65ページ目   雑記

利上げペースも景気も減速

さて、世界的にインフレが高止まりするなか先週は主要な中央銀行による金融政策発表が目白押しとなったが、注目のFOMCでは0.5%の利上げを決め3月から始まった一連の利上げで初めてペースを減速させた。また英も9会合連続の利上げとなったが前回の0.75%から縮小し0.5%へ、ECBも利上げペースを前回の0.75%から0.5%に縮小させるなど世界各国で事情は違えど利上げペースを落としてきた。

先週に当欄では「~タイムラグをもってこれまでの利上げの影響が出ると考えれば今後の大幅な引き上げは微妙な感じもする~」としたが、FRB議長も記者会見では利上げペース減速の理由について「金融引き締めの累積効果が経済やインフレ率に与える時間差を考慮して0.5ポイントの利上げを決めた。」としている。

とはいえこの利上げ幅引き下げは想定通りだったが、発表されたCPIの連続下振れなどから前回9月時点より0.25%ポイント上昇にとどまると期待されていたドットチャートで示された2023年の政策金利見通しが5.1%となり市場想定よりも高めに出た感。これらから利上げが景気を冷やすと懸念した株売りが止まらず、週末までダウは3日続落しその下げ幅は1200ドル近くに達している。

声明文なども総じてタカ派の内容だったが、米小売売上高も軟調な結果となり今回の会合で併せて示された来年のGDP成長率も大幅に下方修正するなど世界的な景気減速への警戒が高まる。引き続き雇用統計やCPIで一喜一憂する展開が続きそうだが、景気の後退を引き起こすことなく経済を軟着陸させるというハードルは一段と高まっているといえるか。


宇宙ビジネス彼是

さて、今週はじめに米主導で日欧なども参加する月面探査「アルテミス計画」の第一弾として打ち上げた宇宙船が帰還した。また時を同じくして日本の宇宙ベンチャー(ispace)が開発した月着陸船が基地から打ち上げられ、打ち上げ用ロケットから着陸船の切り離しに成功した。民間企業としては世界初となる月の探査をするミッションを目指す。

ところで宇宙ベンチャーといえばちょうどここ日本橋では明日までの予定で、COREDO室町や三井タワー等で国内のスタートアップ企業を中心に宇宙ビジネスの最前線に立つ企業や団体が一堂に会する国内最大級の宇宙ビジネス展示会「NIHONBASHI SPACEWEEK」が開催されているが、参加団体は去年よりも5割近く増えたという。

これまで宇宙ビジネスといえばヴァージン・ギャラクティックやブルー・オリジンの無重力体験や、宇宙ステーションに滞在し宇宙遊泳を体験するスペース・アドベンチャーにイーロンマスク氏のスペースXなど既に海外勢が先行しているが、国内旅行会社もエイチ・アイ・エスが米ベンチャーの手掛ける気球型の宇宙船を使った宇宙旅行を年内に販売予定のほか、クラブツーリズム・スペースツアーズも上記のヴァージン・ギャラクテック社の宇宙旅行を扱う。

ところで宇宙産業の市場規模は現在およそ30兆円規模といわれているが、2040年までに100兆円規模に成長すると見られている。国としても今後発展が見込まれる宇宙ビジネスを経産省などでバックアップしてゆく考えで民間企業支援に乗り出している模様。今後どんなベンチャーが出てくるか楽しみだが、かつて遠い夢であった宇宙旅行も費用の問題はさて置きとうとう民間旅行会社が扱うレベルまで来たかと思うと隔世の感を禁じ得ない。


今年もビターテイスト

週明けはイルミネーションなどを取り上げたが、斯様にクリスマスムードが盛り上がるなかクリスマス商戦も最後の追い込みに拍車がかかっている。大手百貨店やホテルのクリスマスケーキなど有名パティシエのものなど既に早い段階で完売となっているモノが散見されるが、昨年のちょうど今頃は予約の都合でチキン等と共に価格転嫁が間に合わず材料高騰に苦慮していた光景を書いたのを思い出す。

