115ページ目

漸く本腰

さて先週金曜日の日経紙一面には「仕組み債販売、一斉調査」と題し、金融庁が複雑でハイリスクといわれる仕組み債の問題を十分に検証せずに顧客に販売してきた事を問題視し、地域銀行99行やグループの証券会社27社を対象に仕組み債などの金融商品の販売実態について一斉調査に乗り出した旨の記事があった。

当欄でこの仕組み債やリンク債の類に関して銀行や保険、証券などの金融の業界団体に寄せられた苦情が過去最多を記録したと取り上げたのがリーマンショック後の2009年だった。当時は「目論見書」という字も読めない一部高齢者顧客層に売りまくるなどその販売方法を巡る問題が増加と書いていたが、あれから13年以上が経過し漸く重い腰を上げたという感じか。

とりわけ冒頭の証券子会社などを持つ地銀グループなど、その販売構成を調べると実に4分の1にあたる23%が仕組み債であったという同商品への依存体質が浮き彫りになっている。背景には事業環境の厳しさ等が挙げられているが、これ以外では保険等も外貨建て一時払いなど最近の為替の急変動を考慮するに火種となりそうな商品も販売強化した経緯があり今後も動向が注目される。


あれから28年

ちょうど28年前の1995年、最大震度7を観測する阪神淡路大震災が起き6400人以上が犠牲となるなど当時としては戦後最悪の被害が出た。新型コロナウイルスの影響などで直近の2年間は各所で中止となった追悼行事の類も、今年は大きな被害を受けた地域などで犠牲者を追悼する行事が行われた模様だ。

当時テレビなどでは信じられないような惨状が放映されていたのが蘇るが、株式市場も週明けからこれを織り込むようなかっこうで1000円以上暴落、余談だがこの急落がトリガーとなってあの女王陛下の銀行とも呼ばれていた英投資銀行のベアリングス銀行がデリバティブ取引で経営破綻をするに至ったのは業界では有名な話の一つだ。

ともあれこの震災は多くの教訓を残し全国で耐震化が進められるなど防災、減災への取り組みに大きな影響を与えた。3月には東日本大震災から12年目を迎えるが、今後は震災を経験していない世代が増えるなかこの記憶や教訓などどのように次に継承してゆくのかこの辺が課題となるか。


抑え込みの限界

さて、日銀は昨年末の政策決定会合で長期金利の上限を従来の0.25%程度から0.5%程度に変更し金利上昇余地を広げるサプライズ政策を発表したが、先週末のマーケットではこの長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが上昇、一時0.545%と日銀が上限とする0.5%程度を上回った。水準としては2015年6月以来、7年7か月ぶりの高水準となる。

国債といえば当欄では昨年の6月くらいから日銀VSヘッジファンドの対立構造を書き、ジョージ・ソロス氏が英イングランド銀行にポンド売りで挑んだ一件が思い出されるとしたが、連日の指値オペなどで昨年の購入額が6年ぶりに100兆円超えるほど大量の国債買いで日銀の防戦が続き長らく劣勢が続いた海外勢も漸く報われたという感じだ。

そもそも投機筋の挙っての参戦でイールドカーブが歪み企業の起債など金融環境に悪影響を及ぼすとの理由も背景に年末の修正となったワケだが、なお足元では債権市場の歪みが解消されたとは言い難い。早々の上限突破でこれの撤廃も視野に再度の修正に動くか否かというところだが、前回の例もあるだけに明日からの金融政策決定会合が注目されるところだ。


経営者が占った2022年

さて先週は都内で経済3団体の新年合同祝賀会が開催され、各社のトップが今年の注目事やリスク等についてインタビューを受ける恒例の光景が見られたが、恒例といえば日経紙の「経営者が占う」シリーズを今年も振り返ってみたい。昨年の日経平均の高値予想平均は32,850円でその時期は10~12月が多かったが、年間を通して3万円の大台を超えることは一度も無い厳しい結果となった。

一方で安値予想平均は27,175円でその時期は1~3月が多くを占めたが、ロシアによるウクライナ侵攻で時期こそ当たった格好だが安値は24,681.74円とこちらも大きく沈んだ。それに伴い個別の予想も昨年はボロボロで、有望銘柄3年連続でトップに挙げられたソニーは大発会翌日の15,700円台を高値に下げトレンドを形成し10月には9,200円台に沈むなど40%以上も下落の憂き目に遭った。

またこちらも毎年ベストスリーにランクインし2位に推されていた信越化学工業も、大発会の20,600円台を高値に一貫してダウントレンドを形成し、9月には14,000円台に沈むなどこちらも30%以上の下落を演じた。この銘柄以外でも需要増が期待された半導体セクターだったが、フタを開けてみれば景気悪化で世界的に半導体需要が弱まるとの懸念が株価を直撃した格好になった。

というワケで改めて今年の見通しでは日経平均の高値平均が31,200円でその時期は10~12月、安値平均は25,000円台でその時期は3月が最も多く、有望銘柄では判で押したように4年連続でトップに挙げられたのがソニーであった。いずれにせよ世界的なインフレやそれに伴う金融政策、米中摩擦に各所で顕著になっている分断、顕在化し得るまさかの地政学リスク等々今年も昨年以上に目が離せない身構える年になりそうだ。


総じてリバウンド

本日の日経紙商品面には「白金買い越し高水準」と題し、英国際調査機関のWPICから2023年の世界需給が3年ぶりに供給不足になると予想されている白金が中国需要の拡大観測も背景に米先物市場の買い越し幅が前週比24%増の3万503枚と2週連続で増加し、約1年9か月ぶりの高水準となった旨が出ていた。

確かに足元で約10ヵ月ぶりの高値を付けてきているが、これに限らず金も銀も総じて貴金属はここ切り返しの動きを見せている。世界的にリセッション入りの懸念が燻るなか安全資産へ資金が向かったか金も2022年5月以来、8か月ぶりの高値を付けてきている。そうした空気を感じ取り商魂逞しい業者などの金の買い取り強化という類の広告が最近また増えてきたようにも感じる。

また先週には米雇用統計の発表があったがその中で非農業部門の雇用者数は市場予想を上回る伸びを示したものの、民間平均時給の前月比上昇率は市場予想を下回っていた。人件費の影響を受け易いサービスのインフレが鎮静化に向かうとの期待が高まり米長期金利の頭打ち感が出てきたのも金利の付かない金にとっては追い風だろうか。明日に米消費者物価指数の発表を控えるが、結果次第でまたホットマネーが動く事になるかどうか注目だ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2026

1

1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31