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総裁選混戦

現首相の任期満了に伴う自民党総裁選だが、昨日の総裁選管理委員会で総裁選日程を9月12日告示、同27日投開票する事を定めるなど日程が決まった。これに先立ちちょうど1週間前に岸田総裁は記者会見にて総裁選には出馬しないことを表明しているが、派閥の政治資金問題などの責任を取る形で2021年10月の政権発足から3年で退陣ということになる。

既に10人以上が名乗りをあげているが、斯様に派閥が崩壊した後の自民党の姿もまた面白い。その辺はさておき増税眼鏡と揶揄され史上最低の支持率を更新した岸田氏だったが、政権発足時に2万円台だった日経平均は曲がりなりにも4万を超え史上最高値を更新、その原動力になったのは半導体関連株だがTSMCの日本への誘致、また新NISAの拡充も市場のすそ野拡大に寄与し金融業界としては一定の評価となるだろうか。

もう一つ、株式市場のアノマリー?として衆院解散は買いというのがある。アノマリーといえば1968年以降の五輪で金メダルを10個以上取った夏の大会期間中の日経平均は上昇するというのがあったが、今年は史上最大の暴落の憂き目に遭い見事に崩れた。話は逸れたが、新政権がマーケットにフレンドリーかどうかも注目したいが、支持率の回復出来る日本の変化を期待させるような政権が望まれるところだ。


代替競争激化

本日の日経紙ビジネス面には「苦いカカオ不足チョコ再値上げも」と題し、一向に先が見えない供給懸念から関連商品の更なる値上げも予想される旨の記事があった。このカカオ豆といえば今から10年以上も前だったか、ロンドンのヘッジファンドの共同創業者が年間生産量の7%にも相当する先物スクイズを仕掛けた事で相場が30年ぶり高値に暴騰した件が記憶にあるが、近年の相場はベースに不作等供給懸念も根強い事でこれを凌ぐ状況となっている。

国内の商品値上げも当初甘く見ていたものだが値上げに次ぐ再値上げが相次ぎ併せてカカオ豆の使用を減らした商品の開発まで検討し始めているが、プライム上場の大手では明治HDがチョコレート原料のカカオを細胞培養し、そのカカオパウダーを使った食品を来年度にも売り出す予定、また不二製油Gも傘下がココアバターの代用でパーム油脂等を使った業務用チョコの販売を始めている。

両社共に株価の方も好調な業績が背景に控えるとはいえ、そんな一連の動きも関心を寄せたのか明治HDは日経平均が過去最大の下げ幅を記録した週に年初来高値を更新、また不二製油G本社株も同じく5日暴落後に往って来いで切り返しを見せ、先週には年初来高値を更新し3年ぶり高値に躍り出るなど急落前水準に戻り切れない個別が大半のなか堅調さが際立つ。

その辺は兎も角も、こうした代替モノ開発の動きは先に書いた植物性原料による謎ウナギの開発でも見られた。すなわち特定の物の供給不安が話題になる中において近年は代替品開発でそれを供給する事で持続可能な世界に貢献する企業の姿勢というものが窺えるが、こうした取り組みは各企業に取って同時に商機でもあり今後も拡大してゆくのは想像に難くないか。


分割あれこれ

先週に2023年度の株式分布状況調査の詳細が東京証券取引所から発表されているが、NTTの株主数が2022年度比で2.5倍と上場企業で14年ぶりに首位となった旨を日経紙が報じていた。この辺の背景にはやはり昨年の25分割という大幅分割が影響していると思われるが、一方でトヨタやオリックスは株価上昇による配当妙味減少や株主優待廃止の影響で株主数が減少することとなった。

ところでこのNTTだが、今年の株主総会で一個人株主が自身を取締役にするよう求める株主提案をしたのが話題になった。大幅株式分割によって会社法による株主提案条件の議決権取得のハードルが大きく下がった部分を突かれた格好で、大幅分割では何処の株式も購入のハードルが下がるが同社のケースでは株主提案もし易くなってしまったということか。

