86ページ目   雑記

10年目の教訓

さて、周知の通り先週末に首都圏が最大震度5強の地震に襲われた。東京23区で震度5以上を観測したのは10年前の東日本大震災以来の事であるが、消防庁はこの地震で東京や神奈川等5都県で400人以上が負傷と発表、JR東日本でも新幹線と在来線16路線で約36万8000人の足に影響が出たとしている。

そんな状況からこの地震では10年前の東日本大震災でも問題となった都内から都外の自宅に帰れない所謂帰宅困難者が一時8万人以上居た可能性があることが分かったが、混乱は一夜明けても続き首都圏を走る鉄道では始発からのダイヤの乱れで入場規制等の動きも合さり通勤や通学に大きな混乱が発生、駅前のロータリーなどではバスやタクシー待ちなど長蛇の列が見られた。

新型コロナウイルス感染者数拡大一服?でまさに経済活動を戻そうかといった矢先の出来事、今回の地震では改めて首都圏のインフラの脆弱性が浮き彫りになったが、はたして10年前の教訓が生かせていたかどうかの課題も残る。一方で東日本大震災時には量販店等に自転車を買い求める人の光景が記憶に新しいがあれから10年、今や街中で自転車を借りて好きな場所に返却できるシェアサイクル等が普及しており今回も話題になった。

また配車サービスアプリのタクシーGOなどの利便性も注目され日々進化する移動手段が話題にもなったが、漸く通常ダイヤに復旧したと思った矢先の昨日も今度は変電所トラブルで首都圏JR10路線がストップ、約23万人に影響が出るなど大混乱となった。気象庁は揺れの強かった地域では今後1週間は最大震度5強程度の地震に注意するよう呼びかけているが、改めて平時からの点検を徹底し備えておきたいところ。


本来の楽しさ

さて、先週末の日経紙地方経済面には「木更津でポルシェ感じて!」と題し、ポルシェジャパンが今月、千葉県木更津市に日本国内では初めての運転体験施である「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京」を開業した旨の記事があった。千葉でありながら東京と付けるのはディズニーランドも同じだが、要は魅力として都心や国際空港からのアクセスの良さという点か。

レストランやカフェ等も併設しドライブやレクチャープログラムなどを通じポルシェブランドを体験出来るというこの施設、日本国内では初めてというが同社は既に御膝元のドイツはじめロスやアジアでは上海など世界中でこのエクスペリエンスセンターを開業しており、日本の前には直近でもイタリアで開業したばかりである。

この手では先月16日付の当欄でも取り上げたあのコーンズが、同じく千葉に完全会員制ドライブコース(THE MAGARIGAWA CLUB)を建設中で来年末の開業を予定している。そのコースは世界中のF1サーキットを手掛けた名門のドイツの設計事務所に依頼し高台に建つクラブハウスには天然温泉、富士山を臨むプール、宿泊棟もあるという。

ちなみにこちらの会員権価格は2850万円、開業までに250人の正会員を募集としているとう事だが、脱炭素社会の気運で年々排ガス規制に騒音規制も厳しくなって来る社会の中で走る楽しさを感じられるような場所を提供したいという。同じ施設でもこちらはセカンダリーで冒頭のポルシェとは毛色を異にするが、何れにせよ斯様な場所を創設しクルマ文化が生き続けられるよう啓蒙している点では共通しているか。


重点フォローアップ国

昨日の日経紙法務面には「仮想通貨、申告漏れにメス」と題し、暗号資産を巡る税務処理に国税当局が監視を強め大規模な税務調査などを手掛けている旨が出ていた。今や暗号資産の取引は日本でも急増し、日本暗号資産取引協会によれば3年前に8千億円強であった取引額は今年の5月には実に5兆円を超えていた模様だ。

暗号資産に関する税の専門家も黎明期だけに少ないのを逆手に取り法的にグレーと見られる節税策などを謳う業者も増殖している模様だが、この手の暗号資産はマネーロンダリングにも格好の素材として予てより挙げられている。マネロンといえば公表されているリスク・ランキングでは19年に米の一つ下の73位に位置していた日本だが、昨年には69位へと順位を上げ前回から100位に改善した米との格差が開いてきている。

こうした順位の変動を裏付けるように日本のマネーロンダリング摘発件数もここ10年右肩上がりで推移しているが、上記の暗号資産やスマホ決済などの普及でその手口も次第に複雑且つ巧妙化してきている事もあり、リスクランキングの順位が上がった事を軽視せずに踏まえ欧米並みの危機意識を改めて喚起するところだろうか。


捲土重来?

さて、周知の通り本日招集された臨時国会で自民党総裁の岸田氏が第100代首相に選出された。先の総裁選は下馬評を覆す?ような結果とも取られたが、結局は異端?ともいわれる河野氏を以てしての改革路線よりも安定路線を今回は取った感は否めないところで、その辺はこれまで明らかにされている所謂「3A」の意向が色濃く反映されそうな旧態依然の人事にも見られるところ。

斯様な政治イベントではマーケット関係者もヤキモキするところだが、週を通じて続落した先週の日経平均は既に菅総理が退陣表明をする前の水準にまで沈み結局往って来いとなっていたが、本日もこの流れは変わらず6日大幅続落となった。この背景には外部環境の悪化もあるものの、冒頭の通り新政権に対する改革への期待が後退し上昇を牽引した投資家中心に資金を引き上げる動きもあるのは否めないところか。

投資家目線では政治に安定より変化を求めていた証左でもあるが、確かに新総理のいうところの財政再建も突っ込みどころはあるし金融所得課税強化なども捉え方によっては「貯蓄から投資」の掛け声に逆行する悪手?とも取れないでもない。何れにしろ3年の任期、新総理には同じ轍を踏む事の無きよう各所の舵取りをお願いしたいところである。


オルタナティブでウイスキー

さて、今月アタマの日経紙・プラス1の「何でもランキング」はウイスキー知識であったが、この低正答率の4位には昨年8月に香港で行われた英競売会社ボナムスのオークションに出品され日本のウヰスキー1本の落札額として当時の世界記録となったサントリーホールディングスの「山崎55年」の落札価格を問う問題が出ていた。

世界的な日本のウイスキーへの評価の高まりでその輸出額は2010年の約17億円から2020年には約271億円とここ10年で16倍に。そのため国内では手に入り難くなった素地のところに、世界中に溢れた過剰流動性資金を背景に図らずも投機の対象となりその熱は上がり続けるばかりだ。ちなみに冒頭の落札価格、答えは驚きの8500万円であったが昨年6月に発売されてからわずか2ヵ月でその値段が約25倍以上に大化けした計算となる。

そういえば16日付の当欄で書いた「逸品会」でも同会限定で「希少ウイスキー4本セット」と称し、山崎25年に竹鶴25年それにクラウニングカスクとマッカラン30年のセットが約130万円で売られていたが、山崎25年だけでも巷の相場はだいたい140~170万円で流通しているワケであるからこれまた投機目線で見たら即買いのそれこそまさに「逸品」だろうか。

今から3年ほど前にも当欄では世界初のウイスキー・インベストメント・ファンドが設定1年で30%を超える評価益を上げていた旨を書いていたが、個別の銘柄では知識も必要になる為にメーカーの株式に投資する動きも見られ、MSCIワールド指数を米英仏の主要ワイン・ウイスキーメーカー5社の平均株価は10年前を1として見た場合、既に5を超え大きく上方乖離しておりオルタナティブ投資の枝葉もまだまだ伸びしろがあるといったところか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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