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1兆円大台突破

この時期は旬のフルーツなどふるさと納税の案内が喧しいが、先週に総務省が発表したふるさと納税の23年度寄付額は前年度比16%増と4年続けて過去最高を記録し、その寄付額は1兆1175億円と初めて1兆円の大台を突破している。2008年の制度開始から実に140倍にもなった計算になるが、ふるさと納税をした人の数も初めて1000万人を超え住民税を支払っている向きの6人に1人が制度を利用していることになる。

仲介サイトによるポイント付与や昨今の物価高による節約志向などで利用が伸びたことが背景になっているが、このポイントを巡っては先に総務省が利用者にポイントを付与する仲介サイトを使って自治体が寄付を募ることを来年の10月以降は禁止すると発表したことが物議を醸し出している。楽天Gなどはこれに早速反応し、ポイント付与禁止の撤回を求めるオンライン署名のメールが私のところにも届いた。

この発表が為された時は大規模なポイント還元を打ち出している仲介サイト運営会社の株価が下落し、反対にポイント還元を打ち出していない仲介サイト親会社の株価が上昇する光景も見られた。確かに何処も返礼品で差が付きづらくなってきた状況にあって、ポイント付与がユーザーから選ばれる理由の一つとなっていた部分もありポイント還元競争めいたところがあったのは否めないだろうが、ポイントの原資の詳細が不透明なのも事実だ。

しかし総務省も次から次へとアラ?を探しては矢継ぎ早に規制をしているが、これもいたちごっこだろうか。各自治体は独自のサイトで運営してもそこから入る寄付者は稀で殆どが仲介サイト経由なのは想像に難くなく、その存在は自治体にとっても重要なのは間違いの無いところ。ポイントにメスが入ったとなると上記の通り各社共に差異の無い状況に戻るワケで、今後は各社どういった差別化を図って来るかこの辺にまた注目してみたい。


ステルス系増殖

このところまるで新興国通貨を見ているような円の変動ぶりだが、今後食品価格への影響など出てくるのだろうか?ということで恒例の今月の値上げだが、帝国データバンクによれば主な食品メーカー195社における今月の飲食品値上げは642品目。これで8か月連続で前年同月を下回ることとなり、平均値上げ率は12%と今年に入ってから最も低い水準となった。

全食品分野で最も多かったのは「加工食品」で319品目、輸入小麦高騰を背景にニップンの小麦粉や昭和産業のホットケーキミックスなど製粉大手3社が粉製品など約230品目を値上げする。次いで「菓子」、引き続き原料となるカカオ豆の価格高騰を背景にロッテはコアラのマーチなど74品を値上げなどチョコレート製品の値上げが中心となる。

チョコレートといえば今年の3月にはカカオ豆先物価格がNY市場で銅価格を上回ったのが話題になったが、そういえば週明けの日経紙一面には「バイオ技術で代替食品」と題し明治HDがチョコレート原料のカカオを細胞培養しこれを使ったチョコレート風食品を米国で発売との記事が出ていた。これまでの食生活が数年後、数十年後も当たり前とは限らないことさえ考えさせられる記事だ。

ところで冒頭の平均値上げ率に見られる通り、最近では値上げ後の商品の買い控えなどが見えることで価格の引き上げから内容量減量などの所謂ステルス系も目立ち始めている。昨日発表された実質賃金は前年同月比1.1%増加で2年3か月ぶりのプラスとなるも、6月実質消費支出は前年同月比1.4%の減少と2か月連続で減少となった。収入増でも物価高から節約する動きが続いており、値上げの勢いは更に後退してくるかどうか注視したいところ。


争奪戦突入

昨日も書いたところの日銀による政策金利の追加利上げ決定を踏まえ、メガバンク勢は普通預金の金利を現在の年0.02%から5倍の0.1%へ引き上げることを発表、これに追随する形で大手地銀なども軒並みこれに倣い始めている。彼らが待ち望んだ金利の上昇は教科書的に銀行のビジネスにとって追い風となり、預金の獲得狙いが自ずと進むこととなる。

またネット銀行の一部でも普通預金金利を更に上乗せする動きも出てきたが、このネット銀行も主要行の預金残高合計は30兆円超えとコロナ前と比較し2倍以上に増えてきておりメガバンクや地銀もうかうかしていられない状況だ。コストのかかるリアル店舗を持たない優位性と独自の経済圏の強みもあり、今後の預金緒奪い合い?などが大いに注目されるところか。

