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31、32年前の光景

政府・日銀が約24年ぶりに大規模な円買い介入に踏み切ったのが先月の22日だが、周知の通りそこから再度ズルズルと反落しこの大規模介入からちょうど1ヵ月後の先週22日未明、1ドル152円手前にあった円が約2時間ほどの間に一気に144円台にまで急騰し政府が事実上市場介入に踏み切った動きを見せた。

今回は9月の大規模介入時と違い政府は介入の事実を公表していないが、本日の午前中も取引の薄い時間帯に再度150円目前まで戻した水準から一気に145円台にまで円高方向に急騰する動きが見られた。これまで日銀の介入で突っ込んだところは悉く絶好のドルの買い場になっているが、日銀が金融緩和を継続する一方で政府の大規模円買い介入実施という奇異な構図が変らぬうちはこうした動きもまだ続きそうか。

さて、上記の通りドル円相場は32年ぶりに1ドル150円の大台を割ってきたが、ほぼ同じく31年ぶりの水準を示現したのが先週発表された9月の消費者物価指数。輸入物価上昇の主因は資源高から今や円安に切り替わっており、価格転嫁が進まずに厳しい内需型の中小企業勢を中心に収益が圧迫されている。

思えば32年前、世はイタメシブームとなりこの時にティラミスが爆発的に流行っていたのを思い出す。そして31年前といえば今のZ世代はもはや知らないジュリアナ東京がウォーターフロント地区に華々しくオープンしたのも思い出すが、円相場や経済指標は同水準とはいえ名目賃金の上昇率一つとっても今とは比べ物にならず当時を思い出すに今の寒々しい現状がより浮き彫りになるとつくづく。


2年ぶりの経済効果

さて、全国旅行支援がスタートし初の先週末は各地の宿泊施設が多くの利用客で賑わった模様。今月はこれと並行して様々な支援策がスタートしており全国旅行支援と日を同じくして静岡県ではプレミアム付食事券の販売を開始、翌12日には大阪府がプレミアム食事券の第一期受付を開始している。

そして本日からは東京都の全国旅行支援「ただいま東京プラス」がいよいよスタートとなるが、更に26日から約2年ぶりにプレミアム付き食事券の販売も開始される。また翌27日からは新潟県もプレミアム付食事券の一般販売を廃止するなど全国旅行支援にGoToイートキャンペーンも加わる事で各業界の期待は大きく、先に書いたように大和総研では波及効果と合せ約8300億円の経済効果が見込めるとの試算もある。

前回のGoToシリーズはそれぞれ感染拡大を助長しているとの批判も浴びて事実上頓挫してしまったような格好になってしまっただけに今回のキャンペーンに臨む思いも一入だが、制度終了時に見込まれるであろう駆け込み需要や反動減を見据えソフトランディングさせる措置などその対応なども今後の課題となってこようか。


iDeCoも変更?

さて、政府は公的年金に上乗せ出来るイデコ・iDeCo(個人型確定拠出型年金)の加入対象年齢を現在の64歳以下から、69歳以下まで拡大する方向で検討に入った旨が本日は報じられている。投資から貯蓄への道筋作りということで先にNISAの恒久化が報じられていたが、「資産倍増プラン」の柱に位置付けるという。

今年の4月から公的年金の受け取り時期が最大で75歳まで先送り出来るようになったが、その翌月5月から上記の通りこのイデコ・iDeCoも元々の60歳までの加入年齢が65歳までに拡大され、今月からは企業型確定拠出年金に加入している人でも原則イデコ・iDeCoに加入出来るようになっているなど各所でハードルは下がりつつあった。

今回は加入年齢について更なる一段の拡大というものだが、そもそもが少子高齢化で公的年金の給付水準が先細りする事が予測される背景があり、ならば国民年金の加入期間も延ばして然るべきとも思うがその辺は兎も角、平均寿命も延び老齢年金の受給開始年齢を過ぎても働く向きが過半を占めつつある現状下でのポジティブな幅の広がりは期待出来るだろうか。


商慣習に変化

昨日の日経紙一面には「政策保有株売却2.3兆円」と題し、2022年3月期の政策保有株の売却額は前の期より約6000億円多い2兆3000億円となり開示が始まったここ4年間で最大となるなど上場企業の持ち合い株の解消が進んでいる旨が出ていた。東証再編前に当欄では上場基準も睨んで政策保有株の売却要請も進むと思われると書いていたが、果たしてこれらが後押しした格好となったか。

ちょうど昨年の今頃には政策保有株の減少が著しい三菱商事を取り上げた際に、これまであまり見られなかったAGCやキリンなど金曜会メンバーの株売却が目に付いた旨を書いていたが、三菱グループの中核とされる三菱グループの御三家の一角の三菱重工も三菱グループ中心に政策保有株を減らしている旨が同紙に書かれていた。

また政策保有株として多くの企業に持たれている割合が高いことで有名?なリクルートホールディングスも保有比率の高かった企業が手放す動きが継続している。ともあれ特異な商慣習ともいわれた持ち合いの動きは今なおあるものの、昨日も取り上げた東証再編における流通株式の基準変更等にも盛り込まれている通り持ち合いの合理性が問われるなか投資家目線の経営改革は粛々と推進されようか。


横一列のパフォーマンス

週明けの日経平均はFRBが積極的な金融引き締めを継続するとの警戒感から反落スタートとなったが、東証が市場再編を4月からはや半年が経過している。上場基準を満たさぬままに経過措置として新市場に上場した549社の所謂暫定組のその後は約1割が企業価値向上の取り組みを進め基準超えとなったものの、暫定組全体では約6割が時価総額を減らしている旨が先の日経紙に書かれていた。

この暫定組、当初より経過措置の期限を決めておらず関係者からは旧一部との違いも見いだせないとの声が多く挙がっていたが、その株価の方も勢いを欠き毎日日経紙に掲載されているプライム市場指数もスタンダード市場指数等と共に再編直前の4月1日を基準日とした1000に絡んで一進一退の推移と冴えない。

ところで株価指数といえばTOPIXも算出方法を見直し、プライム市場の205社とスタンダード市場の288社の計493社の構成比率を引き下げると先に東証が発表している。但しこちらの方も、23年10月の再評価で基準をクリアすれば同指数への採用を継続するという事になっておりこれまた猶予が与えられている。

TOPIXもまた上記のプライム市場指数等と比較するに殆ど変らぬパフォーマンスとなっており、TOPIX100とかROEで選りすぐったJPX400然りでこちらもここ10年間でパフォーマンスにほぼ差異は無くどれも団栗の背比べ状態。指数構成の椅子に座り続ける企業努力も大切だが、MSCIのような市場代表性を備えた真に使える指数への道はまだまだ遠いか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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