」まで導入するなどルビコン川を渡ってしまった松坂屋のようなケースあり、先に書いた三越のように統合の真価を賭けて同社のエッセンスをふんだんに盛り込んで増床したケースありで、今後新興勢力と老舗勢との戦いがどうなってゆくのか来年もますます目が離せなくなってきた。


見えないフィロソフィー

さて、週末には政府臨時閣僚会議にて2011年度税制改正大綱を決めたが、このうち業界関係では意外?に早く結論が出たというか、証券優遇税制については11年末で終了する10%の軽減税率は市場活性化の一環として13年末までの2年間の延長。またFXは20%申告分離課税、損益通算、損失額の3年繰越控除など取引所取引と同様に税制一本化とする旨である。

まあ証券優遇税制は兎も角、FXについては当欄で今から三年前に「一本化の遠い道のり」のタイトルで、依然として取引所取引と店頭取引とでは当局の対応が不透明な中を税制面で様々な物議が醸し出されているとコメントしたのを思い出すが、これを含め取引所取引に偏向とも取れるような政策が垣間見られてきただけに店頭組にとっては朗報ともいえるか。

さて個別ではそんな点があるも、全般論では可也酷い。大袈裟に法人税引下げ云々を謳って煙に巻くのに必至だが、選挙思惑も絡んで消費税という聖域に触れることが出来ないが為の遣っ付け仕事か。結局その裏では相続税や給与所得控除の頭打ちを打ち出すなど個人にとっては不満が残る増税となる。

不満といえばその使途にしても然りで、このままでは変な公約固執の為にバラマキの上積みにされそうで一体どうマネジメントしているのか不可解極まりない。しかし、斯様に財源確保の見通しがないという将来が見えない増税策で見切り発車する未成熟政府はまさに「仮免許」そのもの、不安なのでこれ以上公道を走って欲しくない思いがある向きは少なくないだろう。


狭まる効率営業

さて、今週は6日付けの日経紙にて「円高の年の冬ボーナス・外貨投資 狙い目は」と出ていたが、円高といえば先週あたりから入ってきたニュースには「通貨デリバティブ」を購入した中小企業が多額損失で経営難に陥っている事例から、金融庁が同商品の販売方法や取引先の損失状況などについて実態調査に乗り出すという報もあった。

そういえば先週3日付けの日経紙夕刊一面にも、06年から07年に発行した円高で支払い金利がハネ上がる仕組み債でここ近年各地方自治体が損失拡大しているという記事も目にした。しかしこの手の話は続々と出て来るが、今に始まったことではなく二年前だったか駒澤大学や立正大学のデリバティブ損失も大きな話題になっていた記憶がある。

さてこうした被害者?というか顧客側をザッと眺めてみるとなんとなくだが共通項は毎期決まった入り勘があって且つ特段設備投資の用もないというところが多い。辣腕の営業なら先ず効率を考えこの辺を集中的に落しに入ったのだろうが、幸運?にも手垢の付いていない向きなどは売る方が心配になるくらい決裁が単純なものという。果たして今更の大騒ぎになっている訳だが、この期に及んでどういった商品内容なのかを精査するところは少なくない。

ある程度の敗戦処理が片付いた段階で、顧客側もこの手の物への再考論など出てきそうだが、7日付け日経紙にも金融庁が金融機関に対して、投資信託を勧誘・販売する際の利用者への説明を丁寧に行うよう求める旨が出ている。証券界では所謂「仕切り」と共に長い歴史を歩んできたこの回転売買も然り、この時代になって漸く売りの手法も転機が近づいてきたという感じがする。


現物志向色々

さて今週は週初の日経紙上で、絵画など美術品のオークションが長引く景気低迷により落札価格が下がったことから、これに参加する一般の人が増えている旨が載っていた。同紙には絵画や陶磁器の「投資適格順位表」なる物も載せてあったが、斯様にこの押し目?を投資対象として捉える側面も書かれている。

さて、こうしたパブリックなものから有名芸術家作品が続々登場するのはクリスティーズやサザビーズなどやはり大手どころ。今週はまた作品価値66億円を超えるといわれるパブロ・ピカソの未公開作品が大量に見つかった旨が報じられていたが、このピカソなど「ヌード、観葉植物と胸像」は美術品最高額の約100億円で競り落とされたのが話題になっていた。

上記のパブリック系ではまだまだ手頃な出物が出て来ているようだが、こちらは名品を手放す向きがある一方で主要国の金融緩和で大量に出回った過剰流動性がこれらを呑み込み、作品全般で価格も急上昇という。

近年コモディティーがより一層金融商品の色彩を濃くし始めたのは周知の通りだが、そこで受け皿から溢れた一部は美術品という現物への志向も強くしている。以前当欄で書いたようにリーマン・ショックの二年前にはサザビーズがピカソの名作「アルルカン」の出品を市況低迷から延期するまでに至った経緯があるが、金融緩和はアート市場の冷え込みまでも転換させるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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