株主提案というところが実に今っぽいが、大幅な分割を巡っての事件?といえばやはり今は無きライブドアが記憶に新しい。上場後から数度にわたり分割を繰り返していた同社だが、2003年に行った100分割は衝撃でその後には実にストップ高を15日間続けるという仕手株も真っ青な離れ業をやってのけた。これらを経てその時価総額も急膨張し派手な買収の原資になったのは言うまでもない。

望ましいとする最低投資金額の指針により今でこそ分割も東証が後押しするような機運になっているが、上記の“分割バブル”を思い出すに隔世の感を禁じ得ない。そんな中でもいまだ最低単元が数百万にもなる高株価企業が散見されるが、将来的には米国のように1株から購入出来るようになる日がおとずれるのかどうかこの辺も動向にも注目しておきたい。


五輪スポンサー明暗

昨日はパリ五輪に出場した日本選手団の解団式が行われたが、今大会で日本選手団が獲得したメダルの総数は45個となり海外開催では最多を記録している。事前のメダル獲得予想も近年精度が高くなってきているが、スポーツデータ分析の米グレースノートが開幕1か月前に予想していた日本勢のメダル総数は46個と今回も見事な僅差具合でほぼ的中、またJOC日本オリンピック委員会が目標としていた金メダル20個もピタリ達成となり海外開催では2004年アテネ五輪の16個を上回る最多の快挙となった。

ところでこのメダル、今大会のスポンサーを務めているのが「LVMH」だけあってそのデザインは傘下の高級宝飾ブランドの「ショーメ」が担当しているがジュエリーブランドによるメダルはオリンピックの歴史で史上初の事だという。同じく傘下の「ルイ・ヴィトン」も今大会ではメダルやトーチを収納・運搬するトランクやメダルの専用トレーに、ベアラーのユニフォームまでルイ・ヴィトンが担当している。

東京五輪でパナソニックなどがスポンサーを務めたのと同じパターンだが、今大会の開会式でのムービーではヴィトンの工房まで流されまるで同社のCMを見させられているようなある種違和感を覚えた。ところでこのスポンサー、上記のパナソニックに加えトヨタ自動車やブリジストンはこれまで最高位スポンサーとしてIOCと契約締結していたがトヨタ自動車など今回のパリ五輪でその契約を終了予定という。

その背景には年々加速してきているスポンサー料金の高騰に見合う費用対効果があるのか疑問というところがある模様だが、上記のパナソニックなど開会式でDJがパフォーマンスを披露したシーンで使用されたミキサーがなんとライバル企業のものだったというから同社もトヨタ自動車に続きスポンサー契約を見直す可能性は十分にあるか。斯様にブランディング向上の為ワガママを通せた企業とで明暗が鮮明だが、今後のスポンサー各社の動きが二極化してくるかどうか注目しておきたい。


米騒動とコメ指数

今日近所のスーパーに行ったところ、昨今のコメ不足により入荷が間に合わないのか「購入は一人一点でお願いします」とういう旨の張り紙が出ていた。さてこのコメといえば昨日から堂島取引所においてコメの値動きに連動する指数先物「堂島コメ平均」の取引が始まっている。堂島といえばかつてはコメ先物試験上場を10年にわたり実施した経緯があったものの本上場は叶わず、今回はコメの受け渡しをせずに指数に変更している。

注目された初値は中心限月の来年2月限で17200円(一俵)となったが、前回は本上場に至らなかったコメもこの指数で将来のコメ価格の参考値になる役割を担うことが出来るのか、またどの程度幅広い投資家を呼び込められるかがポイントとなってくる。そういった点ではインバウンドの影響で近年は海外でもコメの注目度が急速に高まっているなか、その先に海外マネーを呼び込めるかも焦点だ。

足元では主要銘柄の取引価格は概ね前年比2倍と、記録的な冷夏で90年代に起きたいわゆる「平成のコメ騒動」以来、約30年ぶりの高値となっているが、今回の“コメ騒動”は猛暑が直撃し上記のインバウンドも少なからず影響している。つい最近まで米離れが叫ばれていたのが記憶に新しいだけにヤレヤレという感じで、新米が出回る頃には一旦の需給緩和が見込めるというが今年もこの猛暑だけにさてどうなるか。暑さの落ち着きに歩調を合せ価格も落ち着きをみせるのか否か引き続き注視しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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