360ページ目   雑記

花冷え下の華

さて、昨年は期末と新年度の合間をぬって『池坊展』へ出掛けたが、今年もまたお誘い頂いたという都合もあって今週は同展を観てきた。今年の桜開花は平年より7日ほど早かったらしいが、花冷えも影響してか会場付近の上野公園は昨年ほどの混雑をみせていなかった感も。

ちょうどボルゲーゼ美術館展が開催されていた事もあって平日でもそこそこ人が多かったが、池坊展の方は余計な人の流れもなく丁度いい感じであった。さて、昨年はトロピックな素材の多用を新鮮に感じたが、今年も昨年見たアンスリウムやストレリチアに加えモンステラなど大振りの葉や珍しいオーキッド類も目立ち、その組み合わせの完成度はさすがに見事であった。

この組み合わせといえば、竹などが意外にトロピカル素材に合うのが解ってきたが、アンスリウムに桜や紫陽花とか、百合に松とか胡蝶蘭に桜等々素人目には通常合わせに考え辛い物を縦横無尽に合せしっくり全体を纏めてしまう技にはやはり感服。それにしてもどれも素材が素晴らしい。

ところで昨年の秋には当欄でフラワーデザインコンテストのクイーンズカップに触れ、花と組み合わせた物に毛糸球や羽毛など面白い素材を指摘した事があったが、今回の池坊の中にも芥子に色とりどりの風船をあしらった作品や人形を添えた作品もあり、思わずそれらを彷彿させる一面ありでまた新しい感性を感じた。


幻の関西連合

昨日は三越にて売り上げに寄与?している中国人観光客の様子に触れたが、百貨店といえば先週はこの三越の近所にもある高島屋とエイチ・ツー・オーリテイリングが経営統合を破談にした旨の報道があった。

この高島屋とエイチ・ツー・オーリテイリング、有力リサーチ会社の百貨店評価項目別でも上位に並んでおり、その二社の統合は2年前には当欄でも「まさに関西連合」として期待したものだが、当時もこの話が出る直前までいわれていたように高島屋の単独路線が結局は続くことになるか。

しかし大型案件の破談についてはつい先月に「相次ぐ破談」としてコメントしたばかりだが、手を結んでみたものの産業界に限らず水面下では環境の急変も手伝ってマルになるパターンも多いとつくづくだが、やはりこの業界規模的な問題は避けては通れない道だろう。

実際、百貨店業界は昨年の全国売上高が実に24年ぶりの低水準になるなど市場縮小が継続、こうした環境下での合従連衡の流れであるが、他社も含めて構造的な問題が変わらない中このポストは中堅中心にそうした動きは不可避、まだまだ水面下の動きに目が離せない。


購買力襲来

昨日は一寸付き合いで三越に立ち寄ったのだが、エントランスを入って直ぐに異様な光景に出くわした。それは一階のコスメフロアにおいて「資生堂」コーナーを占拠し、在庫品までが殆どカラになるまでの買い漁りを演じていた中国人観光客の集団行動。新聞やTVなどでは見たことがあったが、実際間近に見るとなかなか恐い感さえ覚える。

ちょうど知人が居たので聞いたところ、資生堂が巨大市場を睨んでの中国進出が奏功して現地ではアッパーミドル層中心にそのネームバリューは絶大であるとか。狙われているのは現地未展開の製品や一部高価格帯の物、詳細なリストが用意されているあたり目的がハッキリしている。

所謂当地リミテッドエディションというところなのだろうが、それにしても凄い買い方である。何処かで聞いた事があるが観光客一人の背後には十数人のオーダーが控えているパターンが多いとか、また更に他の定番モノでもゴッソリ手当てしてゆく裏には、日本で買うからこその品質に絶対的な安心感があるというからこれもお国事情を表しているいい例だろうか。

しかしこんな光景、他人事のように見ているが「人の振り見て・・」とはよく言ったもので、ちょっと思い出してみれば一昔前にはパリの「ルイ・ヴィトン」やミラノの「アルマーニ」などでも大挙して斯様に買い漁っていたのは日本人だったなと。本日の日経紙一面には中国の吉利がポルボ買収で最終合意とも出ていたが、こんな末端消費だけ取っても底知れぬパワーを感じざるを得ない。


貯蓄奨励?

本日の日経紙一面で目に飛び込んできたのは、政府が郵政事業の見直しに関連し、郵便貯金と簡易生命保険の限度額を大幅に引上げる方針を固めた旨の記事。これで郵貯の預入額は現行の1,000万円から2,000万円に上がる見込み。

金融界としては今迄これらに反対してきたワケだがそれもそうだろう、政府の後ろ盾を武器にして限度額引き上げによる資金シフトのシワ寄せやら、様々な優遇措置やらで地域金融機関含めた民業の圧迫は想像に難くない。

別な視点から眺めれば、こうした貯蓄奨励?型の気運は証券関係の税制案などを見てもリスク物に対して決して寛容とはいえず、これまたより一層そうした方向への色合いが濃く見えるものだ。近年は確か「貯蓄から投資」が声高く謳われている筈だったと思うが、何かこう逆行というか矛盾している感が強い。

しかし、JALなど旧官営(事実上は今でもだが)の悪しき伝統モノが市場から消えてゆく一方で、斯様に官業の肥大化が進行している点に不気味さが燻る。これら含めて今迄築いてきた改革が歪み、経済構造が後戻りしてゆくような愚の無いよう祈るばかりである。


世論と文化

さて、13日から中東のカタールで始まったワシントン条約締結国会議も大詰めだが、前にも一度触れたように西洋クロマグロの取引規制を巡っての思惑が飛び交っており、輸出禁止の場合、クロマグロの国内流通量は半減するとも一般的にはいわれている。

ただそこは悲しいかな、長引く景気低迷からの消費落込みで現在では2万トン超の在庫があり、パニックなどという懸念はないとの指摘も多い。確かに昨今の低価格志向を背景に、これら高級食材を取り巻く環境は激変している感もある。この手の魚モノでは年明けのフグの初セリは4割も安かった模様だし、いつだったか高級食材の卸値と前年同期比での下落率等を見た時には特にこの水産物が酷く、クロマグロやカニなどで3割近い下落となっていたのを思い出した。

そんな中でこの世論、昨年の秋にも書いたようにクロマグロ食材に関しては既に英「ゴードンラムゼイ」のレストランやら「NOBU」などは代替魚若しくは提供中止の措置を取っている。高級レストラン勢が加盟する協会「ルレ・エ・シャトー」でも不使用宣言を出し、「エノテカ・ピンキオ−リ」や「トロワグロ」など錚々たる面子がサイン済みとか。

さて、こういったインターナショナルに展開する向きの一方で、同協会には日本も有名旅館やレストランが加盟しているが、こちらは「オテル・ドゥ・ミクニ」始めとして殆どが同宣言に反対に回っているとか。この問題、賛否両論あるものの、ちょうど先週末にも書いた通りひとつの文化だけに、やはり画一的に測れない部分もありおいそれと承諾しない態度には安堵感さえ覚えるのも正直なところである。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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