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既視感

本日の日経紙一面には政府の骨太の方針が出ていたが併せて首相が掲げる「新しい資本主義」の実行計画も閣議決定されている。人への投資の強化や、有力新興企業を今後5年で10倍に、また2000兆円にのぼる個人の金融資産を投資に向けるためNISA(少額投資非課税制度)の改革を含む「資産所得倍増プラン」を年末までに作成する方針。

なんとも投資家好みの威勢の良いフレーズが並ぶが、例えば英のISAをモデルに創設されたNISAの改革など現行の非課税枠から一体如何ほどの拡充になるのだろうか?先の東証の市場再編でも上位ポストの時価総額基準額等が期待されていたものからは程遠いものとなり、機関投資家等の失望を買ったものだったがこれの二の舞にならぬか一抹の不安がある。

この新しい資本主義といえば岸田首相が先に訪問した英国の金融街シティーの講演で、平成25年に当時の安倍首相がNY証取で「バイ・マイ・アベノミクス」と訴えたのに倣ってなのか「インベスト・イン・キシダ」と述べこれを説明していたのを思い出す。本邦の特徴として上記の制度含め海外事例に範を仰ぎアレンジする傾向があるものの、得てして見劣り感著しい傾向にあるだけに世界標準との差を埋めるには更に思い切った設計が求められようか。


参謀役の失態

本日の日経平均は20年ぶりの円安を追い風にして小幅ながらも3日続伸、3月末以来約2ヵ月ぶりの高値水準まで戻りを入れた格好になったが、そんな地合いの中でも昨日に続き2日連続でストップ安に張り付いた東証プライム市場のアイ・アールジャパンホールディングス株の動きが一際目立っていた。

この背景には、コンサル会社アイ・アールジャパンの元副社長が、未公開情報に基づいて知人が発注したこの持ち株会社のアイアールジャパンHD株の不正取引に関与した疑いがあるとして、昨日に証券取引等監視委員会が同社を強制調査したとの報がある。渦中の副社長といえばつい先週に「一身上の都合」として同社を退社したばかりであった。

このアイ・アールジャパンといえば、先の関西スーパーマーケットの争奪戦において統合会社の理論株価公表等でも名前が出るなどしていたが、アクティビスト対応から敵対的TOBにおけるオフェンスやディフェンスまで実績が数多くあり、近年企業に株主提案等を行うアクティビストの存在感が高まっている中でアドバイザーとしての存在感が急速に高まっていた会社でもあった。

そういったビジネスモデルの同社はガバナンスや上場ルールについては企業の模範であるべきというコンセンサスがあっただけに今回の件で信用問題が株価に表れている。本日は比例配分で何とか値を付けたが、その出来高は5万株にも満たず引けでは120万株以上もの成り行き売りが出ていただけに先ずは何所で完全一致にて寄るか、今後の監視委員会の動向と合わせ注視しておきたい。


水無月の値上げ

さて梅雨入りの水無月だが、値上げの波は今月も更に広がる。馴染の深いところで日清食品のカップヌードルが3年ぶりに値上げ、同じく3年ぶりに値上げするこの類ではサンヨー食品のさっぽろ一番も約10~12%の値上げ、スナック菓子の類ではカルビーがかっぱえびせん等を約10%、森永はチョコモナカジャンボ等アイス11品目を値上げする。

手軽な外食もカレーハウスCoCo壱番屋がカレーとトッピングの価格を改定、蕎麦のゆで太郎も単品蕎麦屋セット価格を値上げする。食品の類はこのあたりにして、他に金額的に比較的大きくなるものとしては国際線のサーチャージ等が挙げられる。JALは日本―欧州・オセアニア等で約3万3千円、ANAも同路線では3万5千円値上げと今月から一気にアップする。

先月は値上げが通り易いBtoBの業種は好調だが今後は何所まで川下系の価格転嫁が進むのかこの辺を注視としたが、帝国データバンクの調査では主な食品メーカー105社が今年に入り値上げした商品は既に8385品目にも及ぶとのこと。直近の調査データが公表される度にその品目は急増しているが、来月は1ヵ月としては今年最も多くなる試算が出ており身構える動きが続きそうだ。


再開の期待と憂鬱

さて、昨日から政府は入国者の上限を1万人から2万人へと制限緩和している。那覇空港や新千歳空港は国際線発着を再開できるよう準備し他の地方空港についても地元と調整したうえで順次再開を進めてゆく方針だが、これに併せ検疫措置も緩和され10日からは外国人観光客の受け入れも2年2ヵ月ぶりに再開する。

いよいよ待望のインバウンドが再開だが、おりしも世界経済フォーラムでは観光競争力ランキングで日本は公共交通機関の本数やその鉄道サービスの正確さが高く評価され3位のスペインや2位のアメリカをおさえ初めて1位となった。円安のメリットを受けられ地方への恩恵も大きかったインバウンドだけに復活への期待が高まる。

とはいえ今年春から数千人規模の解禁を経て以降も小出しに入国者を増加させているが、コロナ前の平均が14万人だった事を考えると冒頭の2万人では引き続きの小出し感が拭えない。G7並に水際措置を緩和すると表明したわりになんとも心許ない数字であり、インバウンドの取り逃がしが懸念されなくもない。

もう一つ、コロナ前の2019年訪日客の内訳は中国の30.1%はじめ広域中華圏で約半数を占めていたという点。ウクライナ侵攻を巡る新冷戦や当局による新型コロナ政策等に絡み個人消費が国家の方針に左右される中国依存のリスクもまた懸念され、上記と併せインバウンドが直ぐに戻って来るかどうかは不透明なだけに手放しに喜べるという状況には無さそうだ。


事実は小説よりも奇なり

本日の衆院予算委員会の集中審議において野党側からオンラインカジノについてこれを放置するのか?と総理に迫る場面があったが、これに対し総理はこのオンラインカジノについては違法なモノであり、関係省庁と連携し資金の流れの実態把握をしっかり行う事が重要で厳正な取り締まりを行うとの考えを示していた。

野党側が斯様に迫った背景には先に山口県で起きた誤送金された新型コロナ給付金をオンラインカジノで使い切った輩の事件があったからに他ならないが、それにしても当初回収に関して絶望的だったものが一人の弁護士によるサクサクとほぼ満額に近い回収劇はまさに稀代のエンタメを地でゆくような出来事であった。

それにしても一般的に考えられる示談云々から視点を国税徴収法に向けたところがなんとも頭が切れる。これを盾に決済代行業者から更に其の先の銀行にまで暗に圧力?をかけるテクニカルな技はまさに海外ドラマの「スーツ」を彷彿とさせる。しかし代行業者も揃って肩代わり?をしてまで満額に近い返金をしたあたり複雑な事情が見え隠れするが、何れにせよこの事件を機に今後この手の規制が更に一段と厳しくなるかどうか注目される。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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