ところで斯様に日銀の利上げによりセクター別で有望視された銀行株は昨日も書いた通りで、三井住友フィナンシャルグループのストップ安をはじめ新NISAの個別株購入で第2位の人気株であった三菱UFJフィナンシャルグループも急落し今年の上げ幅を全て帳消しにする往って来いで株価は大発会水準に戻る憂き目に遭っている。足元での日米長期金利の急低下や米景気後退で日本企業の資金需要に陰りとの見方だが、こちらもここからの仕切り直しでどう軌跡を描くのか目が離せない。


緩和トレード逆回転

先に日銀は政策金利を0.25%程度に引き上げる追加利上げを決めたが、この決定から米景気の先行き警戒感も相俟って市場はボラティリティの波で大荒れとなっている。所謂インフレトレードの逆回転が一気に表面化しドル円相場は約7か月ぶりの141円台へと一気に上昇、本日の日経平均に至っては前週末比4451円安と実にあのブラックマンデーの時の下落幅を超え過去最大を記録した。

先物市場では日経平均が英ブレグジット以来、TOPIXは東日本大震災以来のサーキットブレーカーが発動される事態になったが、こうなると225オプション市場など非常に熱い。プットなど24000円や25000円の行使価格はそのディープアウトさから先週の日経平均1000円安でもその値は1~3円と反応乏しかったが、当限の250プットなど先週末の終値3円から本日はザラバ600円と200倍の大化け、同じく当限の240プットは先週末の終値2円が本日のザラバで480とこちらは実に240倍になっている。

個別では多くの企業が堅めに置いた2025年3月期の想定為替レートをあっという間に割り込む円高で主力の輸出企業株が売られるのはもっともな流れだとしても、円建て債で運用しているバークシャーの戦略見直し観測から伊藤忠商事がストップ安の暴落、またここから日銀の追加利上げが見込まれるなかにあって早くも資金調達需要の変調を見越しメガバンクの三井住友銀行もストップ安まで暴落する光景をもう終わりだと見るのかチャンスと捉えるのか?

つい最近には「新NISA」の個人購入額が旧NISA時代の上半期実績の約4倍にもなる7.5兆円を超え、その内訳は約4割が日本の個別株に流入と報じられていたが、その中でもベストスリーに入る人気を誇っていたJTもまた本日はストップ安まで暴落する展開に。新NISAの高らかな掛け声で一斉に大挙した彼らはこの度の急落をどう見ているかだが、いずれにせよリスクこそがリターンの源泉、個人的にはなかなか見られない荒れ相場にワクワクしながら臨みたい。


花火大会変遷

さて夏の風物詩である花火大会の季節だが、先の足立花火大会は実に開始20分前に中止の憂き目に遭ったものの、その後の葛飾納涼花火大会や先週行われた隅田川花火大会は不安定な天候ながらもなんとか開催の運びとなった。ところで花火大会といえば今年に中止となった花火大会は22か所に上り、規模が縮小された花火大会もあったという。

昨年の当欄では「物価高が叫ばれるなか人件費や花火の購入経費等が軒並み上昇したことを背景に従来設けていた荒天時の順延日が軒並み廃止されている。」と書いていたが、コロナ前と比較すると1.8倍にもなった花火(火薬)価格や、警備費を含む人件費や準備にかかる様々な費用の高騰化により今年は更にこれらの動きが顕著化してきているという感じか。

とはいえこれまで続いてきた風物詩はなんとか守りたいとこれに対応すべく動きも活発化しており、冒頭の隅田川花火大会や葛飾納涼花火大会でも市民協賛や船舶の標旗販売等を行っているが、帝国データバンク調べでは今年に国内で開催される主要な花火大会のうち約7割となる79の大会がこうして観覧エリアに有料席を導入しているという。

また支援の輪は企業にも広がっており、キリンビールでは新商品の売り上げの一部を活用し全国の花火大会を支援、花火を打ち上げる為の資材・人出・会場の設営などに支援金を充て減少傾向の花火大会を守り未来につなげてゆきたい考えという。今月は来週末に神宮外苑花火大会が控えるが、これまで毎年当たり前に見られると思った夏の風物詩もこの物価高を背景に今後存続をかけどう形態が変わってゆくのか注目してゆきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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