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大株主になった鯨

先週末の日経紙一面を飾っていたのは「日銀、株買い一辺倒」と題して、日銀が異次元緩和の一環でETF買い入れ金額を倍増させてから1年の間に保有残高が推定17兆円を突破、昨年の今頃にも言われていた事だが上場企業の実に4社に1社で日銀が安定大株主になった旨であった。

これまで日銀がETF買い入れで主力銘柄を吸い上げてきた旨は何度も当欄で取り上げており、その弊害としてこれら高寄与度銘柄の浮動玉浚いで板は薄くなり個別で相対的な高PER現象、そして日経平均にしても2,000〜3,000円程度嵩上げされているという試算がいわれている。

また大株主にまで至ったことでコーポレートガバナンスへの影響も無視できない問題になりつつあるが、斯様な歪みを意識してか昨年秋にはTOPIX型ETF買い入れ割合を7割増へとルール変更したものの6兆円に増額したここまでの過程の歪みを是正するまでには至っていない。

今月アタマには「どうなる出口」と題して末尾で米のようなイグジットに持ってゆけるかどうかまさに道中なだけに未知数と買いたが、限りのある流通株だけに何所までこの政策を続けられるのか目先ではまだ買い入れ政策の続行が可能なだけにこの辺に対する危機感もまだ道中である。


国策企業の裁き

さて東芝の命運を決めると言っても過言ではない半導体メモリー子会社の売却では日米韓連合が優先的に交渉する方向で検討に入ったが、来週に開催する定時株主総会で3月期末決算報告は見送り有報提出も法定期限である月末より先送りする事が報じられているが、東証は提出を待たずに市場を1部から2部に変更する可能性もあるという。

シャープ等はこのパターンであったが、ちなみにこちらは鴻海による復活劇で今月末か来月にも2部市場から第1部への変更を申請する予定。それは兎も角、2部移行云々以前に有報を受け上場を維持出来るかどうかが焦点で、この辺は東証の匙加減という事になるがこと上場廃止基準の曖昧さは一般には到底解り得ない。

それでも投資ファンド大量保有の経緯やら直近まで株主が5回も入れ替わるが如く売買回転率が5割に迫り株価の方は2月安値からはほぼ倍化、社債は大きくは動いておらず鉄火場にして不気味な冷静さも保つ妙な構図になっている。とはいえ審査長期化ともなればやはり国策企業への忖度かと云ううがった見方も台頭してくるのは想像に難くなく東証もこの辺をどう裁くか思案のしどころではあるか。


HYIPの罠

さて、昨晩たまたま見たWBSでは「超高配当うたう投資商品 トラブル続出その実態は?」と題し、オンラインサイト等で1日2%、年率730%といった超高配当を謳うHYIP(高配当投資プログラム)詐欺が横行しておりその実態を調査した旨がニュースになっていた。

番組の中で投資トラブルに詳しい弁護士が、1日2%の超高配当というこれまでの詐欺商法に比較して率が上がっているぶん破綻までの期間が短期化してきている事が特徴と述べていたが、確かに過去世間を騒がせた安愚楽牧場やMRIなどは、いかにもマトモな物で上手く行けばありそうな配当推移で比較的長期間をやりくりしてきたモノであった。

この手のHYIPの多くが今が旬のビットコインに投資や決済と若年層が入り易い素地があり10代20代の一部学生でもHYIPが何たるかを解っていた模様だが、他人の勧誘でボーナスポイント付与を謳うなど二次的な損害賠償の芽もあるだけに幅広い層がリテラシーを身につける事が望まれるか。


関連株も大化け

本日の日経平均は再度年初来高値を更新し大幅高に終ったが、こうした東証一部市場への資金流出からマザーズ市場などは逆に6日ぶりに反落となっていた。同ポストの中でもつい昨日に続急伸から年初来高値を更新していたリミックスポイントも本日は一服となっていたが、この株も5月から実に9倍以上になっているから恐るべしな大化けである。

当然乍ら旬な材料の背景なしにこの大化けも有り得ないというものだが、周知の通り同社は子会社がビットコインの取引所を運営する仮想通貨関連銘柄。今月初旬には17年3月末時点で同社株を保有する株主に、1単元あたり10円相当のビットコインを配布するというユニークな株主優待も発表している。

ビットコインの恩恵でココまで暴騰劇を演じてきたが、同社は子会社のビットポイントがちょうど一週間前の当欄でも取り上げていた2015年にリリースされた時価総額2位の仮想通貨イーサリアムも8月から取り扱い開始の予定と報じている。同通貨は一部で取引完了までの時間がビットコインより短く利便性が高いとも言われており今後これらを何所まで織り込んでくるか注目される。


漢方上場来高値

さて、先週末の日経紙マーケット面の銘柄診断では連日の上場来高値を更新という事で医療用漢方大手のツムラが取り上げられていた。モルスタが出したリポートが好感されているのが背景にあるようだが、週明けの本日も前場には急反発し再度上場来高値を更新と今週も順調にこれを塗り替えてきている。

漢方といえばついこの間だが知人の医師と時間があったので一寸話し込んだのだが、幾つかの生薬の価格高騰が著しくまたモノによっては原料調達が困難になった事による販売中止の影響もあって彼女がこれまで処方していたブレンドが出来なくなってしまったモノもあるというのを聞いた。

斯様な事情でツムラは、先月だったか東北で国産化を拡大するなど生産地を分散して天候や価格変動のリスクに備え安定供給を目指す旨の報道が見られたが、その後にも養命酒製造が主力商品の原料となる生薬の国内生産を増やし、早ければ3年以内に輸入品の一部を国産に切替えるという同様の報がなされていた。

以前に取り上げたコメの生産減から新たな収益源として生薬の栽培に関心を示す農家もありこの辺のマッチングもありそうだが、漢方薬市場はここ10年間で4割増えたとの日経紙報道も見たが、上記の需要超過で原料調達が困難になるなどはこれの一部表れでこれを見るに消費者の自然志向も加速度的に高まってきているといってもいいだろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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