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池袋の憂鬱

今週の日経紙・迫真は「そごう・西武・流転の構図」と題し、昨年11月に米投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループとの間でそごう・西武売却で基本合意したセブン&アイ・ホールディングスが、今月の売却を来月中に延期した旨含め各所でのオーナーチェンジに係る懸念等の様子がシリーズで書かれていた。

この辺に絡んでもっかのところ一番目に付くのが、やはりこのフォートレス・インベストメント・グループがビジネスパートナーとしている家電量販店大手のヨドバシカメラが池袋の顔?ともいえる西武百貨店に入居するのではという思惑を巡って、豊島区長はじめ商店会など地元勢が猛反対し西武側に嘆願書を送付するなど揉めている一件か。

池袋駅東口周辺といえば今や家電量販店の競争激化では正面にヤマダ電機、となりにはビックカメラが控えている。反対理由の一つにはこうした家電戦争に巻き込まれて地域社会が埋没してしまうことを懸念しもう家電量販店は池袋に要らないとの意見が多い事と、仮に百貨店の低層階にヨドバシが入居した場合今誘致したハイブランド勢が撤退し顧客や富裕層が離れて行ってしまう事も懸念されている。

西武池袋はいち早く現代アートの美術館を設けるなどしてきたが、豊島区も国際アート・カルチャー都市構想と銘打ち池袋を中心として街づくりを行ってきた経緯がある。池袋の顔であり象徴でもある同本店を中心に築き上げてきた文化の街の土壌が喪失してしまうことへの危惧というところだろうが改革に踏み切れなかった西武側と池袋本店を顔とする地元勢、今日は折しも豊島区長が逝去した報があったが今後どういった顛末になるか注目される。


課題に本腰

本日の日経紙総合面では「価格転嫁、日本5割どまり」と題し企業の賃上げ原資の確保に欠かせない価格転嫁に関して、米欧はコスト増の大半を販売価格に反映しているのに対し日本は5割しか転嫁できていなく遅れている旨が書かれていた。資源高のシワ寄せは立場の弱い中小企業に集まり易いが、これに絡んでは経産省が取引先との中小企業との価格交渉や転嫁に後ろ向きな企業を昨日初めて実名で公表している。

下請け振興法に基づき22年9月~11月、15万の中小企業を対象に実施したアンケート調査で10社以上から取引先として名前が挙がった148社が対象だったが、価格転嫁に応じたかの転嫁状況と交渉に応じたかの交渉状況を4段階で評価。このうち価格交渉で最低評価を受けたのは産業機械の不二越でその次は日本郵便、同じく価格転嫁では日本郵便でその次は不二越と両社の低評価が際立つ。

一方でそれぞれの基準で最高評価を得たのは住友化学や日本製鉄など7社だったが、下請けなどの立場の弱い中小企業の価格転嫁が容易でないのはこれまで何度も触れてきた通り。そういえば下請けGメンの調査員も昨年は倍増しているが、この度の実名公表も併せ政府も本腰を入れ始めたか。以前にも書いたように日本の労働者の7割が中小企業に勤めているわけで、価格転嫁の目詰まりを解消し健全な循環が為されるような環境の後押しは引き続き必須の課題か。


対話力

注目された先週のFOMCだったが、周知の通りFRBは0.25%の利上げを決めた。これで利上げ幅は2会合連続で縮小し通常のペースに戻った。一方で欧州も英イングランド銀行が前回同様の0.5%の利上げを決定、更にECBも前回同様0.5%の利上げを決定した。これで3中央銀行の金融政策が出揃ったが、CPIの鈍化の違い等を背景に欧米で違いが出てきた。

さて中央銀行といえば目下のところ本邦では日銀人事が話題になっている。10年間にわたりトップを務めた4月に任期満了を迎える黒田総裁の後任について政府は人事案を2/10に国会に提出する方向で調整しているが、民間エコノミストの予想でも票が一番多かった副総裁の雨宮氏に早くも政府が就任を打診した事が一部で報じられている。

総裁人事に関して政府はコミュニケーション力を一つの重要な要素としていたが、確かに昨年末の唐突な長期金利上限引き上げサプライズなど市場との対話を軽視しているとの批判があった。新総裁のもとで金融政策はどうなるか?先ずは副作用が大きいYCCは修正の方向へ向かうとの指摘が多いが、いずれにせよ如何に金融市場に配慮しながら上手く正常化出来るか、中央銀行のマーケットに伝える力が今後より重要になってくる。


南南東

明日は節分。今年の恵方巻き商戦の様子は先週書いた通りだがもう一つ、この節分を前に大手雑貨チェーン「3COINS」では先月販売した子ども向け節分グッズ、トラ柄の鬼のセットアップや恵方巻になれる?ベストから鬼のこん棒に鬼のウィッグまで多くのアイテムを展開したKIDS節分なる商品に大勢の客が殺到し店内が阿鼻叫喚の騒動になった件が物議を醸し出していた。

さてその物議は地獄絵図となった当該店舗だけにとどまらず、これらの発売日と同時にこの争奪戦となった戦利品?が早速ネット上でフリマサイトにラインナップされ、例えば上記の鬼のセットアップなど定価が550円のモノが10倍の5500円という法外な値段で出品されるなど、毎度転売ヤーの醜い行為が露わになった。

ところで転売ヤーといえば先月に惜しまれつつも会社を廃業した佐久間製菓の「サクマ式ドロップ」も依然としてネット上では定価の何倍もの法外な値段で出品されている。スリコの鬼グッズと共に商材にされているワケだが製造元は方や廃業、方や飛ぶ鳥を落とす勢いの成長産業と明暗を分ける。とはいえこの度の廃業も新陳代謝が遅いと言われて久しい中では評価されるべき価値のある英断ともいえるか。


二月逃げる

今日から二月逃げるの如月入り。先月に書いたように今月は22年以降で2番目に多い規模となる5000品目以上の食品類の値上げが予定されている。特に冷凍食品など加工食品が多く値上げされ、本日納品分からニッスイが家庭用や業務用の冷凍食品を約6~25%値上げするほか、ニチレイフーズも同じく家庭用・業務用の冷凍食品を約5~25%値上げする。

他にも本日納品分からマルハニチロが家庭用・業務用食品、永谷園はふりかけ、カゴメはトマトケチャップ、山崎製パンはランチパックなどを1年ぶりに再値上げし、菓子・スナック類では大塚製薬がカロリーメイトやSOYJOY等を初の値上げ、江崎グリコはポッキーやパピコを、飲料類では雪印メグミルクが家庭用乳飲料や果汁飲料等、アサヒ飲料はエナジードリンクのモンスターを、メルシャンはワインや梅酒などを値上げする。

また値上げの波は生活用品にも及び、日本製紙クレシアは本日出荷分からティシュやトイレットペーパーなど家庭向けの紙製品を全て15%以上値上げする。ガソリン補助金上限も年明けから段階的に引き下がるが、一方で東電など大手10社の電気料金や都市ガス料金など2月請求分から政府の物価高騰対策の補助金で値下がりする。とはいえ東電は約3割の値上げを国に申請中、政府が製粉会社等に輸入小麦を売り渡す価格の改定も今後控えているだけにこれらの動向もまた注目される。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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