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消えゆく定番

さて、GWも終わり小学校等ではそろそろ運動会のリレー走者を選出するような動きが学校によっては始まっているが、運動会といえば先週末の日経プラスワンのくらし物語りには「東京五輪で定着「秋の運動会」今は昔」と題し、運動会定番の季節である秋から開催時期を発に移す学校が増えている旨の記事も見掛けた。

背景には都市部での中学受験増加や、近年の地球温暖化の影響で秋口の残暑が厳しくなり熱中症予防の観点等もあるという。また競技内容も騎馬戦や組体操などに代表される「見せ場演目」が、子どもの体力が落ちている事を背景に危険な種目とされて廃止や縮小の傾向も出てきているともいう。

この辺に関しては当欄でもちょうど昨年の6月に一度取り上げた事があったが、その時に近年の児童がこれらに対応出来ないほど身体が付いてこれなくなったのかと書いたのがどうやら現実問題として捉えられているようだ。そういえば最近もプールの飛び込みの是非を問う論議が喧しい。

体力低下といえば、今では文具店でも小学生向けの鉛筆のセットは(2B)が標準だが、この柔らかさは近年の子どもの筆圧低下に合せたもの。鉛筆は(HB)という向きは大体年がバレてしまうというものだが、それは兎も角も体力低下が過保護政策を助長させたのかはたまたその逆なのか、何れにせよ体力の二極化が進行するなか淡々と消えゆくものの多さに懸念を感じざるを得ない。


複合体企業の布石

昨日の日経紙総合面には「富裕層の購買力拡大続く」と題して、世界最大のブランドビジネス企業、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン会長のインタビューがあり、保護主義台頭にお懸念を抱きつつもブランド商品への欲望は枯渇する事なく、長期的には富裕層の購買力は拡大し続けるとの旨が書いてあった。

LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンといえば一週間ほど前に、オーナー家のグループ会社が現在出資しているクリスチャン・ディオールを完全子会社にすると発表している。取得価格にプレミアムを乗せた事を好感し当日のクリスチャン・ディオールの株価は11.1%高と過去最高値を更新、LVMHの株価も3.9%高のあと翌日も続伸し揃って過去最高値を更新していた。

これに刺激されてか同業のケリングも10%近くの上昇を見せ過去最高値を更新していたが、
昨年秋口に当欄で何度か取り上げたリシュモンも含めてこれらブランドビジネス企業は買収を重ねてきた複合企業体である。これまで創業家の意向が絡んだ問題が表面化した事もあったが、爆買いの反動の冷え込みで上記のリシュモンが先行して値下げに踏み切るなど競争も激しくなっている。

当然ながらLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンの今回の件も激しい競争を勝ち抜く為の布石だろうが、看板主力ブランドの値下げ政策は取らずこの辺は複合企業体でもそのカラーは違うところ。ただ日本市場の魅力というか有効性に関しては各社一致しているところで、どう次の一手を打って来るのかこの辺に注目しておきたい。


デリバティブ市場混戦模様

さて、一昨日の日経紙金融経済面には「世界の証取 デリバティブ覇権競う」と題して、米先物取引業協会が纏めた最新データで先物やオプション等デリバティブの昨年の世界の売買高は252億枚と前年比で2%増え、11年以来5年ぶりに過去最高を更新した旨が出ていた。

ところでデリバティブといえば強みを持っているのが米ICEあたりだが、ココは英ロンドン証取傘下のLCHクリアネットの牙城を崩せず来ている事で、破談色濃厚となってしまったドイツ証取との合併話を逆手に取って食指を動かしてくる可能性もあるが、かつてはICEが呑み込んだNYSEユーロネクストもこのドイツ証取とも破談歴があるなどややこしい。

この時は欧州委員会の壁が立ちはだかったのだが、上記のロンドン証券とドイツ証取の現状もまた規制当局であるところの欧州委員会がネックとなっている。ともあれ取引所の国際的な競争力が激しくなるなかでアジア勢はどう動くかだが、当然ながらこれまたデリバティブに活路を見出してゆく以外ない。

現状日本取引所傘下でデリバティブ市場を運営する大阪取引所の昨年のデリバティブ売買高ランキングは17位と発足当時から次第にランクを下げてきている。この背景はやはり監督官庁の壁に阻まれ総合取引所の実現が遅々として進んでいないのが大きい部分だが、先ずはこの辺の世界標準を見据え本邦市場の改革は焦眉の急である。


下方硬直性

本日発表される米税制改革案への期待持続からリスク選好的なドル買いが継続、1ドル111円台に軟化した円相場を受けて本日もTOCOMでは金相場がしっかりの展開となっていたが、昨日の日経紙商品面にも「金に資金流入続く」と題しCFTC発表の18日時点の投機筋買い越し幅が5ヶ月ぶり高水準となるなど資金流入が継続している旨が載っていた。

ルペンリスクと警戒されていた23日投開票の仏大統領選では果たして欧州リスクが増幅する最悪のシナリオが避けられたものの、燻り続ける地政学リスクや米国の金融政策にも不透明感が漂い目先の雲が晴れてもその下げ幅が限られるなど下方硬直性が定着化しつつある。

こうした背景もあって今月に入って金とプラチナの価格差も昨年末から約3割、更に100ドル以上も拡大しているが、これまでにない長期逆鞘現象とされる時期もあったが恒常化を経てこの鞘もすっかり馴染み固定化されつつある。リーマンショック時に効いた裁定が通用しなくなったのは株の個別でも多々あるが、既にアノマリーそのものが崩れている証左だろうか。


HFT界再編

本日の日経紙金融経済面には「超高速取引 淘汰の波」と題して、HFT(金融商品を高速で売買するハイ・フリークエンシー・トレード)大手の米バーチュ・フィナンシャルが同業のKCGホールディングスを買収する事で合意した旨が載っていた。システム開発の負担等が重く収益性維持には再編が避けて通れなくなってきたという。

バーチュといえば上場申請目論見書にて1238日間で損失を出したのがたった1日だけだったと謳い、5年で勝率99.9%という運用成績と併せて顰蹙を買った経緯があるが、赤字に転落したKCGホールディングスのみならず同社も16年12月期は上場後初の減収減益に陥り純利益は2割減となっている。

冒頭のシステム開発負担もさることながら取引低迷も大きな要因になっている。NY証取の売買高は一週間前に今年2番目の低水準、ナスダックに至っては今年最低を記録するなど盛り上がりに乏しく、注文と並行し収益機会も減少しているのは逆風。地政学リスクが燻るなか様子見姿勢が継続されるようであれば再編の波にさらされた業界も安穏とはしていられない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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