380ページ目   雑記

酷似する構造・2

昨日の大手各紙では「さくらや」全店が閉鎖し64年の歴史に幕を下ろした旨の記事を見掛けたが、同じ約60年の歴史に幕といえば吉本興業も先に長きに亘る株式公開に終止符を打っている。斯様に先月は個人に馴染みのある企業が幾つかその長い歴史に終止符という事例があったが、話題性ではやはりその株式公開48年の歴史に幕を下ろした日本航空だろうか。

この日本航空、直近で09年04〜12月期連結決算を発表しているが、10年3月期通期営業赤字を2,500億円以上見込んでいたところ先の営業赤字が1,208億円で収まったので残りの期間を考慮しても意外?に赤字幅が最小限に収まっているとの解説もあった。まあ、それでも純損失は467億円と過去最悪、12年3月期に241億円の営業黒字の確保という再建計画の数字を前にそのハードルが高く聳え立つ。

この再建に投じられる公的資金は総額で一兆円近く、慢性的赤字が続き国債乱発の借金に依存しなければ立ちゆかない日本の財政と同じである。年金にしても最後まで渋るOB組を見るにつけ、今後の日本の社会保障構造と重なる部分など他に幾つも見受けられる。

昨日は「酷似する構造」として社会保障絡めてギリシャと日本の財政構造を書いたが、破綻した一企業ベースの比較で見ても一部紙の指摘にもあったように、斯様に同社と日本の財政事情がここでも重なってしまう部分があり、構造問題解決が焦眉の急を告げるなか、日本航空は稲盛会長、かたや日本は鳩山首相とそれぞれ今後の手腕が注目されている。


酷似する構造

本日の日経紙経済面では「マネー再びリスク回避」としてユーロ・新興国通貨から円・ドルへとの記事が出ていた。この辺はドイツのメルケル首相もユーロが導入以来の厳しい状況に直面していると直近のインタビューで語っている通りだが、このリスク回避に根ざした円高基調がこのまま続くかには不透明な面も残るとしている。

この辺を同紙では衆院選で民主党が大勝した昨年8月末時点と比較して、先週も当欄で取り上げたCDSプレミアム(5年物)が2倍に拡大している旨が書いてあった。政党といえばこのマネーのリスク回避のトリガーになったギリシャも昨年社会主義運動が勝利し社会保障の充実等を謳っていたものの、いざ政権をとるとその劣悪な財政事情に直面しこれらマニフェストが全く守れない状況になっているのが現状。

さて我が国の民主党、この経済面の隣の政治面の頁にはタイミングよくというか財源不足が指摘されるマニフェストを巡り、見直しが必要と思われる政策の調査結果が載っていたが、政党といい構造といいこれまたなんとも酷似しているではないか?

同紙に市場では「ギリシャの次は日本」との声もあるとしているが、斯様に考えてみるとこうしたギリシャの債務問題も対岸の火事的には片付けられまい。こうした声があながち単なる煽りに聞こえない恐さがこの一文には潜んでいる気もする。


破壊と創造-フランス大使館

さてもう月末だが、今月は某大使館に所用があってちょっと麻布界隈に出掛けた際、帰り掛けにフランス大使館(旧)にて開催されていた「NO MAN’S LAND」が延長開催されている事を思い出し、ちょうど近所ということもあって様子を見に行ってみた。

この「NO MAN’S LAND」、一部にご存知の向きも居ると思うが、昨年にフランス大使館が新庁舎へ移転した後の旧大使館をそのままフルに使い切ったコンテンポラリーアート展である。用が無ければ来る事はない大使館なので此処へ来たのは久し振りだが、早速エントランスが何やらTDLの某アトラクション風?に変身しており妙な期待が高まる。このイベントが延長開催されているのを知らない向きも多いのか人もマバラ、フレンドリーな女性に声を掛けられながら中へ。

ここを抜けて目に飛び込んで来るのはパーキングに停めてあるフランスならではのプジョーだが、路面から続くピンクのペインティングがベタベタと車体にも。それを横目に(メタル製の)折り紙風飛行機が突き刺さった路面を歩き建物へ。これに参加したアーティストは約70組だそうだが、真面目に執務が執り行われていたと思われる部屋が大量の紙屑にバスケットゴールや、はたまた金ピカなデコレートやら雑木林に変身していたり、粘土で被い尽くされたキッチンや階段の壁には何かのメッセージなのか?鼻血?なる文字のネオンが怪しく灯っていたりで、想像以上になかなか面白かった。

