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低体温

先週末に総務省は5月の消費者物価指数を発表しているが、変動の大きい生鮮食品を除いた総合指数は101.6となり、先月に続き前年同月比で2.1%上昇した。先月の2%を超えた伸び率は7年1ヵ月ぶりの事であったが、原材料高で食料品の上昇も目立ち2ヵ月連続で2%超えの上昇率となった。

とはいえ食料とエネルギーを除いた総合指数で見ると上昇率は0.8%と米のそれが6%超を記録しているのに比べその鈍さは否めないところで低体温なのは明らか。依然として川上の資源高・原材料高があっても川下では値上げが浸透するという状況ではなく、何よりも米のように賃金の上昇が付いて来ている構図とは違うか。

日銀金融政策決定会合での主な意見の公表では金融緩和の継続は持続的な賃上げを後押しするために有効だとのコメントを出していたが、日本の名目賃金の上昇率はエコノミストの平均的な予想で22年度は米の5%に対し0.75しか伸びていない。昨日も厚労省が中央最低賃金審議会を始めているが、これまた諸外国のそれとは乖離幅が大きくここの政策はやはり喫緊の課題か。


IPO変調

本日の日経平均は2週間ぶりに27000円の大台を回復したが、そんな中をM&A総合研究所とヌーラボがグロース市場に新規上場となった。注目の初値はM&A総合研究所が買い気配で推移し後場に入って公開価格1330円を大幅に上回る2510円で初値を付けた一方で、ヌーラボの方は売り気配から前場早々に公開価格1000円を下回る955円での初値形成と2社で明暗が分かれる格好となった。

直近でいろいろあった主幹事のイメージが影響しているなどという事はないのだが、ヌーラボに限らず先週末の日経紙マーケット面でも書いてある通り今月の上場6社のうち3社で初値が公開価格を下回る「公募割れ」をおこしている。そういえば今年のIPO第一号リカバリー・インターナショナルも公募割れだったのを思い出す。

年間上場第一号の公募割れは実にブックビルディング方式が導入された1997年以降初めての事だったが、斯様な” 梯子外し”等のIPOの変質 で中小型株を手掛ける投資家の投資余力がそがれ新興市場全体に悪影響を及ぼしかねない旨も指摘されている。ただでさえ今年の上半期のIPOは前年同期から3割減となっており上場延期組の動向も今後気になるところではある。


ESGの潮流

本日の日経紙一面には「ESG推進 賞与へ反映」と題し、企業や投資家はこれまで企業のROEや利益を重視してきたものの、利益を追求する資本主義が地球温暖化などで限界を迎えて事などを背景に近年35兆ドルともされるESG投資が存在感を増して企業に意識改革を迫る旨が書かれていた。

先に国内では金融庁が昨年のガイドラインでESG課題などに取り組む体制整備を推奨、ESGを推進する社内委員会を設置する企業も昨年末時点で118社が設置し1年半で倍以上に増加した旨を書いたが、緩和マネーの受け皿となっているファンド等では実際に企業の取組を調べているか否か疑わしい事例もあり金融監督当局が厳しい目を向け始めた旨も報じられている。

またウクライナ危機でその潮流の変化もここ謳われており、人道的観点からタブーとされてきた防衛産業への投資も社会主義にかなうとして米軍事関連などは軒並み市場最高値を更新し化石燃料への投資需要も高まりつつある。斯様に逆風が吹いていると取る向きもあるが、何れにせよ個々では企業価値という成果に繋がってゆく重要な非財務指標となるだけに今後も重要視される流れは継続されるか。


時代の生き証人がまた・・・

さて、あずきバーで有名な井村屋は砂糖等の原材料の高騰や包装資材、物流コストの上昇を背景に同商品を含む39商品を9月1日出荷分から3.8~14.3%値上げすると先週末に発表している。ところで井村屋といえば同社が運営する国内で唯一生き残って?いた高輪の「アンナミラーズ」を来る8月末で閉店する旨の発表も先にしている。

この世代なら間違いなく頷くと思うがあの独特なデザインの制服が目当てで働く女子も当時は多く、甘党な私もアンミラの赤坂店はよく利用したものだ。そういえば赤坂で思い出したが斯様な海外の店を日本企業が国内に誘致した例として、このアンミラ前の外堀通りを挟んで向いにあったダスキンが運営していたストーン・クラブを食べさせる「東京ジョーズ」も数え切れないくらい使ったものだったがこれも残念ながら今はない。

こういろいろと思い出していると止まらなくなるが、アンミラが上記の通り当時の女子が憧れる「制服」ベスト1であり、その次あたりにランクインしていたのが今はなき「JACK&BETTY CLUB」であった。まだスクエアビルがあった時代には六本木のジャクベなどはディスコの営業終了後の次のステージとして男女の駆け引き?の場と化していたものだった。

というワケで今回は随分と話が逸れてしまったが昭和レトロがトレンド入りする昨今、アンミラのコーヒーカップなどを見るに上記のJACK&BETTY CLUBやらひいては表参道にあったキーウエストクラブなどまで思い出されてしまい、最後のアンミラが閉店するとのたった一件で数々の思い出が走馬灯のように過るものだ。


中間評価

記録的な物価高のなか迎える事になる参院選が本日公示され、来月10日の投開票に向けた18日間の選挙戦がスタートした。総務省では午前から比例代表名簿の届け出が始まり、1人区中心に野党候補が競合した事などを背景に果たして27年ぶりに500人を超える545人が届け出る事となったが、女性比率が3割を越え過去最高となったというのもまた注目すべき点でもあるか。
   
政権の安定に向け参議院での過半数を目指す与党と、反転攻勢への足掛かりにしたい野党が選挙戦を繰り広げることになるが、最大の争点となる物価高対策はじめ安全保障、憲法改正等々が争点となる。昨日は党首討論会が開かれ本日は物価・賃金・生活総合対策本部の初会合が開かれたが、節電に応じたポイント付与等なんとも微妙な発表が為されている。

先日のフランス総選挙での決選投票では進行する物価高騰で有権者の不満の矛先が与党に向った格好となり、与党連合が第一党を維持するも過半数を大きく割り込むこととなった。衆院選よりも関心が薄い?といわれる参院選はその投票率も気になるところだが、何れにせよ2021年秋に発足した岸田政権の信任を問う国政選挙となるだけに注目したい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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