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血は争えない?

さて、今週はまたぞろ法廷へと場所を変えて大塚家具の父娘対立の報が彼方此方でされていたが、父と娘といえばもう一つ話題になっているものにあの村上ファンドがある。週明けの値上がり率上位にランキングし年初来高値を取ってきた物の一つに黒田電気があったが、これは村上氏の長女がCEOを務める投資会社の14%超保有が明らかになり100%還元を求めるなど揺さぶりをかけている思惑から人気化したもの。

こうなるともう連想ゲームの世界だけに、週明けに大量保有報告書で同家の5%超保有が判明した黒田電気と同じ半導体商社のエクセルも14日はストップ高の比例配分で引け、また同6%超保有のこれまた半導体商社の三信電気も急伸し年初来高値を更新、また保有比率が高いアコーディアゴルフも本日は年初来高値を更新するに至っている。

当欄では5月にこの村上ファンドについて、「〜時代が今ならファンド側も企業側もまた違ったタッチになり、村上ファンド以外でもスティール・パートナーズなど外資勢の展開や企業の政策もまた変わっていたかもしれない〜」と書いた事があったが、あれからそうした意志が村上氏の長女に引き継がれ矢面に立つ時代になったか。

とはいえやはり血は争えないワケで昔懐かしいそのカラーは時を経ても健在、なかなか友好的な対話とはいかないがそれでも一連の投資行動は漸く機が熟したというか時代が同氏の思想に追い付いてきたという認識に基づいてのものなのかというところで、まだまだ今後の行動が注目されるところ。


指標多様化

本日の日経紙マーケット面には「底割れ救った個人買い」と題して、直近での下落局面で資金が流入した値動きが2倍のレバレッジ型ETFによって機関投資家を驚かせるほどの売り物吸収効果から19,000円割れが阻止された構図が載っていた。

5月にもこのETFやETNの間接効果をコモディティーで書いた事があったが、レバレッジ型もその構造上先物等への波及効果は良くも悪くも多大なだけに目が離せない。また波及効果といえばGPIFを筆頭とする所謂「くじら」勢の動向も同様に目が離せないが、先週末に公表された運用状況では国内株式が22%にまで上昇した旨も話題になっていた。

斯様に近年は金融商品の発達や「数匹のくじら」の出現等によって、マーケットを取り巻く環境も変わってきた。単純に三市場残とか外人動向だけを眺めるさまが既にセピア色にも見えなくもないが、今後もまだまだ市場を測る参考指標が増えてきそうだ。


カオス

さて、昨日はなりふり構わぬ介入劇に揺れる中国の株式について触れ、本邦の投信解約等にも影響が出てきた旨について書いたが、その辺はなにも株式関係に限らずコモディティーの方にも影響が及んでいる。

先週に上海総合指数が続急落を演じた8日には、LMEや上海先物取引所の銅も急落し6年ぶりの安値を付けるに及んでいる。なにせこの銅は世界需要の4割を中国が占めているといわれ中国景気減速への警戒感が織り込まれた格好になった訳だが、もう一つこれをテコに中国本土系ヘッジファンドも暗躍しているとの指摘も先週末の日経紙にあった。

そこには週前半から中国の大手ヘッジファンドの利用先である同国2位の大手先物会社がこの銅への売り越しを拡大させている旨が書いてあったが、6洗車以上ある中でもその代表格が「上海混沌投資」なるファンドという。なるほど中国の市場にはピッタリなネーミングだが、昨日記のPKOメニューにもあるような悪意のある空売り調査対象として魔女狩り的にココも挙げられるのだろうか?


市場ルールと副作用

気になる週明けの上海総合指数は続伸となっていたが、昨日の日経紙・羅針盤には「PKOは経済を救わず」と題して、株価の急落に慌てた中国政府のなりふり構わぬ介入劇を、短期的には意味があるかもとしつつも構造改革の意思を鈍らせる危険薬物である旨の記事が載っていた。

なりふり構わぬ介入としているが、確かにちょうど一週間前に当欄で書いたようなIPO承認の停止や大手証券による巨額の買い支えに加え、その後も売買停止銘柄を実に半数以上にまで拡大させた上に悪意のある?空売り調査から証券当局人事にメディ規制までまさに力任せ操作のオンパレードである。

しかしこのまま落ち着くまで固めておくにも信用期日の対応等どうこなしてゆくのだろうか?PKO副作用を味わってきた側として興味津々で傍観と決め込みたいところだが、野村アセットは先週9日から「野村新中国A株投信」の購入・解約停止に他2種類の解約停止、また大和証券投資信託委託も同9日から「ダイワ・チャイナA」と「ダイワ深センA株ファンド」の2種類の購入・解約停止とする等の弊害が及んできており悪影響がヒタヒタと忍び寄る気配である。


ゴースト株主?

さて、昨日の日経平均は638.95円と急反落し約3週間ぶりに2万円の大台をあっさり割り込んだが、本日も引き続き前場に続急落のあと急速に切り返し終わってみれば高値引けとなるなど久し振りにボラタイルな展開になった。そんなここ2日のジェットコースター相場で日銀は昨日も本日も粛々と324億円ずつETFを買い入れていたが、年間買い入れ予定額をやや上回るペースの推移となっている。

そんな訳で今年上期の購入額は昨年下期の既に約2倍となっており、今や日銀は首位の外国人に次ぐ買い手になっている。このETF買いでは当然その構造上個別も買われることになるが、寄与度ナンバーワンともいわれているファーストリテイリングなど上記の年間買い入れ予定額満額の計算で日銀は2.8%の保有、これまでの買い入れ規模ベースでは約5%に上るという。

今月上旬に同紙の投資情報欄で連載していた「ニッポンの株主」では保有額の大きな個人株主としてファーストリテイリングの会長がソフトバンクに次ぐ2位で21.7%と出ていたが、これを勘案すれば見えない株主としてはその存在感というか影響力は可也のものになるだろう。

この辺に絡んで、既に当欄では5月に「吸い上げ副作用」と題して変動率の上昇が顕著になりリクイディティー低下が言われ始めた同じ高寄与度銘柄のファナックを挙げたことがあったが、高寄与度双璧の吸い上げは何所まで継続されるのか?何れ日銀もイグジットを探る時が来ることになろうが、その時の減額や売却がどの程度市場の波乱要因になるのかこの辺の未知数な部分こそタイトルのゴーストの如くか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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