360ページ目   雑記

御家芸の技術力

さて、昨日は日経紙でもモノトーンの全面広告が出ていたように、帝国ホテルが開業120周年を迎えているが、そういえば此処では先週第12回日経フォーラム「世界経営者会議」が開催されていたのを思い出した。ところでこの会議の討論の中では先の日経紙一面にも出ていたようにサンディスクのCEOは「日本は先端的なものづくりを国内にとどめなければいけない」と強調し、ノウハウなどが流出した場合「取り戻すのは容易ではない」と指摘している。

技術流出といえば日本が世界に誇る金型技術では、昨年国内最大手のオギハラがタイ自動車部品大手の傘下に入り、一部工場は中国企業が買収したが、そんな折先月だったか自動車用金型で国内2位の富士テクニカが同3位の宮津製作所の事業を買収し、富士テクニカは企業再生支援機構から出資を受けて経営基盤を強化する報道があったばかり。

またも御家芸流出の懸念となるところだったが、既に優秀な人材、頭脳の海外流出から、日本が培ってきたさまざまなノウハウが他国に流れ出る動きは彼方此方に見られる。不況が主因なのはもとより技術者レベルも他国の優遇を求めて日本を離れる裏にはその評価というか地位の低さが起因している部分もあるのではないか?

上場企業で見ても先週など株式市場ではこの円高下においてもソニー株が、米アップルによる買収対象の一つになるかもしれないと思惑を呼んで上昇した経緯があったが、他の一部ハイテクでも異様な強さを見せていた物も多い。結局これら企業は独自の技術力を持っているところばかりでその技術水準の高さには定評がある。スポーツ界の誇らしい流出と違ってこと産業界では大いに懸念すべき事だろう。


単純代替論

昨日の日経紙経済面には「法人税率下げ 財源で応報」とあり、2011年度税制改正の目玉である法人実効税率の引き下げのための財源探しが熱を帯びてきたと出ている。政府税制調査会は法人の税負担の付け替えによる財源確保の検討に着手し、これに対し産業界は純粋な減税を求めている。

日本の法人実効税率は各国と比べて高いとの認識は何処でも共通で、例えばデフレ下の悪環境とも相俟ってここ近年ではそこそこ高級なブランドなど外資系がオフィスや店舗を続々と閉鎖し、日本拠点を他の国に移している一因もここに一部あるともいわれている。

しかしながら費用対効果が特に重視される外資系においては経済成長率著しい新興国などに投資をシフトしてゆくというのは自然な流れで、こうした国内空洞化を鑑みての論に対して消費税引き上げ等含めた新税創設論などあるが、欧州などを見てみるに基本的な生活費等殆ど消費税がかけられていない部分もあり、この辺を一括りにしてしまうような構想は危うさも残る。

首相は、週明けの集中審議で実効税率については「近隣国との比較でまた高いと指摘されている」としていたが、上記の件や低いとされる欧州などとでは社会保険料などが可也違うという部分も把握しているのだろうか?景気で左右される法人税より確実に取れる路線に傾斜というところなのだろうが、最低この辺の事情は把握しておいてもらいたいもの。


変わらぬ影響力

さて昨日から本日にかけては資源大手の豪英BHPビリトンと、英豪リオ・ティントが鉄鉱石事業の統合計画を撤回した旨の報が各紙で伝えられた。

この両社、当欄では二年ほど前に触れた事があったが、当時はリオ・ティント側が最大手のBHPビリトンからの買収提案を拒否した経緯があったのが記憶に新しい。それでも翌年には厳しいファイナンス事情もあって鉄鉱石事業の統合で合弁事業を設立することで合意していたものの、結局今回の結論となった。

業界ではこの両社ほかブラジルの大手ヴァーレや他の新興勢では中国の宝鋼集団などもあるが、ほぼこれらで世界の鉄鉱石供給の7割以上を占める支配力を持っている。今回は当然ながら鉄鋼業界の猛反発もあって、各国・地域の競争当局から統合への承認が得られない見通しになったが安堵も束の間、このシェアでは価格への圧力など脅威は依然健在だろう。

業界によっては独禁法などただのお飾りになってしまっている部分も見え隠れするが、取引所創設など奏功するかこの辺は政治色も濃いのでなんとも言えないが、こうした寡占化というのも昨今の流れの特徴でもある。


大阪初上陸

さて今の時期、夜になるとリビングからは毎年恒例になったピンクリボン活動の啓蒙でホテルの外観をピンク色にライトアップした「ザ・ペニンシュラ東京」の妖艶な佇まいが見られるが、此処が出来てからはやもう三年が経つ。

丁度ここは「マンダリン・オリエンタル東京」が開業した後にオープンし当時は外資系ホテル戦争ともいわれたものであったが、東京が昨年の「シャングリ・ラ東京」のオープンで一服している時に先週末に大阪では米スターウッドグループの最高級ブランドである「セントレジス」が開業している。

位置付けでいうとヒルトングループにおける「コンラッド」のような立場だろうが、今まで大阪で外資系のアッパークラスというと「リッツカールトン」くらいしか頭に浮かばなかった。そんなことから十分な市場機会があると此処の地を選んだのだろうが、室料は7万円くらいからと国内では最高レベルに設定と強気の構えである。

長引く不況でホテル業界の経営環境が厳しい上に、折しも円高で海外観光客への期待も一気にトーンダウンと逆風下でのデビューとなるが、上位ブランドといえばもう一つ13年には英国系「インターコンチネンタル」も開業に向けて三菱地所等と交渉している模様。室料もオープン当初は優待やら記念料金の名目でお試し価格は定番なものの、稼働率を追う為にその価格帯が恒常化してしまうのが昨今の現象でもある。そんなジンクスを破る事が出来るのか否か大阪ホテル戦争の今後も興味深い。


形振り構わぬ競争

市場関係者には注目されていた週明けからの金融政策決定会合であったが、周知の通り日銀はゼロ金利を継続させ、国債や社債など5兆円規模の資産の買い取りも決定した。

日経平均もこれを好感して本日も大幅続伸となったが、分配金利回りなどみてもともと割安感もあったREIT指数も急反発、REIT指数が急反発となれば個別でも不動産ポスト始めとしてオリックスなどやはり反応が早い。またこのその他金融業ポストではそのメリットが意識されてADRではアイフルが上昇率トップとなっていた。

さて、そんな一方でコモディティーの方では一昨日取り上げた金が昨日も史上最高値を更新、量的緩和競争に入ってきた今の情勢を如実に反映しているが、ここ直近の上げ方を見ているとこれら金融上の政策が相当量のプレミアムを乗せてこの相場へと織り込まれている感もある。

兎も角これで「通貨安戦争」参加に続いて「量的緩和競争」にも着手したワケだが、当の円相場は政府・日銀が単独で円売り・ドル買いを実施した15日以来約3週間ぶりに82円台へと上昇、介入以降は円高是正局面があっても尽く一日天下に終っているが量的緩和といってももともとの絶対水準が低く、投資家のリスク選好度が高まればドル売りの構図がやはり思い浮かぶのは自然なところ。そんなワケでこの競争、はたして奏功するかどうか今後を見守りたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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