517ページ目

GAPを悩ます綿花先物

さて、先週末の日経紙には「衣料原料 軒並み下落」としてニューヨークの綿花先物などが大幅に高値が修正されている旨が出ていた。その綿花先物だが昨年から買い煽ったファンド資金の流出などもあって3月の高値からは3割方下落しているものの、現地の輸出業者提示価格のジリ安もありなお先安感が強いという。

こうした動きに翻弄されたのは関連企業だが、先週末の米株式が反落する中でそうしたものに該当し特に急落が目立ったのがあのギャップ。同社は直近で発表していた第1四半期決算における純利益が前年同期日で22.8%の減少となったのが嫌気されたということもあったが、来期以降の収益予測も大幅に下方修正されていたのも失望を誘った模様だ。

ギャップといえばそれこそコットンの世界では大口バイヤーだが、今回の急騰時における高値買いによって上記の通り今後の収益はコスト面が大きく足を引っ張る模様。ある意味相場産業だが、近年ファンドも多様化しており本業部門でも足元を見られないように凌ぐのも一苦労、この手はヘッジのあり方が今後一段と課題になってくるだろうか。


相関化

昨日の米株式は欧州信用不安の高まりや中国の景気鈍化懸念から大幅続落となったが、欧州債務問題が懸念され大幅安となった原油先物の影響も少なくなかった。そんな商品安の中でも金がしっかりとするあたりリクス回避の片鱗も見受けられる。

しかし海外に限らず国内でも最近は欧米株式安などから売り物が先行しても、時間外で原油価格が切り返すのに合わせ明らかに先物からの買い物で戻りを入れるケースも多い。主要どころの決算がピークを超えて手掛かり材料が乏しくなる中を、こうして株式もコモディティー価格に連れるようになってきている。

一頃の営業は「株価とは非相関の関係」とヘッジを謳い文句にしていたものだが、ここ近年の金などのメタル系も今迄の教科書通りであった所謂相関関係が次々に崩れてきている。通貨なども含めそれぞれ新しい相関の認識が必要とされているのは言うまでもないだろうか。


.COMバブル?

さて、先週はスイスの商品取引大手「グレンコア」がロンドン市場に上場したが、もう一つかねてからの話題株「リンクトイン」もはれてニューヨーク証券取引所に上場となった。このリンクトイン、上場初日に今ひとつ肩透かしであったグレンコアと違って公開価格45ドルに対して終値はその公開価格の2倍以上の94.25ドルと大化けしたが、ザラバの高値では実に120ドル超まで急騰する場面もあった。

一体、売上高の何倍まで時価総額を買うのだろうという点で、グーグルのそれが約6倍なに対して早くもここは数十倍水準。こうなるとかつての国内ネットバブル当時を彷彿させるが、それこそあの当時は経営側も時価総額こそ全てとの思いで株価に一喜一憂していたのを思い出す。

そんなわけでここが口火を切ってはたしてまたネットバブルの再来となるのだろうか? このIPO熱に関して米シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は資産バブルの懸念を招くものではないとの認識を示していたが、この後にはリンクトインの6倍のメンバーを抱えるあのフェイスブックやグルーポンなどの有力どころが軒並み予備軍として控えている。

既にこうした大手の前にIPOを急ごうとする中小も見られるというが、こうした予備軍の関連株群は早くも「KDDI」など日本企業にまで先回りの物色が広がっている。QE2終了で警戒感が漂っている市場だけに、この辺が絡んで今後の市場にどう影響してくるのかその動向が注目されるところ。


ヨウ素と株価の半減期

さて今週の日経平均は膠着感の強い展開であったが、そんな中でもボラタイルな動きだったのがやはり東電。一服していた株式の方は賠償スキームやら今更ながらに出て来た福島原発の炉心溶解を巡ってまたにわかに動意付いており、今やディフェンシブ的な優等生からすっかり投機株に変貌してしまったなと。

レーティングの世界でも、みずほ証券のように「アウトパフォーム」据え置きで目標価格を900円!に設定するという特異なところ以外は何処も揃ってそのレーティング対象から外してしまっている。こうしてバリュエーション評価が不可能となった一方で今のところ一応は株式上場を維持し社債も保護ということになり、JALのように紙屑にならない妙な安心感?からこの高いリクイディティーを背景に商いが集まり易いか。

今のところは株主責任は免れたとはいえ今後株価は市場が然るべき値段に誘導するだろが、社債など先に一度書いた事があるが新規で引き合いなどあるのだろうか?この賠償スキームで通常であれば格下げ圧力が緩和されるはずだが、現状そうした動きとなっていなのはやはりその信憑性の問題だろうか。

ところで株価といえば事故当初は約一週間で株価が半値水準に暴落し、株価の半減期も放射性ヨウ素とほぼ同じなどと揶揄されたものだったが半減といえばもう一つ、原発事故の責任を踏まえ役員報酬も半減努力とか議論されているが、それでも3,600万円とか。こちらは相場じゃないが半値八掛二割引にしてもまだまだ高いだろう。


可否待ちのコメ

本日の日経紙には、現在農水省に東穀と関西商取がコメの試験上場を申請している件に絡んでJA全中が先週の理事会で反対を表明した件について東穀の社長が共通認識を得られていないと発言した旨が載っていた。

先にも書いたとおりで前回申請では全農OBの突然の辞任など政策的な動きも見られ、やはりいろいろ絡んでいる分全中の反対は想定内であったが、この震災以降は市場も一層政府介入色が濃くなっているだけに気になるところ。

そういえばコメといえば、政府が原発事故で放射性物質が基準を超えて含まれた水田でのイネの作付けを制限する方針を明らかにしたことで、今後の生産量低下に伴うコメ価格の上昇思惑が先行する格好で株式などはヤマタネなどが商いを集めたことも先月はあった。さて商品先物はどうなるかだが、何れにせよ7月下旬までその可否が待たれる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

1

1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31