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重要戦略拠点

さて、中国の景気減速懸念から工業用素材として使う非鉄金属の需要減退観測で投機筋の売りも目立った結果、今月に入ってから非鉄金属の国際価格が軒並み下落、銅などフシ目の7,500ドルを切って年初来安値更新となり、株式市場でもその関連株は直近での崩落が目立っている。

銅といえば指標となるのはLME(ロンドン金属取引所)であるがこのLME、目下のところ上記の通り中国で急成長しているSHFE(上海期貨交易所)等の取引市場に危機感を感じ、アジアでの事業展開を各所にて強化し始めている旨が過日の日経紙に出ていた。斯様に利便性を高めて参加者の拡大に繋げようというところだが、目下のところLMEは複数の取引所による買収提案に晒されているのは既報の通り。

このうち先月まででNYSEユーロネクストは撤退し、入札に残っているCMEグループ、インターコンチネンタル取引所、香港取引所等の3取引所はいずれも10-12億ポンドの価格を提示している模様であるが、アジアを睨む戦略を展開しているだけにこの辺の行方がどうなるのか大きな関心が向かおうというものである。


近くなったようで未だ遠い?

周知の通り今月から東京と上海の両市場で円と人民元の直接交換取引が始まっている。まあIPOじゃないが注目の初値は1元=12.33円、初日の取引金額は100億円程度だった模様で、上海市場でも合計10行が参加しそこそこ裁定も利いて両市場の相場に大きな開きは生じていない模様という。

ドルをフィルターにしていたものからこの枠組みが順調に発展すれば、日中間貿易などに携わる企業は為替取引にかかるコストを減らし、銀行などは決済リスクを押える効果を期待でき、観光事業を取っても近年中国からの顧客誘致が急拡大しているおり両者の交換コスト抑制効果や、また業界ではFXにおける取引拡大思惑など等取り急ぎ各関係者の期待が先行し膨らんでいるのが現状。

ただ相手が中国だけにこの人民元取引でも当初様々な規制が伴う見通しの上、当面リクイディティーの問題等から円との直接交換がどれほど膨らむかは未知数というところだろう。事実、ソニーなどは今後もドル建て取引から直接取引する計画は無いと表明しており、この辺は国内の商品取引所でメジャー商品が新規上場しても商慣習の絡みから当業者の参加が乏しく実質的に上場廃止になってしまった構図等もふと頭に浮かぶ。

中国政府が人民元との直接交換を認めたのは主要通貨では米ドルに次いで円が2番目というが、ドルといえば前にも書いたが金準備などと絡めて人民元が国際通貨たる地位を固める思惑の対で今回の措置も米がどう捉えているのかその反応もまた気になるところでもある。


和の工芸力

さて先週末で終了となったが、今月は三菱一号館美術館で開催されていた「KATAGAMI Style 世界が恋した日本のデザイン もうひとつのジャポニズム」を観てきた。同美術館へはほぼ一年前の「もてなす悦び展」以来のことだが、完成してまだ日が浅い此処はどちらかというと浜美などのど真ん中路線というよりもテーマ性を持たせたニッチ路線なのが個性的で他と一寸毛色の違いを感じる。

で、今回は日本の伝統的な工芸品・型紙のデザインが西洋の芸術にどのような影響を与え、そして現代に受け継がれているかを紹介する日本初の展覧会という触れ込みであったが、実のところなかなか観る機会のないエミール・ガレのカードテーブルや、同じくドーム兄弟・ルイ・マジョレルのたんぽぽランプが出ているということでこれを目当てに見に行ったというのが正直なところである。

果たしてというかやはりこれらは素晴らしいものであったが、同じ仏系でも珍しいルネ・ラリックの娘シュザンヌの作品や、英系では10年以上も前に見たオーブリー・ヴィンセント・ビアズリーのモノまで展示してあったのは思わぬ収穫であった。その他でも独系のヘルマン・グラートルの壁付水盤などは本当に和テイスト満載の素晴らしい作品でこれまた良い物を見せて貰った。

これら世界中に散らばっている美術館から集めたようだが、斯様にこれだけ拡散するなか各々が型紙の用途を超え各所でインスパイヤーされた向きから新たな芸術が生み出されているとしたらこれは本当に素晴らしく誇らしいことでもある。


大証NYダウ先物開始

さて、今週始めに米CMEは「ミニ日経先物」を06/17に上場することを明らかにしているが、お互いにというか今週月曜日から大阪証券取引所の方では、大証ダウ・ジョーンズ工業株平均先物取引が開始されている。夫々昨年7月の業務提携によって実現したものだが、大証NYダウ先物のマーケットメイカーはなるほどあのニューエッジ・ジャパン証券。

ネット系証券でもこれと同時にこの大証NYダウ先物や、日経平均VI先物取引の取り扱いを始めるところも出ているが、東証一部の売買代金が4ヶ月ぶりに8,000億円を割り込みTOPIXが年初来安値を更新するなか、最近はVIX系などの大商いが逆に目立つ展開でVIX短期のETFなど上場以来の過去最高を上回っている模様だ。

ただどうだろうか、日経平均が今より1,000円ほど上にあった4月上旬とVIX系ETFの価格は今も変わらなく日本のそれは需給先行してしまっている感は否めないか。ETFが軌道に乗り辛い土壌というのは何度か取り上げたことがあったが、取り急ぎ新商品導入ということで目下高レバレッジのETF上場も近いといわれる。そんな土壌の中においてもなお活性化の起爆剤として活躍する商品が今後登場してくるのかどうかこの辺にも注目しておきたい。


技術も情報も

さて、昨日の日経紙夕刊一面には「社員の発明対価に指針」として、政府が決める「知的財産推進計画2012」でサラリーマンが仕事で発明した対価として企業が支払う額について政府が指針を作ることを含めて検討する旨が載っていた。

この辺に関しては当欄でも今月の8日に「人材草刈り場」と題し末尾に、企業の事情が絡みインセンティブの国際標準を考慮するのも難題としたが、政府として漸く重い腰を上げたというところか。また併せて技術流出にも触れたが同計画では新日鉄の機密情報にあたる鋼板製造ノウハウが韓国鉄鋼大手ポスコに流れた問題を受けて防衛策を来春までに纏める事も盛り込むとしている。

この新日鉄問題はポスコのみならず所謂「二次流出」で中国の宝鋼集団にまで及んでいるが、それこそ株のインサイダー情報よろしくその対応には限界があるのは明白。この手の一件はグローバル競争を展開している日本の全産業界にとって間違いなく脅威で、経産省あたりも早急に防衛策を求める声が高まってこようか。先のエルピーダメモリ破綻後に中国勢の影がチラついた経緯があったが、直近ではこれに続き今度はルネサスエレトロニクスが土俵際に立たされている。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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