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地銀ポスト

本日の日経紙マーケット面には「さまよう地銀マネー」と題して日銀のマイナス金利政策により債券投資で窮地に立たされる地銀が、ETFに加えて短期で高配当狙いの株式投資に活路を見出そうとしている旨が書かれていた。

地銀と言えば本日も東証一部に富山第一銀行のIPOがあったが、注目の初値は公開価格470円を6.4%上回る500円でスタートし、意外?に堅調な滑り出しとなった。パッシブファンド物色思惑もあるが、これ以外の地銀全般もメガ同様に先月はつるべ落としのような崩落の憂き目に遭っていただけに本日も全般堅調地合いとなっている。

確かにマイナス金利の重しが今後どの程度まで業績を侵食してゆくのか一概に大手各社のリポートも額面通りには受け取れない部分があるが、逆日歩も可也目立つようになってきた今の株価が一歩先迄完全に織り込んだのかどうか今暫くこの辺を見守りたいところ。


あれから五年

先週末で東日本大震災が発生してから丸5年が経過した。この日に合せ各地のイベントからテレビや各紙報道、広告等々震災追悼の人々の輪が広がったが、改めて各所の爪痕を見るにその当時が思い出され、各所での復興の進展が報じられる以上にその裏で取り戻せない喪失感もひしひしと伝わって来る。

日経紙一面では「この5年でこう変わった」として震災前後と現在の比較表が出ていたが、マーケットは株価が約2倍、為替も円相場が約5割の円安となった。今月の日経紙「私の履歴書」のアイリスオーヤマも被災地企業だが、この間に被災地に本社を置く企業の株価は9割弱が震災前を上回り中には5年で4倍になった薬王堂などの例もあった。

とはいえ被災地同様にこの3.11ショックで制御不能に陥り暴走したデリバティブマーケットなどがトリガーとなり、金融界では体力の無い企業パンク寸前の状態に陥り、当然ながら個人もそれまで安泰だったFXやオプションのセルボラ等の小銭稼ぎで再起不能な致命傷を負ったのは記憶に新しいところ。

渦中の東電もディフェンシブ優良株から一時は紙屑寸前まで売られいまだ終わる事の無い償いを背負い生かされている状態が続いているが、折しも週末には大津地裁の司法判断からの高浜原発の運転差し止めで関電も急落の憂き目に遭っていた。斯様に原発事故の処理も入り口に立っただけで先の見えない展開が続くが、昨年も書いた事だが原則を忘れず臨むことが肝要だ。


誘われる香り

さて、今週の日経紙では日本原産のミズナラ樽をはじめて使用したウイスキーの全面広告を見かけたが、このウイスキーといえば朝ドラ「マッサン」の影響もあってか海外では日本のウイスキーが恒常的に品薄状態になっている旨が以前からいわれており、希少ウイスキー需要はここ数年急激に高まっているという。

どこかで日本の年代モノのレアウイスキー価格を表しているという指数がここ数年で4倍近くまで急騰している旨の記事も見かけた事があったが、世界ベースでもレアウイスキーを指数化した物も過去一年で15%以上上昇し今年もそれが継続している模様。

ネットショップでは当該ウイスキーの一部が定価の数倍にも跳ね上がっていたのを確認したが、この機に乗じてウイスキー債を発行する向きも出てきている。これより先に香港で組成された世界初のウイスキーファンドは昨年夏の段階で30%を超える評価益を挙げたというが、ウイスキーの投資指数はリーマンショック時から2012年までの間に300%近くにもなっており成る程という感だ。

ところでウイスキーほどではないにしろ新興国需要の高まりで値段が高止まりしているモノにワインもあるが、今週初めには日本唯一のワイン投資ファンド運営会社を標榜していたヴァンネットが破綻した報が舞い込んできている。安愚楽ほどの規模ではないが一部には不安説が出ていた経緯がありこの手はやはり情報薄者には手出し無用だろうか。


官の影

さて、事実上最終入札となった先週の第二次入札実施を経て、今週何所が買収するのかが注目されていた東芝の医療機器子会社である東芝メディカルシステムズだが、午後の報道では応札していた三陣営のうち本日の日経紙一面でも有力視されていたキャノンが買収する見込みとなった模様だ。

この話題に関しては、ちょうど昨日某大手総合病院で医長をしている医師と話しをしていたのだが、入札以前から既に関係者の間ではキャノンの線がコンセンサスとなっていたらしい。一次入札を通過した物産とファンド陣営など二次を見送ったが、これまで一連の入札劇も既定路線というか背景には官の意向も色濃く働いていたという。

官の意向といえば、一頃民間を遮ってまで官民ファンドが受け皿になろうとしていたシャープもモラルハザードという世論を背景に偶発債務発覚などあるものの鴻海精密が一応悲願の買収契約を結んだが、官から見る両社には隔絶の隔たりというか全く異質のモノという。不祥事が霞む他のゴシップ記事が躍り、当局の対応もまたこの辺を色濃く反映しているともいえようか。


鞘の変化は基調の変化

本日の日経紙総合面には「資源価格に底入れ感」と題して、中国の財政出動による需要拡大期待の浮上や産油国の増産凍結を目指す動きが広がり、商品価格の動きを総合的に示すロイター・コアコモディティーCRB指数が約2ヶ月ぶりの高水準になるなどコモディティー全般の国際価格に底入れ感が広がっている旨が載っていた。

個別では鉄鉱石が約9ヵ月ぶり、原油は米国指標のWTIが約2ヵ月ぶり、銅は4ヵ月ぶりの高値を付けるなどしているが、特にこの原油は先月中旬にオプションマーケットで45ドルのコールのロングが3月物で1月末に比べて5割増に膨らむなど投資ファンドや需要家が反発を睨んでヘッジを掛けている旨が同紙で報じられていた。

此処までの戻りでこうした向きは思惑通りとなった訳だが、先物では「鞘の変化は基調の変化」なる言葉があり、コンタンゴでも微妙な変化を感じ追ってショートする気味の悪さを感じ取っていたのだろう。斯様な嵩上げで崩落していた資源株も内外問わず戻りに入っているが、こちらも比率の高かったモノのカバー一巡後が焦点といえようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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