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訳あり銘柄明暗

本日の日経紙・経済政策面には「経産省が頼る首相の一文」と題し、政府が18日に閣議決定する予定の成長戦略の原案にSPAC(特別買収目的会社)の解禁方針が盛り込まれた旨が書いてあったが、これに絡んでは当欄でも今月のアタマに「白紙小切手?」と題し取り上げていた通りでここから解禁に向けて侃々諤々といったところか。

この項の中ではSPACが先行する米国では本来なら上場基準を満たさないような企業が上場するリスクがあるとの一文があったが、昨晩のNY市場ではSPACを通じナスダックに上場した新興電気自動車メーカーのローズタウン・モーターズが今月に入ってから突然製品を生産開始する資金不足に陥り事業継承に疑義が生じているとSECに届けを出した事で約19%安と急落、まさにこれを象徴するような一件が市場をザワつかせていた。

一方でテスラのマスク氏によるビットコイン決済再開表明などから4万ドル回復となった相場を背景に多額のビットコインを保有するマイクロストラテジーは約16%高と大幅高し、ミーム銘柄のAMCエンターテインメントもイナゴ勢の呼びかけで再度浮上し約15%高と市場でも明暗が分かれた格好だが、S&P500種などが史上最高値を更新する裏で何れも問題銘柄の乱高下が実に不気味に映る。


政府銘柄の蜜月

さて、東芝の株主総会を巡っては当欄でも春先に株主側要求による異例の臨時株主総会について触れていたが、今月の株主総会を目前に控えた先週に昨年の定時株主総会が東芝と経産省とが連携しアクティビストの提案を妨げようとしたなど総会運営について調査した第三者の弁護士から「クロ」判定の調査報告書を受け取ったとの発表が為された。

早速本日の午後には東芝の取締役会議長が記者会見にて陳謝、株主の信認を得るのは難しいとして報告書で関った社外取締役及び執行役を退任させる旨を報告しているが、大株主だった米ハーバード大学や3Dインベストメント・パートナーズなどに経産省側が接触し無言の圧力で議決権行使判断に一定の影響を与えたというから何とも闇が深い。

皮肉?にもこのニュースでザワついた11日には東証が上場企業の経営に関するルールを纏めたコーポレート・ガバナンス・コードの改訂版を施行している。確かに東芝といえば原発から量子技術に至るまで或る意味国の安全保障の一翼を担っている面もある事で他の一般的な上場企業とは異なる顔を持つ特異性はあるものの、官による企業への関与が何所まで許容されるのか、企業統治改革そのものの信頼に関るだけにこの辺も明確なところが求められようか。


カップヌードルのシールが・・

さて、先週はTVでも取り上げられるなど一寸世間がワザついたニュース?に日清食品がカップヌードルの蓋留めシールを廃止にするという発表をした件があった。私の周りにはそもそもこのシールの存在自体を知らなかった者も居たが、それは兎も角もちょうどこの発表と同じ日にはプラスチック廃棄物削減をめざすプラスチック資源循環促進法が参院本会議で可決されている。

上記のカップヌードルの件もこれの廃止でプラスチック使用量を削減するのが目的というが、この新法成立でこれまで小売店や飲食店が無償で提供してきた使い捨てのストローやスプーンについては、レジ袋よろしく有料にしたり代替素材へ転換したりする対応を義務化する事が出来るようになりコンビニや外食産業は其々が対応を迫られる事になる。

斯様にプラスチック廃棄物の削減気運が盛り上がっているが、あるデータではプラスチック廃棄物の排出量の割合ではレジ袋が約1.7%、また今回の新法で対象となった使い捨てスプーンやストローに至っては1%にも満たない0.17%という。そんなワケでこれらが有料化されたとしてもプラスチック問題解決に直結する事も無いが要は問題意識の啓蒙だろうか。

実際に早いものでプラスチック製レジ袋の有料化から来月で1年が経つが、この啓蒙が浸透してきたのかどうか最近ではエコバッグなども普及しレジ袋を辞退する向きはコンビニで7割程度に、またスーパーでは8割程度にものぼっているという記事も見たがさて今回も同様の動きが広がるかどうか一先ず注目である。


物価上昇の良し悪し

一昨日の日経紙・グローバル市場では「銅価1万ドル時代」と題し、代表的な非鉄金属である銅の国際価格がLME(ロンドン金属取引所)の先物価格で先月1万ドル超となり2011年2月に記録した史上最高値を10年ぶりに更新したが、脱炭素の気運から世界のグリーン革命を背景にして一時的な高値示現では無いとする見方が書かれていた。

世界需要の半分を占めるようになった中国の需要が前回の波なら、今回の波はその需要に匹敵か上回る可能性があるグリーン革命によるものという。ところで銅が高値の波を作る度に起こる社会現象として銅合金製品を狙った盗難事件多発というものがあるが、果たして今回も度々TVや紙面を賑わす盗難劇がぼちぼち出て来るのだろうか?

その辺は兎も角、直近では牛肉がこの中国需要の波に呑み込まれ国内外食企業や中小のスーパーなど急遽対応を余儀なくされている模様だが、気になるのは斯様に脱炭素と共に世界景気回復の流れから冒頭の銅はもとより原油に穀物、木材から上記の牛肉などの商品価格が軒並み急騰している点か。

既に食用油は今年に入って大豆相場の高騰を背景に一部で値上げが3回目となり、大豆に連れ高となった小麦の影響で小麦粉やパスタなども一部値上げが発表されている。原料価格高騰が価格改定を上回るケースで企業が更なるコスト高の転嫁を進めれば上昇圧力も自ずと強まる事になるが、物価上昇もロケーションで良し悪しが二分されるだけにアフターコロナに向けこの辺も注視しておきたい。


Vで蒸し返し

さて、4月には松山英樹氏がゴルフ4大メジャーのマスターズ・トーナメントで日本人初の優勝を飾ったのが記憶に新しいが、この興奮冷めやらぬままこれに続いて今度は女子ゴルフのメジャー、最高峰ともいわれる全米女子オープンで周知の通り笹生優花氏が大会史上最年少タイでの優勝を成し遂げている。

松山氏のマスターズ・トーナメントからまだそう日が経っていないものの、株式市場ではまたぞろ関連銘柄に対する蒸し返しの動きが一斉に出て昨日は前回ストップ高となったシャフト製造大手グラファイトデザインはじめゴルフウェアのデサント、ゴルフ場運営の東急不動産HD、またゴルフ場予約サイト運営のゴルフダイジェスト・オンラインも一時10%の大幅高を演じていた。

本日も日経平均が反落となる中、上記のデサントは続伸し年初来高値を更新、また東急不動産HDも続伸し年初来高値を更新している。前回も書いたが息の長い相場へ発展する可能性は望むべくもないご祝儀モノとはいえ、このコロナ禍で蜜にならずプレーの出来るゴルフ人気は実際高まっている模様で蒸し返しの持続性もこの辺が背景になっている部分が大きいか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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