377ページ目

鉄火場祭り

本日の日経平均は米株式の急反発にもかかわらず債券先物急落を嫌気して大幅続落、そんな地合いの中で全市場総合で値上がり率・出来高共に第一位となったのは昨日挙げたスカイマーク株で、昨日同様に1億株以上の出来高を集め50%以上の値上がりとなっていた。

とはいえこの株、パンクして整理銘柄に指定され昨日東証が値幅制限ルールを撤廃した為に一気に30円台にまで暴落して寄り付いており、まさに値幅というより率で勝負の所謂祭り銘柄。本日も昨日の16円安値から前場は2倍以上となる32円まで化けるなど相変わらず祭りに参加するホットマネーは健在である。

しかし昨日ストップ高で買い物を残したオンキョーやsantecなど本日は揃って値下がりランキング4位と5位に顔を出すなど資金の逃げ足は速く、この辺は逆に腰を据えた物色対象難というのを浮き彫りしている。本日も一部のディフェンシブ系が年初来高値を更新しているあたりもこれと併せ一寸不気味なところでもある。


壁の厚さ

本日付けでヴァージンアトランティック航空が日本から撤退しその25年9ヶ月の歴史に幕を下ろしたが、エアライン関係と言えばもう一つ入ってきたビッグニュースには先週29日に各紙面を飾った国内航空3位のスカイマークが民事再生法の適用を申請した件がある。

つい最近当欄では昨年の上場企業の破たんゼロと書いたばかりであったが、これで早くも今年の第一号が出てしまった。これは2013年8月にパンクしたジャスダックにあった物流会社ワールド・ロジ以来となるが、パンクまでドタバタが続いていたロジ社同様にこのスカイマークもここ最近はJALやANAとの提携交渉話が二転三転するドタバタ劇が続いていた。

もともとあのエアバスの件で昨年から経営不振が続いていたものだったが、此処までに至ったのにはJALの時同様今回も国土交通省絡めた政治によって翻弄された背景がある。破綻回避へ期待を持たせる話が出る度に乱高下を繰り返した株価を見ていると、まさにJAL破綻の時を彷彿させる。

しかし、今でこそ規制緩和を背景に新興勢が第三勢力を目指しての参入であったが、日経春秋にも出ていたようにかつてあの東急も大手2社と対抗すべく東亜国内航空(懐かしい!)を作ったものの志半ばでJALに吸収されてしまった経緯があり、やはりこの壁は時代を経ても破れない厚さなのか。


ブランド育成の違い

今週は所用で丸の内方面に出向いたのだが、そろそろ冬のセール関係も終盤となる中でもバーバリーの賑わいが一際目立っていた。このブランドといえば三陽商会だが先に発表のあった通りライセンス契約期限切れの影響で同社製の冬物が買えるラストチャンスという事もあるのだろうか?

同社は契約終了後にこのブランドの売り場を新ブランドに切り替え、売上で2割強を占めていたこの穴を埋めてゆくという戦略だがこれら両者を前に大手百貨店がどういった立ち位置を取るかなども今後気になる。対して当のバーバリーも今後3年で店舗数を現在の2〜3倍にする戦略とか。

そういえば直近では先週末にも中堅アパレルのルックが、米ブランド(トリーバーチ)の独占販売契約を今年7月末で終了する旨の発表をしていたが、以前にも書いたようにこんなアパレルから果てはチョコレートまでライセンス契約見直しが近年は彼方此方で目立つようになっている。

ブランド本体もオプションのロングよろしく損失限定・利益無限大?の立場を盾に本邦側と持ちつ持たれつの関係であったが、近年のこうした動きに大衆的なプレミアムブランドからラグジュアリーブランドへ啓蒙を急ぐ焦りがやはり見え隠れする。今更ながら多数のラグジュアリーブランドを確立してきた欧米勢のスタイルを感じるが、この辺こそ一番日本に欠けている不得手部分なのではとあらためて感じる。


副作用転じて

さて、最近ではライブドア事件や豊田商事事件が取り上げられていた日経紙(日曜に考える)の頁だが先週はあの薬害エイズ事件が取り上げてあった。非加熱製剤で感染した血友病患者らが国と製薬会社を訴えた過程は当時何度も放映され今でもその光景が思い出される。

この件で当時渦中にあったミドリ十字の株価暴落の様子も同様に思い出されるが、同社は後にこちらも今は市場からその姿を消した吉富製薬に合併され、その後は三菱ケミカルの子会社になった後に田辺製薬と合併するなど再編が進むなかで大手に合併を繰り返されその法人格は今やきれいに消滅している。

ところで、同紙に併せて載っていたリスクのない薬はなくかつての副作用が効用になることもあるという部分も目に留まり、副作用のあったサイリドマイドが多発性骨髄腫治療薬として使われている例が載っていたTが、もっと柔い?ところではもともと高血圧やら前立腺の治療薬として使われていたものが今や発毛剤で大活躍している。末尾に書かれていた薬害の歴史は薬の有効性、安全性を高めるための最良の教科書という一文が印象的であった。


実質還流

本日の日経紙投資情報面には「キャノン、金庫株3割へ」と題して、潤沢な手元資金をもとに自社株買いを続け、2020年をメドに発行済み株式に占める自社株(金庫株)の比率を現在の18%から30%まで引き上げROE(自己資本利益率)など資本効率の改善を狙うキャノンの例が載っていた。

同社のような自社株買いに増配というパターンを見ていていつも連想するのが米のコカコーラなのだが、NISAに好まれそうな一般ウケする高配当を出しつつもこうした金庫株から実質は手元資金が還流してくることになり、これがまた増配などの原資になっている背景というカラクリがある。

そんなワケで昨年末にも一寸触れたように実に26年間もの間増配を続けているというのは主力の他社には見られない現象で一際異彩を放つ。高ROEといえば最近ではこの手に買い疲れが出て同業種の別銘柄への乗り換えが進んでいる模様も一部指摘されてはいるが、金庫株を使った経営政策は今後もさまざまな角度から検討されてこようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

1

1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31