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セルペンティが貢献

国内では今月下旬から決算が本格化し既に業績修正の発表などもボチボチといったところだが、ヨーロッパでは仏高級品大手3社の2012年通期決算が出揃っている。主力どころといえばやはりLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンであるが、此処は前期比12%増の13億ユーロ、またエルメスは同25%増の7億ユーロであった。

内訳として前者はブルガリのスネークヘッドが定番人気の「セルペンティ」コレクション等が順調で時計・宝飾部門が前期比46%増、以下セフォラ等が22%増、ワイン等が17%増、服飾・革製品が14%増、香水・化粧品が13%増と軒並み2桁増、後者も宝飾・家具が45%増、服飾・アクセサリーが22%増、時計が17%増とこちらも軒並み2桁増収であった。

欧州の景気停滞を他所にこの手は斯様に好成績であったが、新興国の伸びも後押ししたとの推測もある。ただ数度触れたようにこの高級宝飾・時計系の伸びは国内でも顕著で、百貨店大手などこうした伸びから株価の方も揃って年初来高値更新となっている。まあ全般高に連れているという面もあるが、PER等に目を瞑り何処まで値を飛ばせるか今後も引続き売上と併せ見てゆきたい。


より細かい流れへ

本日は日銀の追加金融緩和を受けて日経平均が後場急騰し、実に日中値幅が558円と2011年3月15日以来の大きさとなったが、今日に限らず今週は連日ボラタイルな動きが続いている。高速取引の影響もあって売買も急増しているが、この辺に絡んでは先週末に日本取引所グループが株価の刻み幅を10分の1に縮小する検討に入った旨が報じられている。

来年1月に先ず100銘柄前後で試験的に導入した上で2015年半ばの本格導入を目指すとしているが、場立ちが居た時代からすれば今の4桁やらオプションの価格やら随分細かくなってきたと思うものの、それでも背景にはまだまだ世界の主要株式市場に比べて日本株は株価の刻み幅が大きいと指摘されている事がある。

ところでFXもこうした動きが出てきているが、確かにこのFXなんぞに例えれば低位株でも常時とんでもないスプレッドで取引させられていることになるが、順番並びに慣れている向きは兎も角もFXからの転向組みで初心者など経験が無いだけに素直にこの辺に疑問を感じるのではないか?

既にPTSなどはこうした値幅での取引が可能になっているが、そのPTSは1〜3月の売買代金が7兆円を超え四半期で過去最高を更新と急拡大している旨が報じられている。思えばこうしたところへ揃え国際標準を狙いより一層HFTの誘致という思惑もあるだろう。ブローカーは設備投資と商い稼ぎの天秤となるが、個人もトータルで利便性が向上するのかどうかこの辺は実施が待たれるところ。


都市鉱山の課題

さて、今月から携帯やデジカメなど使用済み小型家電を市町村が窓口になって回収・再資源化する新制度が始まっている。これはこれらに再利用できる資源が多く含まれていることから、需給が逼迫するレアメタルなどをリサイクルし循環型社会の実現につなげようというもの。

ただこれらを有する小型家電といえば重要な個人情報満載のものが多くあり、積極的にこうしたところへ出すよりも自宅にストックしておく方が遥かに多数派なのが現状。また、回収側としても手間やらコストなどの問題があり、始動したとはいえこれらの課題が多く各所一斉に乗り出すという動きにはなりそうにもない。

上記の通りレアメタル等は今直面している大きな課題の一つでこの新制度も何処まで軌道に乗せられるかだが、そんななか昨日はレアアースのランタンとレアメタルのパナジウムを含む新種の鉱物が三重県伊勢市の山中で見つかったとの報があった。こちらも先に取り上げたメタンハイドレードと併せ今後注目である。


モエヘネシー型

週明けそして本日と冷やされたものの、期末も4年半ぶりの高値水準となった昨秋からの株高効果で高額消費関係が堅調である旨を1ヶ月ほど前に当欄でも書いたが、この辺は先週末の日経紙夕刊にも高額商品関連が株式市場でも堅調として、百貨店や旅行・外食株の一角に買いが入っている旨が載っていた。

それによれば高額消費の拡大で恩恵を受けると見込まれる25銘柄の株価を元に算出したゴールドマン・サックス証券が算出する「高額品消費関連銘柄指数」は、昨年11月末からの上昇率が5割超と日経平均の約3割を上回り、先月は約5年3ヵ月ぶりに250台に達している。

ところでこうした関連銘柄の一つでもあるフレンチのひらまつは、先週の日経夕刊「人間発見」の項がここの社長の連載であったがなかなか面白かった。以前TVでも特集が組まれたことがあったが、ここはブランドを幾つも抱えた例えるならまるでモエヘネシーのレストラン版のような形になってゆくのではとも思ったりする。直近では意欲的に分割も行っているが時価総額と併せ今後も高額消費関連は注目が怠れない。


LNGで一回転

さて、LNG先物市場の創設の話は当欄でも度々触れてきたが、先週末に経産省はLNG先物市場協議会にて世界初となるLNGの先物市場を2014年度をメドに東京商品取引所に創設する方針を正式に発表している。

もともと旧TOCOM時代の2010年度からの3ヵ年中期計画において上場検討対象商品からA重油を外しLNGを加える等してきたが、最終的にはドル建ての差金決済方式を取り他国にも上場要請することで国際連携を図り、早期のリクイディティー確保から指標性のある価格を形成させる狙いがあるとのことである。

以前にも書いたがこの商品もまた長期契約という独特の商習慣が存在し、日本が輸入するLNGは原油価格連動からとりわけ割高な契約が多く、東日本大震災で原発稼働が停止しLNGの需要が拡大している昨今こうした機運になるのは自然な流れだろう。

ところで先物の登場で調達コストが節約出来ようなことになれば、電力各社で最も恩恵を受ける事が出来るのが東電ということで連日数億株の大商いで本日も年初来高値を更新しているが、LNG先物創設の話はにわかに湧いたものでなくこんな単純な連想モノは網を張っておけば時間が掛からず電気料金値上げ分以上にカバーが出来るいい例である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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