415ページ目

言うは易し行うは難し

本日の日経紙社説では「電力先物が機能する環境を」と題して、電力の地域独占問題や担い手としての取引所の経営問題等にも言及していた。以前にも当欄で触れたように政府は特異な形態の商品に対する価格指標を設ける事を狙い、価格変動リスクヘッジの必要性からこの電力や世界初というLNGの先物市場創設を計画している。

世界初という鳴り物入りの商品はこれまでに試みたことがあったが、現況ではこれらは一つ残らず上場廃止(休止)の憂き目に遭っている。この手の世界初という商品でなくとも他に取引実績のあるモノでも取引が軌道に乗らずヒッソリと姿を消してゆくものもあり、商慣習云々のひと括りではないような根本的な問題も根底にある。

この社説の最後には「国内外から幅広い参加者を集めるためには東商取が経営を立て直し、企業や投資家の信頼を回復することが求められる。」と記してあるが言うは易し行うは難し、板ばさみの構造的問題もありまだまだ紆余曲折か。


納税利回り?

本日の日経紙エコノフォーカスには「ふるさと納税 特産品目当て?」として、生まれ故郷や応援したい地方自治体に寄付することで寄付した自治体からお礼に特産品がもらえ、住民税と所得税も応分差し引かれる「ふるさと納税」が人気になっている旨が載っていた。

この「ふるさと納税」、スタートしてから5年以上が経過するが本来の目的は都市に集まる税収の地方再配分。ところがあの東日本大震災の時に義捐金扱いの寄付が殺到、大口寄付者が在住する自治体の一部では多額の還付金が持ち出しが話題になったという想定外の事例もあった。

しかし昨今は殆どが題字の通り特産品目当てなのは明らかだろう。なにせ50%を越える利回り?がゴロゴロしているワケだからこれに群がらない理由がない。同紙には受け取る金額が多い5県が出ていたが、1位の鳥取県などその下の特産品例に出ていた干物詰め合わせ以外にも松葉ガニ等の高級品までラインナップし多数の集客?を誇っている。

こんな特産品のハードルが緩いことによる小口の多さから果たしてというか税収格差効果はいまひとつというが、企業で株主優待と併せ魅力的な利回りで台頭するものの中には一方で財務に疑問符が付き値下がりリスクと常に隣り合わせなのが普通なのに対し、こちらはリスクの観点でも比べ物にならないくらいなだけにまだまだ「ふるさと熱」は続きそうな気配である。


今年も熱いIPO

昨日の日経紙マーケット面には、「新興株、個人の売買活況」として日経ジャスダック平均が連日で昨年来高値をつけ、東証マザーズ指数も高値圏で推移している旨が載っていたが、これを裏付けるかのように昨日の全市場値上がり率ランキングベストテンには軽そうなモノがズラリと並び、この10傑のうちジャスダックが5銘柄、マザーズが3銘柄の計8銘柄を果たしてというか新興市場が占めていた。

中には売買代金でも時価総額が数十倍以上の物と遜色無い金額を弾き出しているモノもあるから嫌でも目立つが、決算本格化を控えて主力へは模様眺め気分が強くなるなか比較的小額資金で動くこの手の新興市場にホットマネーが流入している構図か。

この手の小型は回転も早いが循環も早いのでやはり個人には非常に魅力的である。これらのなかには直近IPOモノも多く含まれるが、IPOといえば昨年は好地合いにも恵まれ54社が新規上場、一昨年末から続く「初値形成の負けなし記録」も実に55社目で途絶えるまで連勝が続きこれが更に現況のマネー流入を加速させたといっても過言ではない。

これらの資金調達額も4,000億円近くにもなるなど7年ぶりの高水準となったが、今年のIPOは昨年より更に増えるとの試算も出ている。既に話題となっているものにはリクルートやジャパンディスプレイ、そしてあのLINEなどあるが縦横無尽のホットマネーと共に今年のIPOも熱い相場展開になるのは想像に難くない。


新甫前倒し

さて南アフリカ全国金属労組の交渉関係の報がこのところ飛び交っているが、こんな影響もあってTOCOMではプラチナが約8ヶ月ぶりの高値を付けてきている。国際相場も昨日の日経紙商品面に「金よりプラチナ 鮮明」として、金とプラチナの価格差が欧州債務危機が深刻化し金がプラチナを上回った2011年8月以降で最大となった旨も載っていた。

背景にはプラチナがこんな材料も支援して上げが加速しているのに対し、一方で金は米量的金融緩和縮小が意識され加えて新興国需要の不透明感もあって上昇ピッチが鈍っているという事がある。この金とプラチナの価格差に関してはちょうど一週間前の当欄で取り上げたばかりであったが、山高ければ谷深しその逆もまた然りといったところか。

ところでこれら商品といえばまた同紙の同じ面には、東京商品取引所が新甫の売買開始時間を半日前倒し夜間取引の開始時間に合わせ前日の17時に変更する旨も載っていた。今回の新甫前倒しは夜間取引が昨年は全体の39%を占めるなど活況になっているという理由というが、こちらも夜間の台頭著しいといったところか。


ETF急浮上

本日の日経平均は4営業日ぶりに反発となったが、個別はこれまでの続落時とは物色ポストのスイッチが見られた。そんな中でも依然としてETF系は活況、NEXT FUNDS系などは数百億円の売買代金を弾き出していたが、ちょうど先週末の日経紙にも「ETF売買代金最高」として、ETFの売買が急増している旨が載っていた。

世界取引所連盟のデータによれば、日本取引所グループの2013年のETFの売買代金は約24兆6,000億円と12念の4.3倍に膨らんで過去最高となり、世界の順位は12年の11位から4位に大きく浮上したという。当初ETFはそのコストの観点から、業界があまり乗り気でないことによる低迷が懸念されたものだったが杞憂だった感も。

ただこれも中身は海外勢による牽引が大きく寄与しているのは想像に難くなく、この効果によるところが大きいだろうか。いずれにしてもこれで上記のハイレバ系の活況がこれまでリクイディティの薄かった物へ波及し、板の膨らみが出てくるなどすればまた選択肢が広がる事にもなり相乗効果は高いといえよう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

1

1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31