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引継ぎ商品

さて、先月に東京商品取引雨所が発足してからちょうど1ヶ月が経過した。先に中計策定も発表しており、昨日の日経紙でも「東商取、発足から1ヶ月」として載っていたが、東京穀物商品取引所から引き継いだ大豆、トウモロコシ等の主力含む4商品の売買高が旧東穀取時代の年明けから先月までの実績比で13%減と低迷している模様だ。

確かに季節柄穀物系はあまり活況になり易い素地ではないものの、どうも合併やら解散等で消えることになった取引所から引き継いだ商品が先細りになってくると上記の旧東穀が横浜商品取引所と合併して受け入れた商品が全滅していった様なども思い出され不安になるが、まあこちらはメジャー商品だけにそんな筈も無いだろう。

また末尾には別モノ扱い?で大阪堂島商品取引所へ移管したコメ先物の売買高が一日平均100枚前後にとどまっている事も書いてあったが、この辺同所では10月物からデリバリーの上乗せ金をゼロにする方針を決めている。本上場を控えこちらもどういった去就になるかだが、双方何れも今後は活性化の本気度が試されることになろうか。


トップ人事

さてこの時期いろいろと人事も様々なドラマが展開するが、本日の日経紙には「改革 振り出しに」として資生堂の社長が月末付けで退任し会長が社長を兼ねる人事を発表した旨が載っていた。社長就任は一昨年であったから僅か2年で退任ということになる。

資生堂といえばつい先週当欄で取り上げた東証の「撫子銘柄」に選定されていなかったのがちょっとした驚きであったものだが、国内売上高が6期連続のマイナスで約2割落ち込み重ねて新興国の販売減も追い打ちをかけていた等もありROE等で引っ掛かった事も想定されるか。

東証コア銘柄トップの退任といえば、直近でもソニーの外国人前CEOが6月の株主総会で取締役介議長を退任することを表明、4月でトップ交代から1年、経営が新CEOを中心とする大成に完全に移行すると発表されている。

こちらも今期は資産売却等の効果で連結最終損益は5期ぶり黒転との見込みとはいえ、エレクトロニクス事業の営業黒字化は未達に終わる見通しで再建はまだまだ道半ばといえる。トップ辞任の裏には体調不良理由の退任例もあるが、数年前に体調不良で志半ばとなった首相も返り咲いて今や飛ぶ鳥を落とす勢い、双方ともに株式では相性がいい銘柄だけに何とかいい方向に向かって欲しいところである。


復活の芽

周知の通り、東日本大震災から本日でちょうど2年が経過した。震災後暫くは行方不明者数や避難者等の状況が一面に載っていたものだが、最近再度この辺が掲載されるようになり改めてその壮絶さが再認識される。ちょうどこの期、昨年同様に街では募金活動が至るところでグンと増えこの関連行事等も酣だが、この記憶や復興への思いを風化させないことが何より大切だろう。

思えばリーマンショックから緩やかな回復途上にあった日本経済はこれによって再度叩かれ、その要の市場もまた激震に崩壊したものだ。今でも市場を続行させたことや政府のディスクロを巡っては思惑もあり賛否両論絶えないが、オプションやFXでは未曾有の相場変動が市場を襲いこれによって個人のみならず企業もまた財務状況を毀損したところが続出したのは記憶に新しい。

一方、雨降って地固まるではないが昨今業績とともに株価もV字型回復を見せている自動車業界など、ともすれば為替相場是正の恩恵などと喧伝されているが、2013年3月期決算発表に臨んだトヨタの役員が「今は1ドル79円でも単独で利益を出せる」と言い切っているのを見ても解るように、更なる収益構造の画期的な大改革に直後から着手したのが奏功し手居る訳で斯様に土壌構築されたところも出てきているのを見るに感慨深いものもある。

そうして考えると為替相場の是正などひとつのタイミングに過ぎないものの、ステロイド系とはいえアベノミクスが傷の回復に強力に作用しているのは明白、個別ではまだまだ課題は山積みだが回復の波及効果が出て来るのはこれからと引き続き期待したいところ。


J―GATEの課題

さて、先物やオプションをやっている向きなら今週は週明けの商いでおやっ?という感じになったと思うが、周知の通り日本取引所グループ傘下の大証でこの日はシステム障害が発生、上記のオプションなどデリバティブの取引が最大約4時間にわたって出来なくなったという一件があった。

同システムはナスダックOMXグループ製で2011年に導入したものであったが、トラブルの原因は日経平均オプションの売買に関する処理プログラムやら、サーバートラブル云々ということであったが停止したのは今回が初めて。

これで影響が出たのは現物との裁定が出来ずボリュームに変動をきたした点などだが、直近では昨年に東証で起きたデリバティブのトラブルや、その前のアローヘッドの障害等でも現物のトラッキングエラーで先物との裁定に影響が出た経緯がある。

この日経平均先物は米CMEやシンガポールでも取引されているだけに、それこそこの辺の信頼回復に時間がかかることなどになれば下手をすると取引の流出懸念も台頭し、またこれと同様に新興国への輸出等にも影響が出る恐れがないわけではない。

市場ではモルスタ世界株指数に組み入れられるとの事からTOPIX買い需要120億円同様の資金流入が想定されるとしてここ急伸してきた日本取引所株であるが、来年には大証にデリバティブを集約する予定となっており、他のアジア取引所との競争に勝ち抜く為のデリバティブ強化を打ち出している時だけに更に万全な大勢が求められる事になろう。


百貨店も啓蟄

本日で日経平均は5日の続伸となり引け値での11,900円台回復は08年9月以来、約4年5ヶ月ぶりのこと。東証業種別株価指数は全33業種中、31業種が上昇したが、業種といえばこのところ堅調が目立つもののひとつに百貨店株がある。

三越伊勢丹HD、Jフロントリテイリングなどは約2年11ヶ月ぶりの高値で本日も年初来高値を更新、昨日は約2年9ヶ月ぶりの高値を付けた高島屋や松屋も年初来高値更新しているが、上記の大手含めた4社が月初に発表した2月既存店売上高は高額品の販売が上向いている事でこの辺をテコに物色が向かった模様だ。

ちょうど先週初めの当欄では「円安駆け込み」として値上げ前の駆け込みでルイ・ヴィトンの売上が前年同期比2倍に膨らんだ旨を書いたが、株高効果はジワリ浸透し高級ブランド系は全般でも前年同期比で25%前後の伸びを見せており、この辺も時計や美術品等と併せ相乗効果が出ている。

ところで上記の百貨店株の中には最近の倉庫株よろしく売り上げ云々より含み資産モノとして買われているものもあり、今更ながらかつてこんな部分に目を付けられ株を集められた経緯などが思い出される昨今の光景である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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