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ライオンズTOB

本日の株式市場は先週後半の急落に対する自律反発期待からの高寄りの動きもむなしく寄り後には早々に値を崩す展開となったが、そんな中で1,300万株もの成り行き買いを残して比例配分のストップ高で引け異彩を放っていたのが大京株であった。これは周知の通り先週末にオリックスが同社に対してTOBを実施すると発表しその価格にサヤ鞘寄せしたもの。

オリックスと一体化する事で住居と商業施設を一緒に開発するような案件で共同入札に動き易くなるなど相乗効果が見込めるというメリットも出て来るが、しかし大京株といえばバブル期には度々乱高下を演じ一頃は仕手株扱いの時期もあったものだが、そんな懐かしい一幕も時を経てTOBによって市場からまた一つ消えゆく。

さて、支援を背景に株式を大量保有するパターンは上記に限らずよくある光景だが、例えば伊藤忠商事による事前予告無しのデサント株買い増しなど周りがザワつき始めたケースも出て来た。7月以降3回にわたって買い増しをはかっている模様だが、特別決議を単独で退けられる拒否権を持てるまでもう指呼の間というところで、元々は長年協力してきた関係だがこちらはどういった幕引きになるのかこちらも注目が怠れない。


暗闇需要

さて、今週は某スポーツクラブまで迎えに出向いた際に入口で「暗闇WORKOUT START!」なるポスターを見掛けたが、これで思い出したのが先週末の日経紙夕刊で「クラブ感覚 暗闇で体改造」と題し、照明を落としたスタジオで大音量の音楽に合せて体を動かすフィットネスやボクシング、バイクなどが人気になっている旨の記事か。

総じて他人の視線を感じずに気分が開放的になれ、自分に集中できる等々という点が人気の背景のようだが、他に音楽体験イベントはじめ変わり種が続々登場とまさに暗闇ブームだ。また暗闇といえば上記の通り体を動かすものに限らずレストランなどは数年前から人気を博しており、メジャーどころでも東京ディズニーランドホテルでもここ数年アイマスクをしてコース料理を楽しむダイニングなど展開している。

五感のうち視覚を遮ることで他が研ぎ澄まされる感覚を楽しむものだが、飽和状態といわれた市場においてもアイデアを絞りつつそろそろ次のステージへと移ってきており、その伸びしろからまだまだこれからも既成概念を壊した新手のモノが台頭してくるのは想像に難くないか。


余震継続

昨日は不気味に下げ幅を拡大させながら急反落を演じた日経平均だが、本日の日経平均は上海総合指数を睨みながら高下した末に反発となった。昨日もそうだがこのところ日経平均はボラタイルな展開になってきており、本日の日経紙にも「日本株、振れ幅激しく」と題しこうした現象が顕著になってきている旨が書かれていた。

当欄では先週初めに「VIXの余震」と題して、リスク・パリティ型ファンドの売りなど需給上の要因からショック安も増幅されている側面も最近では顕著になってきており、世界的な株安連鎖の後ではVIXの余震がどの程度まで続くかと末尾で書いておいたが、同指数も依然として節目の20を挟んでの往来を演じている。

また日経平均も予想変動率を示すところの日経平均VIが前日比で2割ほど上昇したのをはじめとして、香港市場のハンセンボラティリティ指数も急伸するなどなどアジア主要市場も増幅装置がピリピリとした動きとなっているが、サウジアラビアを巡る地政学リスクがまたぞろ台頭し余震に身構える動きはまだしばらく終わりそうにもないか。


構想再び

本日の日経紙総合面には「総合取引所へ統合検討」と題して、東京証券取引所を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)と商品先物を手掛ける東京商品取引所が、株式などの金融商品と商品先物を一つの取引所で売買出来る総合取引所の実現を目指して統合に向けた検討に入る旨が出ていた。

ちょうど今年は株価指数先物が取引を開始してから30年の節目にもあたるが、デリバティブの売買高といえば大阪取引所は17年度で世界16位にとどまるなど依然冴えない展開が続く。近年は主要取引所の成長事業の位置付けとしてはコモディティーがキーとなっており、アジアでは香港取引所が買収したLMEなど貿易戦争の追い風で取引が活況と復活を遂げつつある。

しかしこの総合取引所構想、これまで何度この言葉を耳にした事だろうか?本邦で実現が遅々として叶わないのはつまるところ縦割り行政の弊害というところなのだろうが、4年くらい前には創設がかなわぬ場合には議員立法云々の発言が出た経緯もあり、税制改正等とも併せいよいよ機運が熟したというか両取引所トップが今週中にも大阪で会談する模様だが、今度こそ具現化するのか否か今後の段取り等含め注目が怠れない。


上場から1年半

さて、先週は「ザラバ化の流れ」として大阪堂島商品取引所のコメ先物取引においてザラバ取引が始まった件を取り上げたが、東の東京商品取引所では白金スポット取引で先物価格を基に算定した理論値を大きく上回るという異例の高値がついている旨の記事を先週の日経紙で見掛けた。

この白金スポット取引、導入時には金に対する下鞘恒常化を背景にしタイミングよく建玉の規模を拡大させていったものだったが、今年に入ってからは売買高減少と共に個人のロングエントリー偏重が裏目に出たようだ。構造上日常の裁定が効き難い分理論値に回帰し辛い部分もあり見直しも課題に上ってくるか。

貴金属といえば一方で金は先週末の同紙商品面で「金、くすぶる先高感」と題し、持続的な米利上げを背景に売り越しを拡大させていた金市場が世界景気の変調による株安やサウジアラビアと米国の関係も緊迫し地政学リスクが台頭した事でカバーが入り易い素地になってきている旨が出ていた。

1,200ドル回復後は先週も週を通じ底堅い動きを継続させていたが、同紙では10月に入ってからハンガリーが金をそれまでの10倍の31.5トンに積み増すなど中央銀行も水面下では金を購入する動きが広がっている旨が書いてあり、今後の見えないリスクの顕在化に合せたリスク回避の動きが強まるようだとまた一段と弾みがつく可能性がある。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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