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今年の食風景

さて相場の方は今ひとつ暗いままの感もあるが、東証は先週から情報提供スペース「アローズ」にある大型スクリーンの株価表示画面を全面画面に戻し漸く元の明るさが戻ったが、これは電力使用制限の前倒し解除を受け当初は10月だった全面表示を繰り上げたもの。

東証はこれで15%の節電義務水準を超える約25%の前年同期比電力使用量削減となった模様だが、東証に限らず今夏は節電義務から至るところでその風景が変わっていた。こんな世相の反映といえば、風に秋を感じる今日この頃になって改めて今夏は食の世界でも「冷たさ」の打ち出しに知恵を絞った商品が続出した感じがする。

これらザッと挙げても冷たいカレー、冷たいラーメン、冷たいパンにドーナツ、冷たいおでん、果てはカツ丼やたこ焼き、お好み焼きといった粉ものまで「冷やし」が登場する始末。しかしどうなのだろう?実際に試食はしていないが、動物性油脂が連想される食べ物は冷やしと聞いただけでどうしても不味そうというイメージが先に立って手が出ないものだ。

ところで思うに、これらの中でも冷たくなっても冷たいなりに美味しく食べられる物といえば世界の中でも日本食くらいではないだろうか?まだ世界中の料理を食べるに至らず今迄の経験からだが、事実多くの外国人は冷たくても美味しい日本のお弁当等を賞賛する声が圧倒的。そう考えると和食はなんとも計算し尽くされた完成形の食事だなとフト思った次第。


デルタ・ワン

連休前に入ってきた報のひとつにUBSロンドン事務所のETFとデルタ1トレーディングディレクターの一人が認められていない取引を行い、現在のところで約23億ドルの損失を出したことが明らかにされている。

この不正取引で顧客のポジションには影響が無いものの、つい先月年間20億スイスフラン(23億ドル)のコスト節減の為に3,500人を削減する計画を発表したばかりでちょうどこの金額が消える計算、これで第3・四半期に損失を計上する可能性があるともしておりなんともキツい。

この人物はもともとミドルに居たスタッフらしいが、それが幸いして?フロントの表舞台に出てからの伝票操作なんぞはお手の物だったのだろう。とはいえポジションの把握が曖昧で不正を見過ごしてしまった体質はやはり問題視せざるを得ない。これとは規模自体が全然違うものの、ポジション把握がナアナアの関係で遣り過ごしてきた結果消えていった小粒の会員を何社も見てきた。

しかし記憶に新しいところでトレーダーによる不正取引としては1995年の英ベアリングスと大和銀行ニューヨークの2件、翌年1996年の住友商事のMr5%事件、そして3年前の仏ソシエテジェネラルの事件等が挙げられるが、上記のようなことから時代が変わっても斯様に同様な事件が必ず出て来るのがデルタ・ワン絡みのセクション。損失もその金額の大小の問題ではなく、信頼そのものが失われるのが一番の痛手ということになるか。


あれから3年

本日であのリーマン・ショックからちょうど3年になる。当時の様子は今でも鮮明に思い出せ、ちょうど連休中でその前から既に外資連中の間では実しやかに噂が飛び交っていたものだったが、なにしろ会社そのものが上位に追い付け追い越せの経営スタイルだっただけにその破綻規模も日本法人一つ取っても戦後2番目という凄さだった。

リーマン・ショックの原因は米住宅バブル崩壊といわれているが、これも日本のバブルのようにゴルフ会員権など生活必需品以外の範囲までも投機対象になっていたワケでなく、生活に根付いた投資が主だっただけに根が深い。昨日も「ジャパナイゼーション」のタイトルで書いたが、ジム・ロジャーズ氏は日本の失われた10年どころか米国はその失われた10年を2度も3度も経験する事になるとしている。

さて当欄でも当時、「盛者必衰」としたタイトルの末尾で「盛者必衰とはよく言ったものだが此処最近見ているとこれは別段企業に限った事ではなく、国家レベルでもまさにこうした事が言えるのではないだろうか。」と書いたが、震源地の米国はかつての債権国から世界最大の債務国へ転落、ここへきてトリプルAに君臨し続けてきたその米国債も史上初の格下げに至った。

ざっと振り返るに夫々の景気刺激策が奏功し緩やかながら一見回復軌道に乗ったようにも見えたが、その間ドルやユーロをはじめとした通貨の信認は揺らぎ、日本は大震災で被災、リーマン・ショック直後に世界経済を支えた国も昨今身動きが取れなくなってきている。最後の拠り所として無国籍通貨の金が代わって異常?な高騰を続けてきた3年はその辺の問題を的確に示唆しているといえるか。


ジャパナイゼーション

今週はあの米同時多発テロから10年。一昨日の日経紙夕刊「あすへの話題」には、商船三井会長がこの米同時多発テロから10年で米国の一極支配構造が崩れ始め、世界で最も信頼できる国の地位が揺らいだことを痛感、米国が失われた十年と言われても仕方ない旨が書かれていた。

先に朝日紙でも「米国はすでに日本化」として、今の米国経済が日本のバブル崩壊後の失われた十年の状況と非常に似通った状況になっているという記事が出ていたようだが、これらで思い出したのは先に「NIKKEI CNBC」で放映された「ジム・ロジャーズが語る世界経済と金」において氏が「米国は既に10年を失い、さらに20年、30年と失うだろう」と言っていた件であった。

米国や欧州市場のジャパナイゼーションが懸念されている旨に触れて同氏が答えたものだが、日本の場合当時は世界最大の債権国であったのに対し米国はコピー化してきた昨今世界最大の債務国になっている点で2度、3度と失われた10年を経験するという。

よく日本のバブル崩壊の過程を十分に反面教師にして研究とかいった説は頻繁に見聞きしたが、実際には商船三井会長が言うようにITバブルを住宅・金融バブルで凌いだだけという構図だったか。


企業の円高セール

さて、M&A助言会社のレコフの集計では日本企業による海外企業のM&Aが活発化し、今年1〜8月の累計が昨年1年間を上回ったことが先週報じられている。バブル期に次いで2番目の水準に達しており、特にアジア向けは前年同期比で5割増といいこれまでの最多を更新した模様。

直近で加速した背景にあるのが震災による不透明なビジネス環境への対応が進み中断案件が復活、PEファンドのエグジットの用からオファーが増えてきていること等もあるがなんといっても追い風になっているのは昨今の円高。70円台後半というと既に円安というイメージが出来上がっているほどに最近は円高水準が定着してしまっているが、直近では対ユーロでも約10年ぶりの円高水準にまでハネ上がっている。

先に財務省は緊急円高対策を発表、それ自体はステロイドというより漢方的な処方であった為にマーケットに対しては殆ど材料視されなかったものの、外為特会資金を使った1,000億ドル緊急融資枠設定など限定措置ながら日本企業による海外企業のM&A促進など意図しているとも取れる。

ただ一方で、最多更新のアジア地域などコンプラ体制や法整備等が遅れている面もありリスク管理の重要性が問われよう。また対象企業の株価水準によってはエクイティフアイナンスの用も出て来るだろうが、周知の通り昨今の市場は低迷しているだけにはたして強行できるかどうかこの辺も次の課題としてみておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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