96ページ目   雑記

企業とジェンダー

さて、今年の9月に当欄では歌手の島谷ひとみ氏が新型コロナウイルスの抗原検査サービスを手掛ける非上場の株式会社Checkの社外取締役に就任した件を取り上げた事があったが、先週は女優のいとうまいこ氏が不動産テック事業を展開する株式会社タスキの社外取締役に就任する見通しとの報道があった。

こちらは昨年マザーズに上場した企業となるが、女優の上場企業社外取締役といえば東証一部の不二家の社外取締役に就任した酒井美紀氏も記憶に新しいところ。有名人の社外取締役就任は斯様に話題にはなっているが、過日の日経紙では女性や外国人の取締役が主要上場企業の5割で入っていないなど上場企業で取締役の顔ぶれの多様化が遅れている旨の記事が一面を飾っていた。

同頁には欧米では主力の指標となっている米S&P500株価指数や英FTSE350種総合株価指数の構成企業で女性取締役の居ない企業は無く、いずれも取締役総数の3割を女性が占めている旨が書いてあったが、ジェンダーに関する配慮がビジネスにおいてもはや常識となっている証左で本邦との差が浮き彫りになっているだけに今後も世界標準に倣う動きが一層促進されて来ようか。


FridayからMondayへ

さて、今週金曜日に本番を迎える大型商戦「ブラックフライデー」を前にネット系大手など先週からいち早くこれをスタートさせていたが、イトーヨーカドーやイオン等の大手も新聞の折り込みチラシなどでこのブラックフライデーを全面にPRしている。セール内容として特にこれといった目新しさは無いものの、米国のシーズンセールに倣って名前だけでも乗ろうかというこの商戦も今年は出足から好調な模様だ。

上記のイトーヨーカドーなど去年の2倍となるセール商品をラインナップし、発祥といわれる玩具のトイザらスのアクセス待ちは一時45000人にも達しスタートから1時間の売れ行きは去年の数倍以上にも達するなど購買意欲の高まりを感じるものとなっている。背景にはコロナ禍の緊急事態宣言でこれまで叶わなかった消費熱が、ブラックフライデー等の大々的セールを機に購買意欲が刺激されている事など所謂リベンジ消費に因るところが大きいか。

このブラックフライデーの本場、全米小売業協会の年末商戦の予想では過去5年平均の約2倍以上の伸びが見込まれている模様だが、このブラックフライデーが終れば今度は12月のサイバーマンデーが控える。これらホリデー商戦の行方を占う試金石となるだけに先ずはその動向に注目というところか。


二つのレガシー

さて、先週末の日経紙地方経済面では「五輪閉幕後も広がる輪」と題し、東京五輪・パラリンピックで活躍したボランティアが大会後も活躍の場を広げ、ホストタウンだった自治体も独自の登録制度を続けるなど五輪で生まれたボランティアの輪をレガシー(遺産)にしようとしている旨の記事があった。

ところで東京五輪・パラリンピックのボランティアに絡んでは、一方で道案内を担うはずだった都市ボランティアのユニホーム約2万8千人分が余っていた事も同じ日の日経紙が報じている。大会の延期やコロナ禍での事態が相次いだ事が背景になっているが、税金で購入されたその調達額は全体で17億円超となっており各所でこの活用法に苦慮している模様だ。

さて宴の後のナントカではないが更に大きな問題としては、世界にお披露目を果たした総額約1600億円もの公金を投じて新設された国立競技場もこれから年間24億円もの維持費が現実問題として重くのしかかる。これ以外にも各選手が大活躍した東京アクアティクスや有明アリーナなど、東京都が約1400億円もの巨費を投じて新設した計6か所の恒久施設も辛うじて黒字が見込める有明アリーナを除いては赤字運営の見通しという。

一般に五輪の開催国負担は重大災害に匹敵するといわれているが、今回の東京五輪もコンパクトを謳った割には誘致当初の見積もりから実に3倍近い増額という結果になった。華々しい選手の活躍を改めて思い出す頃、冒頭の通り五輪で生まれたボランティアの輪をレガシーにしようという動きの裏で斯様な負のレガシーともいえる問題も現実化してくる。


商戦に波紋

毎年この時期になると彼方此方の旅館から届くDMにはカニを謳ったプランが増えて来るが、今年のそれは昨年の同等モノから比較するに総じて値上げが目立つ。それもそのはずここから正月に向けてカニは最需要期を迎えるワケだが、世界的に資源量が不安定になっているところへ今年はコロナ禍のステイホームから世界的な需要増加で輸入価格の高騰が続いている模様だ。

上記の通り日本は北米やロシアからズワイガニやタラバガニを輸入しているが、主力のロシア産ズワイなど某卸業者では昨年11月から今年の価格は1.7倍に高騰しているといい、また日本海のズワイガニも漁獲枠の減少と共に値上がり傾向にあり国内でも石川県のカニは約10年で漁獲量が半減しその単価は2倍に跳ね上がっているのが現状という。

ところでカニと並んで年末年始に需要の高まるウニやイクラだが、今年は北海道で水温上昇やかつてない赤潮発生の影響でウニや鮭が大量死しその仕入れ値は約2倍にも跳ね上がっている。カニ、ウニ、イクラと高い原価率で提供している大手回転寿司などさすがに一部5割の大幅な値上げに踏み切っているが、暑さの残る時期から既にネット等で予約を開始している百貨店のおせちやお歳暮など価格転嫁は不可能でドル箱の物産展なども含め波紋の広がりは想像に難くない。


地銀の選択その2

昨日迄で上場地方銀行の2021年4~9月期の連結決算が出揃っているが、日経紙では集計が可能な76行・グループのうち65行の純利益がコロナ禍で急増したゼロゼロ融資の利息収入や歴史的低水準の倒産件数等も背景に前年同期比で増加、合計の純利益は39%増の5079億円となり2期ぶりに増益基調に戻ったと報じられている。

ところで地銀といえば先月に当欄では「地銀の選択」と題し、東証再編における地銀のプライム市場の選択の是非について触れた事があったが、本日の同紙金融経済面では「東商再編 地銀、割れる判断」と題しこの東証の新設市場移行を巡って地銀のなかでも判断が割れている旨の記事があった。

大半は最上位のプライムを選択している模様だが、身の丈に合ったマーケットという事で早々にスタンダートを選択する向きあり、12月末の選択申請期限を前に様子見を決め込んでいる向きもある。前回は末尾で地域の中核企業としての看板の意義がこの選択を巡って改めて問われるかと書いたが、ハードルのクリヤを視野に再編促進を指摘する向きもあるなか各行の動向には引き続き注目しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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