77ページ目   雑記

双方乖離の審議会

厚生労働省の審議会は昨日から企業で働く全ての労働者の最低賃金を決める協議を行っていたが、果たして労使双方の主張には隔たりがあり合意する事が出来ないまま次の日程も決まらないという異例の事態になっている。最低賃金に絡んでは本日の日経紙総合面でも取り上げていたが、欧米に比べると本邦の水準はまだ大きく見劣りするのが現状だ。

今年度の協議は物価高を背景に、労働者側が生活費の上昇等を訴えて賃金の大幅な引き上げを求める一方、経営者側は原材料費の高騰等が中小企業の経営に悪影響を与えているとしてこれに難色を示している構図となっている。確かに原料費高騰を背景に値上げが行われているものの、実際は一部転嫁に過ぎず賃上げ出来るほどこれが為されているかといったら甚だ心許ない。

上記の通り日経紙では「最低賃金、欧米に見劣り」と題していたが、確かに世界中が賃上げするなかその名目年間賃金は日本だけが横這い推移となっている。毎年3%の引き上げが続けば24年度には政府が目指す水準に近付く云々も記事にあったが、日本の労働者の約7割が中小企業に勤めているワケでそうしたところにコンスタントに3%賃上げの余裕はないのが現状か。昨日取り上げた日銀の継続緩和も虚しく見えて来るものだが、税制等含めた政府支援は喫緊の課題か。


其々の政策

さて、周知の通り先週はECBが理事会で11年振りの利上げを決めているが、先月に0.25%という予告をしていたもののインフレ加速を受け果たして実にその2倍にあたる0.5%という結果となった。一方で同じ日に日銀は金融政策決定会合で予想通りというべきか大規模緩和を維持する方針を示している。

既に日銀のこうした政策の限界を見込んだ外人投資家の国債売りにも拍車がかかっており、日本証券業協会の統計では6月の国債売りはこれまで過去最大であった4月の2兆7000億円を上回る4兆5839億円を記録している。確かに日銀の国債買いは理論上無制限に可能ではあるものの、何時の日か出口に向かわないといけないのは明白で根比べの行方は如何に。

一方で円安が収益を圧迫している一部の企業などからは緩和策の修正を指摘する声も上がっているが、会見で日銀総裁は金利を引き上げるつもりは全く無いとし、金利を一寸上げたからといってそれだけで円安が止まるかというものは到底考えられないとも発言していたが、確かにECBの利上げがコンセンサスとなっていた今月中旬にユーロは対ドル20年ぶりのパリティ割れを演じている。

そうなるとドルが強いという事になるワケだが、いずれにせよ見えてきた自身の退任まで引くに引けぬジレンマの展開がまだ続くのは想像に難くなく、目先は明後日のFOMCの金融政策発表での利上げ幅やFRB議長の定例記者会見ではどういったメッセージを出してくるのかこの辺にも注目したいところ。


土用の丑2022

さてこの週末は「一の丑」だが、今年は周知の通り梅雨明けが殊の外早く加えて酷暑という事もあり丑の日のウナギ商戦も各所で盛り上がっている。また一の丑が土曜日でコロナ禍のなか家族指向が強まっていることで、大手スーパー等では複数人でシェア出来る特大サイズの蒲焼を過去最大で用意したほか白焼きも去年の5倍に増やしたが、既に先月段階で予約数は去年を10%以上上回っているという。

とはいえ今年はシラスウナギの漁獲量が昨年比で30%超以上減った為に、仕入れ値は昨年比で約50%高いとか。卸売市場での平均価格もキロあたり前年比で20%以上高くなっており一部専門店ではGW明けから値上げに踏み切った向きもある。ちなみに昨年の丑の日当日には日経平均が冴えない中を需要期待から吉野家やG-FACTORY等ウナギ関連株が逆行高を演じていたが、今年は先の三連休前に吉野家が年初来高値を更新する一方でG-FACTORYは年初来安値を更新と明暗であった。

ところでかつて東証マザーズに上場していた発電所建設のエナリスは発電時の温水でウナギの養殖事業に進出と報じられた時期があったが、近年北関東の一部太陽光発電所建設会社も太陽光発電を利用したウナギ養殖を始めている。ウナギ相場を読むのもなかなか難しいが、電気のコストが大幅に安く低価格でウナギの提供が可能になるという。これら確かに二酸化炭素の排出もゼロで環境にも優しく、ESGにも適っている事で今後裾野の広がりも期待出来るか。


2次入札へ

本日の日経紙総合面では東芝の再編案について1次入札の株式非公開化と上場維持を含む10件以上の再編案の応募から、JIP(日本産業パートナーズ)はじめ米ベインキャピタル、欧州のCVCキャピタル・パートナーズ、カナダのブルックフィールドの4陣営が2次入札に進んだ旨の記事があった。

非公開化を提案しているアジア系の一部ファンドは1株7000円という高額な買収価格を提示し逆にこれが資金的に実現性に乏しいとの理由で2次へ進めなかった模様だが、意外?にも応募さえしなかった米KKRは買収ありきのプレミアムが1年以上ついた実態以上の株価に適正な買収価格を提示出来る状態ではないとしている。

いずれにせよ今後2次入札に進む4陣営は詳細なデューデリを始めより実現性の高い再編案を絞り込んでゆく事になるが、ファンド間や事業会社を含めた連携が進み新たな枠組みの中で離脱したファンドの再合流等の可能性もあるという。何れにせよ原発から量子技術まで国の安全保障の一翼を担い、他とは一線を画す側面を持つ企業だけに通常買収に比べ再編の枠組みは困難を極めるのは想像に難くないか。


G7中最下位の現実

さて、世界経済フォーラムでは政治参加、経済、教育、医療など四つの分野で各国の男女格差を分析し毎年報告書を纏めているが、先週13日に発表された2022年度版では日本のジェンダーギャップ指数が146ヵ国中で116位であった。昨年の120位からは僅かに順位を上げたものの、前回に続いてG7(主要7ヵ国)の中では最下位と何とも情けない順位となっている。

全4分野の内訳のうち1位に輝いた教育水準や、健康と生存の医療へのアクセス評価は63位と高かったものの、政治参加は139位と下から8番目、経済では女性管理職の少なさや収入格差が足を引っ張り121位と下から26番目となり足を引っ張った。当欄でも女性管理職比率については度々触れてきたが、近年漸増傾向にあるとはいえ管理職の女性比率は未だ130位に甘んじている。

また収入格差に絡んでは政府が今月から男女賃金格差のディスクロを大企業に義務付ける事を決めたが、外部からはなかなか見え難い男女の格差の存在が数字でもって明らかになればその是正を促すある種の圧力になるだろうか。毎度の事ながら上位の面子は北欧が常連となっているが、組織の成長には多様性が欠かせないのは今やコンセンサスとなっており世界標準に日本が少しでも近づくのは何時の日か今後も注目しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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