そんな斬新でユニークな創作もさることながら、国を代表する大使館だけにそもそもこの敷地自体が聖域であり、加えて普段ではまず見る事自体が不可能な歴史的建造物の金庫や、その他厳重な施錠機能が施されたシークレットルームなどワケ有の部屋まで殆ど全てを見ることが出来る機会というのは一般にはそうそう無いだろう。

そんなワケで、そうせ全て破壊するのだから其の前にこんな創造をという文化的且つ奔放な発想と行動に感心であった。
と、ここまで書いて年明け早々に当欄で「欧州流のIR」というタイトルでカレンダーの話を取り上げてコメントしたのを思い出した。さて果たして日本の役所などこんなイベントが出来るであろうか?

少しはお手本にするくらいの器量が欲しいものである。


はたして連携効果は?

さて、昨日の日経紙で目に留まったのは三井住友銀行が富裕層向け金融サービスに参入する旨の記事か。この件は既に年明け早々に欧米型の本格的富裕層向けサービス参入意向と発表していたのだが、その頃はサプライズな二度目の巨額増資の方が話題であまり取り上げられなかった経緯がある。

一昨年にバークレイズに出資、そして昨年には大和と別れる原因となった日興コーディアルの完全小会社化が為されており、これらの連携で高収益が期待出来る富裕層を囲い込むのが狙いとしているが、一般的なイメージからしても国内系メガバンクのプライベートバンキングというのはその歴史自体が浅いからかどうもピンと来ない。

ところで全体像を測る意味でWorld Luxury Index(EUR)などを見てみると、なるほど昨年の春先に底を打ってからは見事なV字型の急回復を遂げている。実際、日経MJなどではリーマンショックから一年余りが経ち、富裕層の高額商品の購入意欲が回復傾向にある事が詳細に載せられていた記事を目にした。

斯様にエントリーには好都合な時期ながら、その商品の中身が重要なのはいうまでもないが、もう一つ上記の通りイメージというものも大きな課題だろう。これは以前にも書いたように日系老舗ホテルと侵食著しい外資系ホテルのそれにも似た部分が幾つかある。

つまり、コンサバ系の顧客はその特性から日系にとってはありがたい存在とはなろうが、昨年シャングリ・ラホテル東京がオープンした時に当欄で書いたようなイメージを覆すハード以外の部分をこうした客層に見せる事が出来るか否かにかかっているといえるか。


今年は家系?

昨日はバレンタインデーであったが、今年の場合日曜日という事もあって殿方・御婦人方共に一部にはホッとしている向きもあったとか?ただ年に一度の祭典とあって売る方は商戦に変わりなく、休日バレンタインを考慮してチョコレートドリンクやらチョコレートビール、中にはチョコレートフォンデュなどという創作系も今年は目立っていたところか。

ところで昨年のバレンタインでは、男性から女性にプレゼントする「逆チョコ」なる現象を当欄で取り上げたが、こんな現象に掛けて森永などは逆ダースや逆小枝などの期間限定モノを発売とか。さて今年はコレに加えて女友達同士でチョコを贈り合う「友チョコ」などもトレンドに上がっているが、前にも書いたようにいずれも欧州では当たり前の光景で逆に改めて日本らしさを認識させる。

さて、有名処を集合させてイベント化するものなど伊勢丹なんぞが代表だろうが、幾つかは当該の人気ショコラティエが来場しサイン会や試食会を行うなどの参加型が盛況。これも年々大規模になってきているような気がするが、差し詰めフレンチの「ひらまつ」が有名シェフを招聘して一度にこれら味わえるという先に話題になったイベントを彷彿させる。

ともあれ大店でも大量閉鎖の時代を迎え苦悩が続く百貨店業界において一時の希望の星になるや否や、このバレンタインも歳暮系の意味合いを帯びてきた昨今、今後の動向にも関係者は目が離せなくなってきたのではないか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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