というワケで今年のクリスマスケーキの価格をザッと見てみると報じられているところでは大手百貨店で約半数が5~10%の程度の値上げ、コンビニ大手3社では10%程度の値上げとなっている模様。ただ百貨店のパティシエものなど昨年とほぼ同内容・同サイズでも価格を据え置いている向きもあれば、昨年よりサイズも小さくし値段も大きく上げている向きもあり心なしか後者のケーキは完売の札がなかなか付かないように感じる。

斯様に砂糖やら小麦やら急騰する中で総じて各店の苦労がうかがえるが、ここへきて物価の優等生といわれている卵の高騰も喧伝されている。餌代高騰や鳥インフルエンザの流行を背景に、今月の卵の取引価格は2013年12月に付けた高値280円に迫る9年ぶりの高値水準になっている。農水大臣は例年の傾向から年明けは一旦相場が落ち着くとの予想を述べているが、このクリスマスケーキやらおせち等で需要が高まるのはこれからで昨年に続き今年も各所の企業努力が試される。


ドットチャートの行方

さて、今月に入って米では雇用統計はじめ11月ISM非製造業景気指数など予想を上回る強い経済指標が続いており、利上げが長期化する懸念が出てきている。この利上げ長期化による景気後退懸念が広がるなかWTIは今月に入ってから下落率が8%を超え昨年12月以来、約1年ぶりの安値を付けているが大手各社による23年株式相場見通しもまた慎重なものになっている。

先週の日経紙ではS&P500の予想値がゴールドマン・サックスの4000、モルガン・スタンレーが3900、UBSとシティが同じく3900、バークレイズの3675など足元とほぼ同水準かそれ以下と載っていた。また他にJPモルガン証券が日本のTOPIXを同2100ポイント、英FTSE100を8150、ユーロ圏MSCIを256等との予想を出している。

冒頭の通り或る程度のリセッションは不可避と考えられるが、株式・商品共にその行方は兎にも角にも金利次第の展開。そういった意味ではドットチャートで示される利上げ到達点の見通しに嫌でも関心が向かうところ。タイムラグをもってこれまでの利上げの影響が出ると考えれば今後の大幅な引き上げは微妙な感じもするが、何れにせよ先ずは今週のFOMCに注目としたい。


イルミネーション2022

先週から日比谷公園では「東京クリスマスマーケット2022」がスタートしいよいよクリスマスモード入りというところだが、これに先駆けて街のイルミネーションもほぼ出揃ってきている。先月は上記の日比谷公園界隈では丸の内イルミネーション2022がスタートし、丸の内仲通りがシャンパンゴールド一色に。また同じく定番モノでけやき坂イルミネーションや、近所の東京ミッドタウンもクリスマスイルミネーションもスタートしている。

また今月スタートのものでは表参道もフェンディの協賛でイルミネーションがスタートし、近所では先週末から渋谷公園通りから代々木公園までのイルミネーション「青の洞窟SHIBUYA」が3年ぶりに復活した。そういえば先週末の日経紙夕刊一面では「冬の華 SDGsで灯す」と題し、こうしたイルミネーションに環境配慮の取り組みが広がっている旨が出ていた。

ここでは上記のけやき坂が工夫し年々消費電力量を減らしている旨や、廃油をリサイクルしたバイオディーゼル燃料や微生物による発電で光るボタニカルライトを活用した札幌の大通り公園のイルミネーションやクリスマスツリーを取り上げていたが、これ以外では目黒川沿いの冬の満開の夜桜をイメージした桜色LEDも地域の飲食店等から廃油を回収し、イルミネーション用の発電機を動かす燃料にリサイクルしているなども同様の取り組みか。

ちなみに海外でも冬の風物詩であるパリのシャンゼリゼ通りのイルミネーションは今年の場合、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で冬のエネルギー不足が課題となり点灯時間をこれまでより2時間あまり短縮しその期間も1週間短縮している。これにより去年より44%節電出来るというが、日本でも同様の取り組みをしている自治体もあり各所がSDGs実現を意識しつつも美しい光を灯し続けるための工夫に知恵を絞っている様がうかがえる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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