305ページ目

消えゆく白紙委任状

さて先の日曜日の日経紙総合面には「株持ち合い縮小10%割れ」と題して、上場企業が取引関係の維持等を目的に保有する持ち合い株を減らす動きが加速し、野村証調べでは2016年度末の保有比率が9.9%と初めて10%の大台を割った旨が書かれていた。

この持ち合い解消だが、直近では支持率急落の憂き目に遭っている安倍政権の隠れた成長戦略のターゲットでもある。日本企業にガバナンスを効かせようとした場合にやはり障壁となるのが株の持ち合いで、こうした関係の中心の存在となってきた銀行もここ近年は積極的に株の売却を加速してきているのが現状か。

斯様な事情を背景に一昨年からコーポレートガバナンス・コード適用も始動した事で漸くというか岩盤であった10%の牙城が崩壊、先の株主総会でも物言う株主の提案が8年ぶりに承認されるなどスチュワードシップ・コード効果も出てきておりWコードの動きが今後も目に見える形で加速しそうだ。


乳製品黒船

さて、今週のはじめには大商いを伴って彼方此方で急騰しているビットコイン関連株を取り上げたが、それとは対照的に軟調推移であったのが食品ポストか。この辺の背景はいわずもがな日本政府とEUがEPA締結で大筋合意となった事で安い輸入乳製品等の拡大で競争が激化するのではとの懸念が台頭した事か。

欧州産の乳製品が大量に入って来ることになると上記のような株価が気になる上場企業でなくともこれまで大半を供給してきた酪農家としても戦々恐々ということになるが、乳価の行方等この辺は未知数だ。逆に日本からは自動車関税が撤廃される方向になったが、先行している韓国勢等と競争条件が同一となる事で攻勢の好機となり得るかどうかが注目される。

またこのEPA締結で地理的表示を認め伝統的な食品産地ブランドを互いに保護する事になるが、神戸ビーフや但馬牛など始め粗悪な偽造品が出回っているモノにとっては朗報か。とはいえこれまで一部商品名として定着してしまっているイタリア特産モノを冠した商品名やメニュー等の使用が出来なくなる事も考えられるが、この辺についてはまた後述したい。


本上場の審判

さて昨日は東京商品取引の限日取引が建玉増に寄与している旨を少し取り上げたが商品取引といえば昨日はもう一つ、西の大阪堂島商品取引所が約6年にわたり試験上場してきたコメ先物の本上場への移行を8月7日の期限を前に臨時総会で申請議案を全会一致で可決、同日夕に農水省に申請している。

コメ上場に関して再延期を控え東証一部上場のヤマタネやジャスダック上場の木徳神糧等の大手が大阪堂島商品取引所の会員資格を取得、最近もジャスダック上場のフジオフードシステムも入り、また銘柄も新潟コシヒカリという屈指のブランドによるテコ入れ策が奏功し売買高も増えてきている。

当欄でコメ先物について触れたのはちょうど2年前の試験上場期間延長申請の時であったが、もうその2年が経過と時の流れの早さを感じる。過去を遡ってもこれ以上の延長事例が無い事から実質的にこの商品のラストチャンスとなるが、さてその悲願の審判はどう下されるのか先ずは注目したい。


限日商品の寄与度

本日の日経紙商品面には「東商取、建玉半年で5%増」と題して、昨日の東京商品取引所の
建玉が56万7千枚と昨年比で5%増加、2014年春の比較でも約2倍に増えるなど回復傾向にある一方で、売買高が1〜6月に2割減るなど低迷している旨が載っていた。

この建玉増の背景にあるのが東京ゴールドスポットや、今年3月に上場したプラチナスポットといった限日取引の商品比率の高まりといい、この2商品とETNとも絡む原油取引含めた3商品で東商取全体に占める建玉比率は実に6割に達する。既に金の方は先行しているが、プラチナスポットも約3ヵ月で建玉が標準の8割を超えるなどその規模は拡大している。

こうした一方で冒頭の売買高低迷に関して取引所側としては「TOCOMリアルトレードコンテスト」等を通じて個人の先物取引への理解を深めてゆく方針のようだが、プラチナスポットは金に対する下鞘恒常化を背景にタイミングよく長期目的の投資資金を誘致し参加者多様化に一役買った部分は大きいといえるか。


大化けの裏で

さて、先週末に本日売買分から委託保証金率70%以上(うち現金40%以上)とする等の信用取引に関する臨時措置が入ったトレイダーズHDだが、本日もこれらの諸規制をものともせずに続伸して年初来高値を更新するなどビットコイン関連が依然として大商いを集めている。

ビットコイン関連株に関しては、先月も当欄で子会社がビットコイン取引所を運営するリミックスポイントが1ヵ月そこそこで9倍以上にも大化けした旨を取り上げたが、ブロックチェーン推進協会の事務局を務めるインフォテリアも同協会が新仮想通貨を発表するとの報に先週は年初来高値を更新、こちらも3ヵ月そこそこで株価が約3倍に大化けしている。

このインフォテリアはマザーズで出来高ランキング2位、冒頭のトレイダーズHDはジャスダック全体で1位と市場を席巻しているが、こんなビットコイン関連株活況の裏で仮想通貨の匿名性を悪用化した事例も進化してきておりこれらが同時並行的に動いている構図。世界最大だったビットコイン取引所が破綻した事件もあれからはや2年が経過するが、明日はこれの初公判である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

8

1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31