78ページ目   雑記

投資促進案

さて、衝撃的な事件を挟んだ参院選は果たして自民党が単独で改選議席の過半数を獲得した。当日のテレビでは各局が選挙特番を組み、TBSでは岸田総理が新資本主義の実行計画の中で示した貯蓄から投資をテーマにタレントが東大金融研究会のメンバーと対談する場面を見たが、先週の日経紙社説でも「貯蓄から投資へを促す具体策を示せ」と題し各党への具体策提示を希望する旨が書かれていた。

ここ最近でこの件に絡んで個人的に面白いと思ったアイデアをテレビでも見掛けたが、一つは上記の東大金融研究会の創設者である外資アセット出身者の案。学生メンバーの一人は投資の切っ掛けとして高齢者が持っている預貯金を贈与税とか相続税を安くして若者に渡してほしい旨のアイデアを語っていたが、同研究会創設者は「GoTo株式」と称し税率が徐々に下がる条件付きのもと株式をディスカウントで購入出来る仕組み等の提案をしていた。

もう一つは某生保系シンクタンクのチーフ株式ストラテジストの案で、政府から一人につき10万円ずつ投資限定の給付金を与えたらどうかというアイデア。多くは投資に対するアレルギーでなかなか一歩目を踏み出せないでいるが、習うより慣れよということで給付金で投資を始めてみてある程度免疫がついてきたら自分の資金を追加しようという人が増える流れを狙うという。

民間調査では投資に回せる貯蓄が無いとの意見が半数に上り、四分の一は投資に回せても50万円未満という回答であったというのをテレビで見たが、上記二氏のアイデアはこれらもカバーしつつなかなか面白い。勿論実際に可能かというと多くの障壁があり簡単な話ではないものの、何れにせよこれら政府方針の実現には金融リテラシーの底上げと共に政策の肉付けなど喫緊の課題は多い。


YCCの呪縛

さて一昨日の日経紙グローバル市場面には「国債売り 負けぬトレード」と題し、世界のインフレが波及するなか日本の長期金利に低下余地がほとんどない事などを背景に財務省統計では6月、週間で4兆円超と過去最大の売り越しを記録するなど海外勢中心に日本国債売りに拍車がかかっている旨の記事があった。

この辺に絡んでは当欄でも先月に日銀VSヘッジファンドと題して取り上げたが、この時は異例の連続指し値オペとしたものも今では毎日の実施となるなど日銀の防戦?は続く。前回に書いたように日銀としてはここで政策修正に及べば中央銀行としての信認が問われ円安より払う犠牲が大きいものの、YCCの副作用もまた深刻な状況に陥っている。

ところでこの日銀、その株価(出資証券)は今月に入って先週に年初来安値を更新している。日銀株について触れるのは連続ストップ高から連続ストップ安のジェットコースター相場を演じた昨年3月以来だが、今の合理性を欠く日銀政策に反旗を翻す市場機能を感じ取っての年初来安値なのか、円が約24年ぶりの安値を示現するなかそんな事を思いつつ目先は今月20日からの日銀金融政策決定会合に注目したい。


売り文句

本日の日経紙金融経済面には「節税保険、行政処分へ」と題し、行き過ぎた節税が問題視されてきた所謂「節税保険」に対しこのところイタチごっこを続けてきた保険会社に金融庁が業務改善命令など厳しい処分を下す旨の記事があった。節税保険については当欄で2逓増定期の販売停止について触れたのが2007年頃だから、なるほど15年経ってもなお上記の通りイタチごっこが続いている。

この度問題視されたのは定期保険の一種で解約時の返金率が低いうちに契約者の名義を法人から個人に変更し、返金率が高くなった時期に解約して一時所得として返戻金を受け通常の所得より税負担を軽減するという成る程なもの。斯様に返戻金でも税負担を軽減でき、定期の一種では保険料支払いにおいてもまた利益を圧縮出来る仕組みだけに確かに生保各社にとっては推し易くドル箱扱いされてきたのには合点が行く。

ところで保険といえば7波到来かといわれ各地で過去最多の新型コロナウイルスの感染が発表されている最中、昨日は第一生命系のコロナ保険が新規販売を停止したとの発表があった。同社の保険は感染急拡大になる度に販売停止を繰り返しているが、上記の件もあり自浄作用が促されるなか商品設計を巡る各社の試行錯誤は続く。


数奇な運命

周知の通り先週末に安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に凶弾に倒れた。まさにこの参院選の最中に日本中を揺るがした大事件になったが、元総理が凶弾に倒れた例として振り返れば戦前には高橋是清元総理の二・二六事件のような事例があるものの、これだけ厳しい銃規制の下で安心安全といわれる日本でこの令和の時代に斯様な事件が起きるとは驚きとしか言いようがない。

しかしテレビで報じられている映像等を見る限り安倍元総理の背後を監視している警護関係者の姿は確認出来ず、犯人が容易に接近出来てしまったという事や一発目を撃った後に誰も安倍氏を庇う姿も無いまま続けて二発目を撃てたという事も警護体制に疑問を感じる。来年は広島でG7サミットがあるが、斯様な映像を見るにその警備体制に不安を感じざるを得ない。

ともあれ安倍元総理は流行語にもなったアベノミクスを手掛け、在職日数も憲政史上最長を記録しその座を降りた後もなお政官界に影響力を保ち続けてきた。政治家一家の生まれで父は自民党の幹事長等を歴任し67歳で亡くなった安倍晋太郎氏であったが、奇しくも安倍元総理も父と同じ67歳で亡くなったことになる。なにやら数奇な運命を感じ得ないが、今は心からご冥福をお祈りしたい。


技術で明らかにされる真実

さて、先週末の日経夕刊の社会面では「ピカソ作品、下層に別の絵」と題し、ポーラ美術館が所蔵するピカソの20歳頃の作品「海辺の母子像」の下層部に、子どもや男性などの絵が折り重なっていることが分かったとの発表が為された旨の記事があった。火星探査でも使われる最新技術を用いた科学的分析で判明したらしいが、他の著名画家でも同様な事例が判明している。

例えば今年2月から東京都美術館で開催されていた「ドレスデン国立古典絵画館所蔵フェルメールと17世紀オランダ絵画展」の目玉作品であったフェルメールの初期の傑作である「窓辺で手紙を読む女」は、4年にもわたる緻密な修復作業を経てこれまでフェルメール自身が塗り潰したとされていた部分にキューピッドが表れ初のオリジナルのお披露目となった。

もともとフェルメールの作品には画中画が多く見られていたが、なるほど修復作業で表れたキューピッドの左手を掲げた姿は、フェルメールの別の作品「ヴァージナルの前に立つ女性」の上部に描かれた画中画のキューピッドと同じではないか?しかしフェルメール自身が塗り潰したとするこれまでの説は、近年絵の具の成分が違う事がこれまた判明し第三者の手によるものとの事が明らかにされている。

この背景にはフェルメール没後に、17世紀最大の巨匠といわれた「夜警」等が有名なレンブラントの作品というフレコミでこの絵が売買された経緯があり、レンブラントは画中画を描かなかった事でフェルメールの特徴であるこの画中画は都合の悪い存在であったとされる。実に250年以上もの年月を経てその背景が明らかになり元の姿も取り戻した格好になるが、今後も技術の進歩で従来の説についての見直しが迫られる事例もまた出て来ようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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