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脱コングロマリットの波

さて、先週米GE(ゼネラル・エレクトリック)は会社を航空機分野、ヘルスケア分野、エネルギー分野の3月の事業に3分割しそれぞれを上場させる計画と発表。同社は事業のリストラを進めており今年航空機リース事業を売却し、金融事業からの撤退も決めているが、会社の分割で焦点を絞る事で投資が適切に配分されるとし、複合経営に終止符を打つことで企業価値を高める狙いとみられる。

ところでこのGEとほぼ時を同じくして東芝も本体とグループで手掛ける事業をインフラ分野、デバイス分野、半導体メモリー分野の主要事業ごとに3つに分割し、それぞれが上場する方針を検討に入った事が9日付日経紙一面でも大きく報じられ、先週末にはこの分割案が会社側からも正式に発表されている。

東芝といえばかつて2部落ち?に遭った黒歴史があるが、冒頭のGEもあの発明家トーマス・エジソンを源流とする老舗企業ながら18年には米の代表指数であるダウ工業株30種平均の構成銘柄から外される憂き目に遭っている。GEは投資家からの圧力を受けて会社分割を決定したわけではないとしているが、海千山千のアクティビストが犇めく東芝はどうなのだろうか?

ともあれこれが現実化となると140年以上の歴史を誇る巨大企業が事実上の解体?に向かう事になるが、本邦のガリバー的上場企業では初の事例となる。米ではGEに続き直近でもJ&Jが会社分割を発表するなどコングロマリット経営が日米で節目を迎えている。斯様に世界的な趨勢という事もありこれらの件が今後別の複合企業で分割が進む起爆剤となるのかどうか注目しておきたい。


令和時代のタイムスリップ

さて、今週は久し振りにスタイリストの知人と会う機会があったが、最近Z世代などの女性の間で1990年代はじめのアムラーブーム全盛期の頃のルーズソックス等が再度流行り出している旨を聞いた。この辺に絡んでは若者向けの人気雑誌「egg」が一昨日に発表した年末恒例流行語大賞2021でも成る程このルーズソックスがTOP5の第2位にランクインしている。

当時といえばルーズソックスや厚底ブーツなど女子中高生の間でそれこそマストアイテムだったものだが、インスタ等でインフルエンサーが着用している事もあって20年以上の時を経て今流行っている模様だ。ただルーズソックスといっても昔ほど長くは無くブーツも今は廉価な合皮が主流というが、原宿の靴下専門店で売上げの半分をこれが占める日もありブーツの方も西武百貨店等では前年比で3倍の売れ行きという。

一寸前に親が着ていた古着を彼らの子が好んで着るのが流行った時期もあったが、つくづく時代は巡るなと。上記の全盛期当時中高生だった女子も今や自身の娘がちょうどその年代になり斯様な流行で厚底ブーツ等の「お下がり」を欲しがる女子も多く、こうした流行で輝きを取り戻し俄然現役感が出て来た親から子への新しいコミュニケーションも生まれ、それをきっかけに親子の距離が縮まるなどの効果?はまさにこうした流行の副産物といえようか。


相場連動盗難

さて、二宮金次郎といえば晩年を栃木で過ごした事で知られ県内では学校はじめ各所でこの銅像が設置されているが、先週にそのゆかりの地である栃木県真岡市の歴史資料保存館の敷地にある高さ1メートルの二宮金次郎の銅像が盗まれるという罰当たりな事件が起きている。他に県内では今年に入って太陽光発電施設の銅線や排水溝の蓋などが盗まれる被害も相次いでいる。

ところで銅相場の波に合せ毎回必ず各地で銅を含むモノの盗難事件が勃発し今年の夏場も銅ケーブルや銅管が全国にわたり盗難被害に遭っていたが、銅相場は先月中旬に再度1万ドルの大台を超えLME(ロンドン金属取引所)ではスクイズを背景に現物と先物の逆鞘幅が過去最大規模に拡大するという一件があったばかりで今回の件もこれらが背景になっているのは想像に難くない。

こうした非鉄のみならず自動車の排ガス浄化に使うロジウム等のPGM系の価格も近年の大化けで盗難に遭った自動車はコンバーターのみ切り取られるなど銅と同様な事件が多発し、先月末の日経紙夕刊でも「世界で金属盗難拡大」と題した記事が一面を飾っていた。品薄感が解消されない素地で生産回復という構図になれば再度これに乗じた犯罪の増加も予測されるだけに関係各所も相場を睨みながら?その対応が課題となりそうだ。


意図の是非

経常利益の下方修正などが相次ぎ右肩下がりからなかなか脱却できない電力ポストだが、そんな中で北海道電力は資金使途を環境関連事業に特化した債券を12月に発行すると先に発表している。この主幹事には大手どころが名を連ねていたが、先週末には起債業務に影響を与えないようにしたいとして主幹事からSMBC日興証券を外した旨の発表がなされている。

この背景にあると思われるのがSMBC日興証券の社員らが特定銘柄の株価を維持する目的で不正な株取引を繰り返した疑いがあるとして、証券取引等監視委員会が相場操縦の金商法違反容疑の関係先として同社を強制捜査した件で、先週の祝日の日経紙にも「証券社員、相場操縦疑い」と題し一面を飾っていた。

今回問題となっているのは所謂ブロックオファーと呼ばれるモノで、大量の株を保有している向きが時間外で一度に売却出来る取引で証券会社は買い手を探し取引を成立させるが、通常その価格は取引を持ち掛けた翌日の終値を基準にするものの、その価格が下がってしまえば売買不成立となるケースもあるだけにこの構図を成立させるために株の買い支えが行われた疑いというもの。

しかし大手証券の社員が相場操縦の金商法違反疑いで強制調査を受けた例は記憶に無く行為者の問題か組織ぐるみかも問題となって来るだろうが、何れにせよ不正取引を審査する側で門番的役割を担う証券会社の問題だけに市場の信頼を賭け一刻も早い実態解明が急がれるところ。


株主の選択

さて、関西スーパーマーケットに対して食品スーパーのオーケーが買収提案をしていた問題だが、先月末に開催された臨時株主総会では6時間を超える長丁場の末に経営統合案が僅差で可決・承認されオーケー側はそのTOB提案を取り下げる姿勢を見せていたものの、本日になってオーケー側は総会の投票集計に疑義があると判断し明日にも差し止め請求する方針を固めたとの報が舞い込んでいる。

本日でこそ6日ぶりに小反発となったものの、先週はTOB取り下げの報を受け関西スーパーマーケットの株価は週明けから株価上昇期待が無くなった事への嫌気から終日ストップ安に張り付き比例配分で辛うじて商いが成立、以降も連日の続落の憂き目に遭い週末にはついに両者が経営統合と最初に発表した前日の終値水準をも下回った。

以前当欄で東芝機械を例に出した際には、TOB価格を軸にして防衛側が描く将来の株価像との比較機会が阻害されてしまうのは否めないところで同社は当時ファンド側が提示したTOB価格から800円以上安い値位置に甘んじていると書いたが、この関西スーパーマーケットの株価も見事?な往って来いを描きTOB表明で付けた9月8日の2200円台から1000円安の水準にまで売られている。

ここ注目されたTOB案件のうち取り下げの報と共に株価も往って来いで結論が出たと思われたこの一件、このまま司法に委ねられる事になると先行きは混沌としてきた。SBIによるTOBに対する新生銀行の買収防衛策についても直近で米議決権行使助言会社のグラスルイスがこれに賛成するよう推奨している事が明らかになり、注目の臨時株主総会という事になるが何れも引き続き目の離せない展開になってきた。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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