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また一つ市場から

先週の当欄では「さが美」や「雪国まいたけ」とそれらに絡む投資ファンドを一寸取り上げていたが、週末に入ってきたニュースには東証一部上場のアデランスが現経営陣と投資ファンドのインテグラルと組みMBO(経営陣による買収)に踏み切るとの発表があった。

TOBは本日から来月末まで実施されるがそのTOB価格が1株あたり620円と週末の終値480円から29%高の水準という事もあって、週明けのマーケットで株価はTOB価格に鞘寄せする形でストップ高に張り付き、引け後には比例配分狙いから成り行き3,000万株以上の買い物を残している。

さて、アデランスといえばかつてユシロ化学やソトー、ブルドックソース等々でもひと悶着あった米スティール・パートナーズとの対立で09年の委任状争奪戦が記憶に新しいが、同じくMBO提案の経緯がある当のスティール・パートナーズも結局14年までに現物渡し含めたイグジットを完了し撤退している。

そんな経緯を経て株価が今後の経営の足枷にならぬが為のMBOだが、東証一部市場に上場する企業数が年内にも初めて2,000社の大台を超える可能性が高まっているとの観測の裏でこうして冒頭の雪国まいたけ同様に東証一部からまたひとつ銘柄が消えることになる。


白と黒のダイヤモンド

さて、一週間ほど前の日経紙・春秋には密漁で大きな利益が上がる事から、ナマコは「黒いダイヤ」、ウナギの稚魚のシラスは「白いダイヤ」と呼ばれている旨が書いてあったが、同じ食材でもこの時期「黒いダイヤ」といえばやはり世界三大珍味の一つトリュフだろうか?ちなみに旬の短い白は勿論「白いダイヤ」である。

菌茸類といえばこの時期彼方此方の店頭では松茸が誇らしげに鎮座している光景を多く目にするようになり、最近ではカナダ産やブータン産が出てきて国産より随分と安価で流通するようになったが、これらよろしくこのトリュフも一部安価な中国産等が台頭するも松茸と共に人工栽培はほぼ不可能とされる。

ところでかつては人工栽培が不可能なキノコとされた舞茸は、雪国まいたけの創設者による技術確立でこれが可能になったとされている。斯様に長年培ってきたお家芸の技術で今後は松茸やトリュフ等もしかしたらとの期待もかかるが、余談ながらそんな会社も内紛のゴタゴタを経て昨年には米投資ファンドの手に渡り市場からは姿を消している。昨日記の通り、さが美を巡る投資ファンド争奪戦に終止符が打たれた事でふとこんな事を思い出してしまった次第だ。


フィンテックとかTOBとか

本日の日経紙一面には「通貨と同じ位置づけに」と題して、財務省と金融庁がビットコイン等の仮想通貨を買う時にかかる消費税を2017年春をメドになくす調整に入り、仮想通貨をモノやサービスだけでなく支払い手段として明確に位置づけるという旨が書かれていた。

この報道によって本日の冴えない日経平均の中でもロックオンの急伸を始めとして、セレスやGMOメディア等の仮想通貨・フィンテック関連銘柄が再度動意づく展開となっていたが、5月の仮想通貨取引所を登録制とする改正資金決済法が成立しメガバンクも活路を模索し始めている動きのなか利用者増加へ一段と弾みがついてくるか注目。

一方でズルズルと本日も続落し値下がりランキングに入ってきたモノにさが美があったが、これは争奪戦の結果が結局当初のアスパラントグループに落ち着いた事によるもの。二度のTOB価格引き上げも最後は「拒否理由に同意できないが、しかたがない」とニューホライズンもあっけない幕引きであったが今回も内輪の論理優先だったのかどうか気になるところ。


低倍率恒常化

連休明けの日経平均は原油先物上昇を好感し約1ヵ月ぶりに17,000円大台を回復、ショートしている向きは一寸分が悪くなってきたが、先週末の日経紙マーケット面では「貸借倍率4年ぶり低水準」と題し7日時点の貸借倍率が1.04倍と約4年ぶりの低水準となった旨が出ていた。周知の通り貸借倍率はマル信を利用する個人の心理の動向を示す指標の一つであるが、こうした低下傾向がこのところ恒常的になってきている。

ところでこうした低倍率といえば、先の権利付き売買日最終に逆日歩の付く銘柄は646銘柄と2009年47月2日の652銘柄以来およそ7年6ヶ月ぶりの高水準となったが、いまだにやる向きがあるマル信のクロス商いで権利落ち後をしのぐ動きから貸し株が不足したと思われるが、これを跨いで月替り後もなお高水準なのは3月期末の時に見られた光景と同様でもある。

こうした傾向の背景には米大統領選挙や利上げを巡る思惑など外部要因が絡み相場の先行きに対する不透明感が色濃く表れているというのがあるが、もう一つ日銀によるETF買いによって相場が高止まりし個別もなかなかケツ入れの機会を逸しているという内部要因も指摘されており、今後日歩の変化等見ながら一旦解れる場面があるのか否か注目してゆきたい。


池坊2016

ハロウィーンが近いのでこのところ彼方此方でカボチャの出現率が高くなっているが、過日観てきた「池坊展」でも皐月展と時期も違うという事でハロウィンチックな作品も多く見られた。同展はここ暫くご無沙汰していたので一寸久し振りであったものの、「新風のきざし」をテーマに約450名の作品は何れも圧巻であった。

東京都美術館でやっていた頃に見たアンスリウムやストレリチアなどに竹や椿を組合せた斬新さに感動したものだったが、今回も上記アンスリウムにせいばんもろこしや満天星つつじを合せたりとこの辺の技は相変わらず。斬新といえば飲料ボトルに挿した花をフィルムで包んだモノが前回見られたが、これまた今年も国旗プレートやエンゼルヘアを花に絡ませたモノもありこの辺の創造は止まる事が無い。

また、花の種類も生け花では想像もつかないエアープランツを用いたり、通常は葉を多用するところで花の方はなかなか見ないオクロレウカ、これまたなかなか目にする事が無いブラックキャットなど珍しい花が見られるのも楽しい。ところで家元クラスの大作は毎度の事ながら感動ものだが、学生コーナーに見られた小学生の作品も立派なモノ多数で将来が本当に楽しみというものである。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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