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高級パン戦争

さて、過日に案内を頂いたのだが先週から開催されていたIKEBUKUROパン祭りが今週20日まで開催されていた。今年で3回目を迎えるという事だが、前回は1週間で約16万個のパンが売れたという事でけっこうな話題になり今回は全国から約75店が出店してその種類は500種に及んだ模様。

このイベントを何故取り上げたかというと昨今のパン熱が際立っているからに他ならない。直近では高級寿司久兵衛が店を構える場所を巡ってホテルオークラとで裁判沙汰になっているが、先に当欄で取り上げた日本橋高島屋S・Cはエントランスから入って直ぐの一等地?に「365日と日本橋」、そしてその隣には「ポタスタ」と街のパン屋が同ビルの顔ともいえる場所に連なるという百貨店ではこれまでにない光景が見られる。

また最近では高級食パンブームの先駆けとなった人気ベーカリーの「乃が美」のパンが自宅で作れるという触れ込みでホームベーカリーまで登場してきたが、先週15日にはこの乃が美が麻布十番の店を開店させいよいよ東京に進出のはこびとなった。果たして開店飴から長蛇の列となり、用意した商品は早々に完売となる過熱ぶりであった。

こうした拘りパンの波は関西からのものが多かったが、この手の出店攻勢も関西系はパンに限らず何故かこの東京を最後に持って来るところが多い点がおもしろい。とはいえ東京も以前より俺の株式会社が傘下レストランで俺のベーカリー「香」など提供していたが、最近は新店舗もベーカリーとの抱き合わせなど多店舗体制に入って来ておりさながら高級パン戦争の構図になって来た感がある。


試金石のIPO

本日の日経紙マーケット面には「貯蓄から投資促せるか」と題して、来月に上場する調達額が国内IPOで最大の2.64兆円となるソフトバンクグループの通信子会社のソフトバンクの配当性向に着目し、これまで貯蓄から投資の受け皿として期待された過去の大型上場はそれを満たせなかったものの同IPOにこの辺を託し期待が出来る旨が書いてあった。

ソフトバンクのIPOについては数回当欄で取り上げているが、やはりこの頁でも親子上場となる形態について指摘されていた。誘致合戦の最中、緩めの間口で競合するアジアの取引所を横目で睨みながら東証としても今年の春先に当欄で述べたようにジレンマに陥ったのは想像に難くない。

そうした背景は兎も角も、貯蓄から投資といえば最近では日進月歩のフィンテックが投資に関するハードルを下げるのにほんとうに貢献しているなとの感が強い。スマホから容易に投資できる資産運用アプリなどの発達によって、これまでハードルの高さを感じ逡巡していた若年層向けの裾野を広げたのは大きく今後ももう一段新たな層の開拓が期待される。


カリスマの功罪

さて、昨年から日産自動車やスバル、神戸製鋼所など大手企業の品質検査問題など不正が次々と明るみに出てきたが、昨日は不正問題でもこの日産自動車のカルロス・ゴーン会長が東京地検特捜部に金融商品取引法違反で任意同行されたとのショッキングなニュースが飛び込んできた。

この報を受けて欧州市場では仏ルノー株が一時15%安となるなどいち早く反応、明けた東京市場でも当の日産自動車が年初来安値を更新し約2年3ヵ月ぶりの安値に沈んだのをはじめ、同氏が会長を兼務する三菱自動車も大幅続落し10月の年初来安値まで指呼の間と迫り、他の関連銘柄も軒並み安の憂き目に遭った。

パンク寸前だった一昔前の日産をわずか数年で黒字転換、有利子負債完済とV字回復に導いた立役者だっただけに、同法の違反容疑適用に関してはいろいろと憶測も飛び交っているようだが、たしかにこれまでの所謂長年の統治の負の遺産とよくいわれるような大企業病のなかでも発覚した他の事件とは一寸毛色が違う。

しかし、自動車の三社連合も同氏の求心力で成り立っていた事でその前提が崩壊したとすれば今後の混乱次第では暗雲が漂うことになるが、いずれにせよこの一件でまたもや日本のコーポレートガバナンスは大丈夫なのかとの不安を外人投資家に与えてしまうことになるのは想像に難くないか。


ブランド売り彼是

先週末の日経紙企業面には「ゴディバ強気の1000億円」と題して、トルコ食品最大手ユルドゥズ・ホールディングが傘下であるあのチョコレートのゴディバの日本事業の売却手続きに入った旨の記事があった。この件は既に9月くらいから報じられていたが、その背景にはトルコリラの急落による債務圧縮のための切り売りと見られる。

そのブランドバリューから当初は15億?とも報じられていたのでディスカウント感が強いとはいえ、それでも1000億円規模の金額から国内菓子大手は早々に諦め結局三菱商事や投資ファンドが興味を示しているという。最近はウチの近所でもアランデュカスの店ル・ショコラがオープンするなど高級チョコ市場は成長性が見える事でここから狙う各社思惑が交錯しそうだ。

ところで有名ブランドの身売りといえばチョコレート以外でも最近では米マイケル・コースHDによる伊ヴェルサーチの買収報道もあった。余談だがこの買収報道の一カ月ほど前だったか日曜日に放映している「ゲゲゲの鬼太郎」で、砂かけババアが地上げ屋の着ていたジャッケットを「〜あの趣味の悪さはヴェルサーチ〜」と発言するシーンがありヤレヤレと思ったがほどなく身売り報道が出るとは驚きであった。

マイケル・コースといえば昨年はジミー・チューにも食指を動かしていたが、これと併せいよいよ高級化路線で活路を見出すということになる感じ。また14年にヴェルサーチを取得したブラックストーンなどこれでイグジット成功となる計算だが、斯様に投資ファンドもブランド買収の背後に常に見え隠れし虎視眈々と機を窺う動きが見られる。


ボージョレ・ヌーヴォー2018

さて、例年この時期恒例のフランス産ワイン新種であるボージョレ・ヌーヴォーが昨晩午前0時に解禁された。この近所の甘酒横丁の酒店では例年この日は深夜にこの一角だけが賑わう光景が定番となってきているが、平成最後となる今年もまた多くのワイン愛好家が集い同様の賑わいを見せていた。

このボジョレー・ヌーヴォー、昨年は販売量減少を背景に輸入量の減少が続いていると書いたが結局2017年実績は約582万本であった。確かにピークの2004年の約1252万本からはほぼ半減というところだが、依然として日本は2位のアメリカや3位のカナダを大きく引き離しダントツの1位をキープしている。

ボジョレー・ヌーヴォーに限らず近年のインスタ映えを狙ってボトルに趣向を凝らしたりするモノも増えてきたが、昨年に当欄でも取り上げたEPAが来年に発効するのを受け大手スーパーなどでは先行し欧州産ワインの値下げ機運が出ている。確かに近所のスーパーや百貨店などではここチリ産のワインなどがグンと増えてきたような気もしていたが、価格競争と共に消費者の注目も再度高まってゆくのかどうかこの辺が注目されるところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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