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ハイブランドの陰り

さて今月始めに「リシュモン先行」とし、カルティエがここ数カ月の為替変動を鑑みて平均で約10%の値下げに踏み切った旨を当欄で書いたが、これに続いて中旬からは先に終了したTBS系「せいせいするほど、愛してる」の舞台にもなったティファニーも約7年ぶりとなる値下げを行い、それから数日後にはボッテ・ガヴェネタも一部商品の価格引き下げに踏み切っている。

ところで、上記のティファーが約7年ぶりの値下げに踏み切った14日の欧州市場では、リシュモンの株価が8月迄5か月間の売上が13%減少との発表から3.9%の下落を見せ、同業のスウォッチ・グループまで連れ安となっていた。また、来年以降は年間売り上げ成長見通しを発表しないとした事を嫌気し、エルメスの株価も8.8%の大幅安をこの日は演じている。

エルメスの決定はリシュモンよろしくビジネス環境の先行き不透明感の裏返しともいえるが、来月もモンブランが平均で7〜8%の値下げを予定し、ヴァシュロン・コンスタンタンも値下げの予定など高級ブランドの値下げはまだ続く模様。インバウンド需要一服で国内高額消費にも陰りが見える中での相次ぐ値下げは決して円高のみが理由というワケではなさそうで各ブランドの匙加減が注目されよう。


SSとCGの形骸化

さて、先週末の日経紙社説には「型より実質が問われる東芝の統治改革」と題して、会計不祥事を起こした東芝がコーポレートガバナンス等の改善状況を東証に報告した旨が載っていた。おもえば2014年のスチュワードシップコードに続きコーポレートガバナンスコードも適用され1年以上が経過、今や多くの企業がコードの諸原則順守を心掛けている。

この二つのコード始動と時を同じくして暫く鳴りを潜めていた村上ファンドなどが久し振りに再活動をみせたのも記憶に新しいが、肝心の企業側が何所もこれを掲げIRに勤しんでいるもののそれらの順守に関する説明が当初から比べると横並びになってきている点は否めない感がする。

冒頭の東芝なども文中にあった通り、いち早く社外取締役が経営監視する体制に移行するなど統治改革の先頭集団を走る会社として市場から評価を得ていたものの、結果は粉飾発覚から特設注意市場ポストに入れられ一年以上経った今も出られぬ憂き目に遭っている。斯様に形骸化が目立つ昨今だが、一方で株価など正直にそれらを映す部分もありもう一度原点回帰で張りぼて構図の再考も求められようか。


ざる法ファンド

さて、本日発売の「週刊新潮」ではクエストキャピタルマネージメントなる都内の投資コンサルタント会社が、運用実態のないファンドに計113億円超の出資をさせていたとして運営会社社長らが逮捕された事件において、騙された向きに格付けチェック連勝記録の有名芸能人やジャスダック上場企業まで嵌められていた事が書かれていた。

証券取引等監視委員会によれば、同ファンドはいずれも適格機関投資家からの出資を受けておらず、当該取得勧誘は金商法に規定する特例業務要件を充足していないとされている。もともとベンチャー企業等への投資を活性化する狙いで金商法施行と同時に導入されるも、通常と異なり届け出だけで運用できるために問題業者等の割合が増加してきた経緯がある。

この辺を鑑み改正金商法では投資被害を防ぐ為に個人出資には1億円以上の金融資産を持つ事などを条件にしていたが、これが逆に災い上記のような客層も嵌められたという構図か。定期的に事件化し一向に無くならないこの手の案件だが、それもそのはず昨年金融庁に届け出のあったモノのうち問題業者と思われるモノは20%を超えるという。ざる法にならぬよう法整備は焦眉の急か。


取り敢えずプット

本日の日経紙マーケット面には「株 売る権利 取引活発」と題して重要日程を前に長期金利や為替の動きが不安定になり、株式市場では15,500円Pの売買高が今週に入って1日あたり平均で2,493枚と前週のほぼ2倍に膨らむなど株価の下落に備える動きが強まっている旨が載っていた。

ここではプットとコールの総建玉から算出したPCR(プット・コール・レシオ)が昨日は1.21と、4月以来約5ヶ月ぶりの弱気水準となった旨が出ていたが、週末の米VIX指数も前日比40%近い急騰を演じ週明けの日経VIも前日比17%超の上昇と6月のブレグジットの時以来の久し振りの動意のような気もする。

思えばこの時のオプション市場もディープアウトの11,000Pから13,000Pあたりまで何れもプットが寄りから10倍化を示現するなどしていた事で、この辺の覚えから需要も増してきたのだろうが、セルボラ一辺倒からこうした獲りに行くような内部のザワつきがしばしばみられるようになったのはやはり確証感の無い不安の裏返しなのか。


金連動

本日の日経紙商品面には「金の価格下落に備え」と題して、ニューヨーク市場で金相場が1,300ドルに下がると見込んで取引する10月物のプットオプションの持ち高が、前週末時点で7,886枚と1週間前より1,000枚近く増えるなど短期的な価格下落に備える動きが強まってきている旨が載っていた。

この背景には米の早期利上げ観測が再燃し金利を生まない資産である金の先安観が意識されているが、金を産出する鉱山会社のヘッジ目的の買いもあるという。先月あたりはこの金と円の連動性が強まっていたとの指摘もあったが、最近ではこの上値の重さに同じ貴金属のプラチナも連動しているとの指摘がある。

プラチナといえば工業需要が多いイメージだが先月「都市鉱山メダル」のタイトルで書いたように近年では未回収スクラップからの抽出技術も日進月歩で、金と共になかなか品薄感を煽る局面も見掛けなくなった。金に対して下鞘定着が久しいが恒例のストも一昨日がピークの感もあり上記と併せ暫くは下鞘恒常化が継続されるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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