481ページ目

人材草刈り場

さて、昨日の末尾では政府の無策に絡めて東電やエルピーダ破綻にも少し触れたが、エルピーダといえば本日の日経紙企業面には「ライバル対決、米に軍配」として破綻した同社が米マイクロン・テクノロジーを支援企業に決めた旨が出ていた。

今回の同社の入札劇では一次入札においてホニーキャピタルなる中国系ファンドが参入して来た事で一時はまたも技術流出懸念が囁かれたものだが、結局は元サヤというか元々互いに歩み寄っていたマイクロンに落ち着き一応の安堵感漂うところ。これで技術融合しサムスン追撃ともいわれているが、DRAMに限らずこの韓国勢などこのところ水面下で日本の技術者に引き合い合戦が進行している旨も一部では報じられている。

先にも書いたように直近で発表された日本の家電メーカーの赤は大手三社で2兆円近くにも上るなか、リストラなど雇用環境悪化を受けてその手の素地は十分である。そういえば当欄で2年前に「お家芸の技術力」のタイトルで優秀な技術者が他国の優遇を求めて日本を離れる裏にはその評価というか地位の低さが起因している部分もあるのではないかと書いたことがあった。

企業の事情も絡んでくるので一口にインセンティブの国際標準を考慮するのも難題だが、そうこうしている間にも様々な形で粛々と技術力が狙われている。何処かで歯止めが掛かる流れに変わるのかどうかその行方を見守りたい。


42年ぶり

周知の通りこの連休中に国内の原子力発電所で唯一運転していた北海道電力原発が発電を停止し、これで実に1970年以来42年ぶりに全原発が停止する事態となった。何かこう全停止というと妙な安堵感?も一部では見掛けるがその手のリスク度合いは核燃料如何で基本は同じ、それよりも経済界への影響が懸念される。

経産相など関西電力管内で今夏の計画停電への備えに言及してきた経緯もあるが、再稼動の道筋も見えない中をこれから昨年以上に各所は厳しい状況になりそう。一般も勿論そうだが、こと経済界で広がっている電力不足への危機感は値上げやら慢性的な円高とも相俟って空洞化に拍車を掛ける懸念も擁している。

再稼動といえば縦しんばそうなっても当面は火力のフル稼働が続くことになりそうだが、思えばこの火力も各電力会社は第一次オイルショック以降、数十年にわたって電源構成の見直しを原発主軸に進めてきたものの、先の震災時の事故以降再度この火力へ回帰する構図になっている。

ということで昨年は国難ということで痛みを分け合えたものの、夏を前に節電に値上げと顧客との板挟みになっている電力各社を見るにつけ、やはり政府の無策ぶりが目に付く。
経済的な責任を取るでもなく、震災から一年以上が過ぎても有効な対策を打ち出せず渦中の東電株はそんな中で本日もズルズルと沈没、先に国策エルピ−ダも破綻したが早急にこの無策劇にピリオドが打たれることが望まれるところ。


活性化期待と持続性

さて、世間ではゴールデンウィーク真っ只中だがこの期間を海外で過ごす人の出国が先週末成田でピークを迎えた模様で、今年は日並びのよさや自粛ムードの反動もあって04/27〜05/06に同空港を利用する旅客数は前年同期比16.3%増となり、海外旅行者数は過去最高に迫る56万人超といわれている。

斯様に海外へと向かう人あれば、国内も東京都心では新たな商業施設開業が相次いでいる事もあってこちらも盛況なよう。この辺に絡んでは先の日曜日の日経紙社説でも「街の個性で外国人を呼ぼう」として、都心での大規模な商業施設開業で東日本大震災により低迷した観光消費の復活に一段と弾みを付け、特に海外観光客を日本へと呼び込むために東京の持つ多様な魅力を発信する手掛かりとしたい旨などが書いてあった。

このG・W直前に開業したのは「渋谷ヒカリエ」だが、開業初日の2日間で来館者は約20万人、ビル内の商業施設売上は予算比で200%を達成するなど好発進となった模様。その一寸前には「ダイバーシティ」が開業したが、湾岸地域は外人客も多く訪れ上記に適った期待も抱かせ開業を待つ「東京スカイツリー」(東京ソラマチ)もこの点ではまた然り、既に経済効果の胸算用も彼方此方で出ているが、ネット等で殆ど完結できる昨今それを越える何かが商業施設には求められよう。

さてこれだけ一度に開業ともなると需要の食い合いも気になるところではあるが、それより今後を見通す場合キーになってくるのはやはり各々の持続性だろうか?消費は回復傾向にあるとはいえ回遊・再訪を課題にしたこれらの集客の持続性は未知数、六本木界隈のような安定性が定着するかどうかに掛かっているといえ、この辺の今後に注目してゆきたい。


太陽光バブルの行方

さて今週はいまひとつ気迷いが続いている株式市場であるが、そんな中で一際強さが目立っているのが太陽光関連株だろうか?これは週初に日経一面でも伝えている通り7月に始まる再生可能エネルギーの全量買い取り制度で、経産省の調達価格等算定委員会がこの太陽光発電の買い取り価格を1キロワットあたり税込み42円とする方向で調整に入ったと報じられたものが好感されてのもの。

専門家の間ではもっと安価で適正との声もあったようだが、再生可能エネルギーの普及促進の為にほぼ発電事業者の要望をそのまま呑んだ格好となっている。買い取り価格が高いほどこうした事業者の利益が大きくなる計算で関係者は一先ずニヤリといったところだが、長期にわたる安定買取で企業努力が疎かにならないだろうか?尤もこんなバブルの匂いに魅せられ強力なコスト競争力を持つ中国勢から、魑魅魍魎な向きまでの参入もあり其れなりに対峙もあろうか。

ところで日本に先行し買い取り制度を始めた欧州や米国では、それぞれ立て続けに大手太陽電池メーカーの破綻が相次いだのが最近の話。それだけに最近の太陽光発電関連株の中にはこの時のショートが原動力になり今週急騰した銘柄もあるが、上記の通り中国勢の侵食や制度の見直しで補助金が減るような事になるとこの辺の構図もまた一変してくる。

先行したところを見てもこれは起こり得る話であり、そう考えると助成も長期にわたる安定買取も絶対なのだろうかと疑問も出てくる。この補助金もどうせ我々の税金が原資になっているわけであり、この辺のバランスを上手く図ってゆかないとバブルだったと後になってわかる戦後処理も財政悪化含めいろいろ厄介になるのは想像に難くないか。


潜在的市場

昨日の日経紙国際面には「ミャンマー 陰る強調」との見出しで、EUが週初に対ミャンマー制裁の一時停止を決め同国の民主化改革を後押しする等の姿勢を横目に水面下での駆け引きもまた一方で進行している旨が載っていた。

ところでこのミャンマーといえば、昨年の国際フォーラムでの講演であのジム・ロジャーズ氏がスリランカと共に将来有望と話していたのが記憶に新しいが、まさに今民主化改革を機に消費ブーム到来の兆しがいわれておりその先導役はコーヒーという。

やはりというかこの手の国では先ず嗜好品というのが相場だが、このコーヒーでは日本勢としてUCCが早速同市場参入の計画とか。同社といえば直近でM&Aとしては過去最大規模となる欧ユナイテッドコーヒーを買収し海外事業強化を発表したばかりだが、巨大な商機が埋もれる市場を狙って各企業が虎視眈々と参入する様はまた別のところで二次的商機も創造する事になり今後も目が離せない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

1

1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31